TRPG ダブルクロス The 3rd Edition「陰日向」その8

この小説は、掲載不許可が発行した「初海乃書」に掲載されている「TRPG ダブルクロス The 3rd Edeition 陰日向」を、以前プレイさせていただいた経験を元に製作されています。

「陰日向」というシナリオ作者のきなり様には許可をいただいきました。

また、掲載不許可所属、サリ様にも協力していただきました。

とても感謝しております。

つたない文章力ではありますが、お楽しみいただきましたら、とても嬉しいです。

尚、ダブルクロスというTRPGを知っているという上で書かせていただきますので、わからない用語などあるかもしれません。少しは説明を入れる予定ですが、進行上省かせていただくこともございますので、ご了承くださいませ。

それでは、前回の続きから。





訓練所の指導員と、私の模擬戦が始まる。


指導員の女性は、エグザイルという能力のオーヴァード。私のように2つ持っているのではなく、エグザイルのみということだった。

エグザイルは、自分自身の体を変化させることのできる。という能力。

確か佐野さん、そして田辺も持っていた気がする。



「じゃ、私から行くわね。」

そう言うと、彼女の長い髪の毛が、私のほうに飛んできた。

「髪の毛まで、武器になるの!?」私が叫ぶと、女性が「ふふっ」と、にこやかな顔になる。「初めてなんだから、手加減お願いします!」再度私は叫ぶ。

「んー、どうしよっかなー♪」なんだか女性は楽しそうだった。

「えいっ!」彼女の手加減は、もう手加減ではないように感じた。

だって伸ばした髪の毛が、まるでドリルのように巻れて、私に突っ込んできたのだから。

「きゃあ!」私はしりもちをつく。

「大丈夫?やりすぎちゃったかしら?」彼女は、心配そうにこちらを見る。

「だ、大丈夫です!」すくっと私は立ち上がる。お尻はさすりながら、ね。

正直、ちょっと怖かった。初めてだっただもん、仕方ないよね。


長い髪をさらりと、手でなびかせて「ごめんね。」といたずらっぽく笑う。

「では、こっちの番ですよ!」

私は、まず佐野さんからもらったペンダントを、インフィニティウェポン+カスタマイズで、慙四季菫に変える。

「おおー!短時間で、自分のものにしたみたいね。」彼女がぱちぱちと拍手をする。

「これだけは、ずっと練習してたんです。へへー。」褒められたことが、すごく嬉しかった。

「でも、ここからですよ!」

私は、刀を作り出せるモルフェウスのほかに、スピードのハヌマーンを持っている。

この2つの組み合わせは、こういう技になるのです!

「神速!天駆ケル龍の煌メキ!」

技名はお兄ちゃんが持っている漫画の一部から拝借しました。なんか、技名叫んだ方がかっこいいって思っちゃったんだ。

この技、刀の斬るスピードを自分の持てる分だけ早くするから、ちょっとだけ疲れちゃうんだ。だけど、目いっぱい使ってみた。

「わっ!ちょっ、ちょっと!」そんな言葉よりも早く、斬撃が彼女を・・・。

「え!?」私は、思わず驚いてしまった。彼女の体が、まるでスライムみたいにぐにゃりと歪み、斬撃を受け流したから。

「ふうー、危ない危ない。」彼女の体が元に戻っていく。

「そ、それー卑怯よ!」私は訴える。

「卑怯と言われても、こういう技もあるのよ。」彼女は笑う。

「じゃあ、次ね。」

「はい!お願いします」

私と彼女が息を整える。

「ふーふー。それじゃ・・・。」


「はーい、そこまでー。」佐野さんが、子供っぽく止めに入る。

「うん、ナナちゃん、いい動きしてたね。見ていたかったけど、そろそろ時間だよ。ほら、向かわないと。」

「え?」時計を見ると、朝早く出かけたと思ったら、もうこんなに時間が経っていた。「あ!やばい!佐野さん、早く!」

「あ、ありがとうございました!」深々と頭を下げ、指導員の方に挨拶。

「行くよ、佐野さん!」私は慌てて、訓練所を出る。

佐野さんは、私に遅れて、部屋を出る。

あとでわかったんだけど、この訓練所、集合場所の事務所に併設されていた場所だったみたい。そんなの、わかるわけないじゃん!

先に言ってほしかったなぁ。



そんなわけで、私と指導員の女性との模擬戦が終わった。

かなり強かったあの女性、またどこかで戦ってみたいな。

もちろん、敵同士は嫌だけど!





次回へ続く。