TRPG ダブルクロス The 3rd Edition「陰日向」その10

この小説は、掲載不許可が発行した「初海乃書」に掲載されている「TRPG ダブルクロス The 3rd Edeition 陰日向」を、以前プレイさせていただいた経験を元に製作されています。

「陰日向」というシナリオ作者のきなり様には許可をいただいきました。

また、掲載不許可所属、サリ様にも協力していただきました。

とても感謝しております。

つたない文章力ではありますが、お楽しみいただきましたら、とても嬉しいです。

尚、ダブルクロスというTRPGを知っているという上で書かせていただきますので、わからない用語などあるかもしれません。少しは説明を入れる予定ですが、進行上省かせていただくこともございますので、ご了承くださいませ。

それでは、前回の続きから。





朝比奈さんは、すごく驚いた。

「ひゃ!」今まで聞いたことない声で。

何が書いてあるのかわからないから「ねぇねぇ、見せてー!」と言いながら、覗きこむ。

朝比奈さんは「あー!あー!」と言いながら、全然見せてくれない。

「これは乙女の秘密なの!」とか言いながら、逃げて回る。

そんなに隠したがるから、つい追いかけちゃって「朝比奈さん、どうしたの?顔色悪いけど。朝比奈さんさぁ、なんでノート見せてくれないのー?それで勉強してるんでしょ?私もね、勉強してるのー!」

朝比奈さんは、なおも「あひゃ!」とか「はひ!」とか、謎の声を出して逃げる。

どこかに電話をかけていた檜山さんが「朝比奈君、喜んで。」と急に朝比奈さんに呼びかけた。

「我が事務所の評判を貶める文章なんだけど、もう少しで発信元がわかりそうなんだ。」という言葉を聞いた途端、朝比奈さんは、止まる。逃げ回るのも、たぶん頭の回転も止まったのかもしれない。

私は「それなあに?それなあに?檜山さん、それなあに?」と、朝比奈さんの動きが止まったのを見て、しつこく聞いてしまった。

「あー、実はこんなものがあってね。」と懐から、何かの本を取り出した。

タイトルは・・・。朝比奈さんが、檜山さんに飛び掛かり、その本を奪い取ろうとした。

私はびっくりした。朝比奈さんがそんな速い動きができるなんて。

でも、私も負けてない。だって私は、速さの能力を持っているから。

「電光石火!」

私は誰よりも早く、その本を奪う。

タイトルは・・・。あ!これ、お兄ちゃんの部屋にあった!

「ちゃうねん!ちゃうねん!」朝比奈さんの口調が変わる。

「ナナちゃん、それ大事な捜査資料だから、返してくれる?」

目を見開くような威圧感で言われたから、私はそっと本を返した。


「早くしないとしまっちゃいますよー。」佐野さんが遠くで手を振る。

「今、行きまーす!」「はぁい。」「早く行かないと閉まってしまうね。」

3人が佐野さんの後を追う。


私はなんだか楽しかった。「カレー♪かれー♪カレー♪おいしいカレー♪いい匂いのカレー♪」と鼻歌を歌ってしまうくらい。



本当に楽しい時間だったんだ。



次回へ続く。