肩の健が切れた話 第1話

それはよくある日曜日の夕方。

休日に家事や買い物が済み、やることが無くなるとフラリと古いマウンテンバイクで市内を思うままに走るのが習慣だった。

その日は、買い物から帰って玄関に入ると「あっ!いけね」と買い残しのモノを思い出したのが始まり。

すぐに必要なものではなかったが、まだ午後4時前と日が高かったので妻に「運動がてら自転車で行ってくるよ」と言い、颯爽?と5km先の某家電量販店に向かう。

目的のブツをゲットした後、アラフィフの割には颯爽とした身のこなし(の、つもり)で「帰ったら一番搾り飲んじゃうもんね~」なんて考え事をしながら帰路に就く途中、それは起きた。

自宅まであと100mの場所で、夕暮れに点灯していたハンドルマウントのライトの光軸の向きが気になった。

もちろん乗車中であり、あと100mで家に着くのでそのままにすればよかったが、「つい」右手でライトを捻ったその瞬間・・・・・

ハンドルに路面からの強い衝撃と共に左にバランスを崩し倒れ行くオレ

その次には左肩からアスファルトに激突する衝撃!そして唸る!

スローモーションの中、頭だけは打つまいと必死に首を起こしたところまでははっきりと覚えている。

多分10秒ぐらいか、うずくまった後にこのままでは車にひかれると思い左手をついて起き上がろうとすると・・・左腕が意思に反して動かない。

「やべー肩か腕の骨でも折れたか・・・」

倒れた自転車を起こし、ハンドルに伝わった衝撃は何だったか確認すると、路面に直径15cm、深さ10cmぐらいの陥没穴があり、この穴にタイヤが絶妙なタイミングでハマり衝撃でバランスを崩したらしい。

なんとか自転車に乗り、自宅に到着しコソコソと妻に見つからないように寝室で服を脱いでみる。

ところが幸か不幸か、肩も腕も外傷は見当たらない。

ちょっとほっとするが、相変わらず左腕は痛みと同時に肩から肘まで意思に反して全く動こうとしない・・・。

もし骨が折れたり、ヒビが入っていると腫れや発熱があるはず。

しばらく様子を見たが変化がなく、痛みに耐えつつ一晩様子を見ることにした。

翌日

相変わらず症状に変化が無いので、市内の救急外来へ行く。

医師に症状を説明し、レントゲンを撮るが「骨には異常ありませんが、たぶん肩の健に異常が有ると思いますのでMRIで検査しましょう」と言われる。

後日、MRIで検査を受けた後、整形外科の医師は開口一番「肩の健が切れているねえ。こりゃ手術しないとダメだよ」とドライに告知。

「やっぱり・・・」と悲嘆と途方に暮れる。

更に追い打ちをかける様に医師から「できれば直ぐに手術したいが、コロナウイルスの影響で命に係わる緊急手術以外は避けている状態です。最大3か月ぐらいこの状態で我慢できますか?」

確かに、世間では連日テレビでマスク!手洗い!医療崩壊!三密!と連呼している状況で全国の病院の緊張感は半端ない状態。

とりあえず肘から手は支障なく動くので、これも運命と思い耐えることにしました。(続く)





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