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クロちゃんの『モンスターハウス』騒動と見世物小屋メソッド

水曜日のダウンタウンがまたも警察沙汰。クロちゃん企画『モンスターハウス』最終回がツイッターランドを震撼。バズワード「クロちゃん」はツイッタートレンド日本一を通り越して世界一まで到達する事態になった。

ツイッターランドの動向を見つめ続けるサブカルライター・モトタキが、学術的では決してない戯言で、この事象をそれっぽく語る。

クロちゃんはなぜ断罪されたのか

美男美女の恋愛を描く「テラスハウス」のパロディ企画、美男美女の空間にモンスターであるお笑い芸人を投入する「モンスターハウス」。そこで女子をゲットするためなら二股や嘘や必至な頼み込みをやってのけるクロちゃんの悪行が回を重ねるごとに人々の心をえぐった。

「モテたいのだろう。だが、その一線を踏み越えていくのかクロちゃん」そんな気持ちで見守る人も多く、嫌悪感で”本当に気持ち悪い”と感じる人も出てきた。台本はないと関係者各位は声高に叫ぶが、視聴者には台本だろうと感じる人も少なくない。

だが、その全ては最後のオチに向けての演出だったように思う。悪魔的な動きをし続けたクロちゃんに対して、水曜日のダウンタウンはdボタンを活用した視聴者投票を実施。その投票数は紅白を超える265万7226票で95%が「許せない」を選んだ。平成最後の大悪人。

断罪されたクロちゃんは、としまえん内にて特製の檻の中に入り見世物になることが決定。番組終了後から朝9時30分まで無料開放されたが、これがいけなかった。練馬区は大渋滞。現場のとしまえんは大パニック。

押し寄せた群衆のなかには、ベビーカーを引いてきたママの姿が目撃されたり、近隣飲食店に若者が溢れかえり大規模な混乱を生み出したという。

モンスターであるクロちゃんを、見るために集まるモンスターたちの構図。此の世の地獄を再現した真モンスターハウスは警察沙汰となり、イベントは中止となった。


見世物小屋メソッドが活用された『真モンスターハウス』

見世物小屋なる大道芸が日本にはある。かつては、もっとあった。これは、人の気を惹く口上で集客して、見世物を見せるというエンタメだ。見世物小屋自体は、不謹慎なネタも多く、そしてなによりくだらないものが多い。大きな板に血のりをぶちまけて「おおいたち」なんて言ったりする。

クロちゃんのモンスターハウスも、その根底に流れているのは同じだ。テラスハウスのような恋愛企画であるモンスターハウスで、クロちゃんがいかなる生態なのかをしっかりと説明する。すべては最後のオチのため。新モンスターハウスでクロちゃんを晒し者にするために収束するために。

テレビの影響力も大きかったが、なによりもクロちゃんの恋愛サイコパスな力もあいまったのだろう。コンテンツ力は高いと言わざるを得ない。台本があるとすれば素晴らしいストーリーである。

お笑い芸人のバラエティでの役割は肉体的苛虐から精神的苛虐に移行か

バラエティで消費されるお笑い芸人のやりすぎ問題として、肉体的な無茶をする苛虐があった。さすがにそうした過激な企画は見なくなったように思う。だが次に増えつつあるのが、クロちゃんやナダルのような人間のクズを作り上げて藁人形として殴り続ける過激さ。

肉体的苛虐から精神的苛虐へと移り変わっているようにすら思える。これは肉体的苛虐よりも真似のしやすさがあり、今回のようなそれの虜となった人々の暴徒化を促す危険性を孕んでいるのではなかろうか。

正直、狂気の沙汰だからこそ面白い。心を狂わせねば楽しめない悪魔的エンタメ。その影響は今後の日本人をどこに連れて行くのか。否定的な層すらも巻き込んで、カオスで地獄的な世界を生み出していくように思えてならない。

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