見出し画像

集落を歩く #日本の自然風景を求めて

人間の生活と切り離せない、自然

以前の記事で、高木正勝さんの音楽について触れた。

彼の音楽を聴いて、
「人間の生活は自然とともに存在してきた」ことに気づいた。

アルプスの急峻な山々や、緑にあふれた森だけが "自然" ではないのだ。
人間の営みをも含め、すべて "自然"。

私が写真で表現したかったのは、これだったのだと。

日本ならではの自然風景を求めて

自然と人間の生活が近いところ…

「山あいにある農村に行ってみたい」
直感的にそう思った。

偶然にも、山梨に集落巡りを趣味としている友人がいる。
彼に同行させてもらうことにした。

山梨県は早川町。
「日本で一番人口が少ない町」として有名だそうだ。

信仰を支えた宿場町

まずは「赤沢宿」に連れて行ってもらった。
漫画「ゆるキャン△」にも登場し、知る人ぞ知るスポットだ。

狭い道を登った先には、小ぢんまりと家々が立ち並んでいる。
「宿」と名前にある通り、かつては宿場町だった。

初めて赤沢宿を見た時の写真


付近にある身延山には、日蓮宗の総本山がある。

また、この宿場から谷を挟んだ向かいの七面山には、
身延山を守護する鎮守神が祀られている。

身延山七面山の参詣ルートの途中に位置したこの場所が、
宿場町として発展したのだという。


江戸時代、庶民の間では
何日もかけて寺社仏閣へ詣でるのが流行ったらしい。

今でいう "観光" のようなイメージだろう。

その参詣ブームの際、
この赤沢宿も人気があったとか。

集落の路地は石畳が敷き詰められている。ここを歩いた昔人に思いを馳せる。
道はどこも急斜面


谷の向こうでは、壁のように七面山が迫る。
これから登る山を前に、人々は何を考えたのだろう。

赤沢宿から七面山を望む。壁のように山肌が迫り来る。

赤沢宿を出て谷底へ下っていくと、
七面山への登山口がある。少しだけ登ってみることに。

七面山へ続く道を、少しだけ登った。

山道に入ると、修験者たちの叩く太鼓が聴こえてきた。
鬱蒼とした暗い杉林の中に響く音に、身震いがした。

そこは天界。 モグラ集落を訪れる

次に案内された集落は、茂倉(モグラ)集落。

早川町は縦に長い。
赤沢を出て、北へ伸びる幹線道路をさらに奥へ進んで行くと、
途中で脇にそれる道が。

集落への登り口。ここから狭い山道のはじまりだ。

一気に狭く細い道になる。
度重なるカーブをやり過ごし、どんどん山を登る。

幸い、対向車とはすれ違わなかった。
(対向車がきたらかなり苦労するような道だ)

突然、道が開け明るくなる。
同時にトタン屋根の家々が目に入る。集落に着いた。

急斜面にへばりつくかのように家々が立ち並んでいる。


雲の中に浮かぶ家々をみた時、
マチュピチュを連想せずにはいられなかった。標高はかなり高い。

急斜面に作られた畑は
人の手が加わっている様子で、整然としていた。

家々の間を縫うように路地が走る。
現在は、ほとんどが空き家になっているという。


偶然、畑作業をしていたご夫婦と話をすることができた。

かつて鉱石の採掘で発展した集落だということや、
ここでの生活について親切に教えてくれた。

集落に暮らす人は減るばかりで、
空き家が増えている、と寂しそうに仰っていたのが印象的だった。

コンニャク畑の手入れをしていたお母さん。後から大判焼きをご馳走になった。


この土地での営みが少し垣間見れたことを幸せに思う。
ご夫婦からは、長く親しんだこの土地への愛が感じられた。

自然と人間

この集落巡りで「やはり人間は自然の一部だ」と確認できたと思う。
また訪れたい場所だ。

訪れた場所

赤沢宿

茂倉集落

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?