ユズ子(扇町みつる)@読書ライター

親友の夭折によって人生の有限に気づき読書を始めた読書ライター。 歴史小説、歴史解説書(…

ユズ子(扇町みつる)@読書ライター

親友の夭折によって人生の有限に気づき読書を始めた読書ライター。 歴史小説、歴史解説書(新書など)を中心に現代小説や実用書なども。 ブログ: https://yuzukblog.com ブクログ: https://booklog.jp/users/mougi

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最近の記事

【第8回】雲を紡ぐ(伊吹有喜/文藝春秋)―読書感想【高校生直木賞】

主人公美緒を軸に、切れかけていた様々な親子の糸が撚り合う物語――。 第8回高校生直木賞受賞作「雲を紡ぐ」を読みました。 「雲を紡ぐ」あらすじ 高校生の美緒は、学校でのいじめが元で不登校となり部屋に引きこもった生活を送っている。 生まれたばかりの時、父方の祖父母から送られたホームスパンの赤いショールを被ってベッドで丸くなっているのだ。 教師をしている美緒の母親は、将来のためにと言って早く学校に行かせようとするが、美緒は行く気が起きない。 それでも、お腹の具合が悪いのを

    • 【河鍋暁斎】星落ちて、なお(澤田瞳子/文藝春秋)―読書感想【河鍋暁翠】

      第165回直木賞受賞作。 あらすじ 河鍋暁斎の娘、とよ(暁翠)の物語。 父であり師であり、偉大な絵師だった河鍋暁斎の葬儀の夜から物語は始まる。とよには姉、兄、弟、妹がいるが、姉は河鍋の家と関わりを持とうとしない。兄は喪主は務めたものの、後始末もせずに家に帰ってしまう。 他家に養子に出された弟はへらへらとだらしがなく、妹は病弱。 河鍋の家の諸々を引き受けながら、妹と細々と暮らすとよ。しかし五歳から父に手ほどきを受けた絵は常にとよの傍らにあった。 感想 変わりゆく時代や人

      • 【興福寺】龍華記(澤田瞳子/KADOKAWA)―読書感想【焼き討ち】

        まずは推しの末っ子を主人公にして小説を書いて下さってありがとうございます、と澤田瞳子先生に申し上げたい。 本作の主人公となっている範長は、父親の藤原頼長が保元の乱で負けた後、兄たちと同様に流罪となり、奈良に戻ることなく亡くなったとされている。没年も不明。 そんな範長で、いや範長だからこそ、このような作品の主人公となり得たのかもしれない。 あらすじ 興福寺のトップとなるべく入ったのに、父親の死で寺から遠ざけられた範長、そして後釜としてトップになった従兄弟の信円(範長の伯

        • サピエンスは戦争を克服出来るか?

          サピエンス全史(上)読了 やっと「サピエンス全史(上)」を読了した。 3回目のコロナワクチン接種も挟まり、結構かかってしまったけれど、読み終えることが出来た。 私の高校時代は、日本史と世界史が選択制で、日本史を選択した。なので世界史はしっかり勉強していない。 本書では「○○文明」や「○○帝国」という言葉が頻繁に出てくるのだけど、恥ずかしながら、これはどこで起こった文明で…というように細かいことは把握していない。 しっかり勉強した人に比べたら、理解の程度はそんなに高くはない

        【第8回】雲を紡ぐ(伊吹有喜/文藝春秋)―読書感想【高校生直木賞】

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        • 何者でもない私の読書日記
          13本
        • 愛しき友へ
          19本

        記事

          効け効けワクチン

          ワクチン3回目 一昨日、3回目のワクチン接種をしてきました。 1・2回目がファイザー、今回がモデルナという「黄金トリオ」な組み合わせなので、ぜひぜひ効いてほしいです。 接種当日から昨日にかけて、37度台後半の熱と節々やリンパ節の痛みがありました。 熱はそんなに高くはなかったものの、節々の痛みはかなりしんどかったです。 ロキソニンを投下してやり過ごし、今朝には痛みはなくなりました。 熱も朝には平熱になりましたが、リンパ節(耳の下)の痛みがまだ少し残っています。 そんなだ

          春のベリーショート

          髪を切った ここ数年はずっとツーブロックを入れたベリーショートにしていた。 それが冬の間美容院に行く感覚が開き、ショートに飽きてきたのもあり少し伸ばしてボブと言える長さになった(ツーブロックは変わらず入れていた)。 あごのラインまで行くか行かないかくらいの、昔で言うところのおカッパなんて程度の長さだったけれど、そのボブだかおカッパだかを保つ煩わしさや、これからやって来る暑さを前に美容院に駆け込んだ。 三重苦 もともと、私の髪は「太い、多い、うねる」三重苦を抱えていた。

          noteと、ブログと。

          ここに記事を上げるのは随分と久しぶりのことです。 私がnoteを始めたのは、中学時代からの親友が亡くなる少し前からでした。 30余年来の親友が、末期の肺がんで緩和ケア病棟に入り、もう長くないことが確定した現実を前に、どうしようもない感情を吐き出すためにここを開設したんですね。 ほどなくして親友は亡くなり、私はその後も落ち着くまでここに感情を吐き出していました。 落ち着いてからは本の感想を書いたりしていましたけど、他のブログに浮気したりして転々とし、そしてまた戻ってきま

          【読書日記】「最悪の将軍」(朝井まかて/集英社)

          五代将軍綱吉の物語。全八章。 綱吉が次期将軍に選ばれるところから始まり、綱吉視点と正室信子視点が交互に入れ替わりながら、綱吉の生涯を描いている。 大河ドラマや時代劇などではちょっとエキセントリックに描かれていたりして、そんなイメージが染み付いていたけれど、この綱吉さんは実直で思慮深い! 正室の信子も、とても賢くて陰ながら綱吉を支えます。 悪い人たちじゃないのに、ではなぜ「最悪の将軍」となってしまったのか。 その一つとして、領民とのどうしようもない距離があると思います。

          【読書日記】「最悪の将軍」(朝井まかて/集英社)

          「浪花恋しぐれ」考

          「おちょやん」の劇中劇で、初代桂春団治を題材にした演目があって、そういえばこの人物は演歌「浪花恋しぐれ」で歌われてる人物だなと思いYouTubeを見てみた。 オリジナルコンビやその他何組か違う歌手バージョンがあったんだけど、やっぱりオリジナルコンビが一番だった。 岡千秋 is ナンバーワン。 ちなみに他の歌手のレビューは 藤田まこと→声は綺麗だけど軽い 大江裕→五代夏子に照れてしまって桂春団治じゃない 三山ひろし→一番雰囲気は出ていたけど、やはり本職の歌手ゆえうなりに限界

          【読書日記】ひんやりした千早世界

          「透明な夜の香り」今読んでいるのは「透明な夜の香り」。 心にいろいろ抱えた主人公若宮一香はスーパーの掲示板で見つけた求人に応募する。雇い主は調香師の小川朔だった。 本書は全部で12章あり、5章まで読み終わっている。 主人公を雇っている小川朔は調香師の仕事をしているのだけれど、とにかく臭覚が超人的である。 生活に支障をきたすレベルなので、主人公が採用されたとき、ボディソープや洗髪関係、化粧水などに至るまで小川朔指定のものを使うことになる。 翻って主人公若宮一香は、特殊な能

          【読書日記】ひんやりした千早世界

          【読書記録】「勘三郎の死」中村哲郎

          勘三郎と私ここ一週間ほど、「勘三郎の死」という本を読んでいた。 中村勘三郎丈は、私にとっては特別な役者さんである。 中学生の時に大河ドラマ「武田信玄」で白塗りで貴族風の今川義元を演じていたのを見てファンになり、母親から歌舞伎役者だよと教えられ、歌舞伎座へ行った。 初めて行った歌舞伎座は赤色メインの綺羅びやかな空間で、ざわざわとした何とも言えない高揚感やワクワク感は今も覚えている。 いくつか演目はあったけど、記憶に強烈に刻まれているのが「お祭り」だった。 この時はたしか先代十

          【読書記録】「勘三郎の死」中村哲郎

          【読書日記】四十路からの読書

          三年前の夏、中学時代からの親友が癌で逝ってしまった。 当時まだ高校生だった子供二人と、高齢のご両親を残しての他界はさぞ無念だっただろう。 告別式で、高齢のご両親が骨を拾う背中の小ささに、これが親不孝というものかと思い知らされた。 もちろん本人が望んだ事ではない。しかし、自分の力では死ぬ年を選ぶことは出来ないのだ。 死は誰にでもやって来るが、いつ来るか、そしてどのように死ぬかは決して平等ではない。 自分だって明日死ぬかもしれないし、死の病にかかるかもしれない(ここ一年は新型

          【読書日記】四十路からの読書

          祈りの日

          久しぶりにこちらに書きます。2年はまるまる経ってますね。 昨年夏、愛しき友の三回忌を迎え、自分の心の中もだいぶ落ち着きました。 日が浅い頃は一ヶ月ごとに数えていたんだけど、それもしなくなりました。 けれど決して忘れた訳ではないです。 さて、日々ツイッターなんか眺めていると、「トレンド」や「おすすめ」にその時沢山ツイートされている単語がずらりと並びます。 時間帯によって、ワイドショーで取り上げられている事柄だったり、夜ならばドラマのタイトルだったり。はたまた、政治的な事柄だっ

          同じ時間軸というか時空というか、同じ時代の人に惚れたいなぁ。「私が子供の頃○歳だったあの人」ではどうにも出来ないよ。 #恋愛 #片思い #呟き #つぶやき

          同じ時間軸というか時空というか、同じ時代の人に惚れたいなぁ。「私が子供の頃○歳だったあの人」ではどうにも出来ないよ。 #恋愛 #片思い #呟き #つぶやき

          ハヤトくん14歳、天国へ。今までありがとうねハヤトくん。 #ネコ #ペット #猫

          ハヤトくん14歳、天国へ。今までありがとうねハヤトくん。 #ネコ #ペット #猫

          愛しき友が旅立って1年。 今日はお墓参りに行きます #つぶやき #呟き

          愛しき友が旅立って1年。 今日はお墓参りに行きます #つぶやき #呟き