見出し画像

南天

こんなに見事に実っている南天を見たのは先日の土曜日だった。雨がちな曇天下武蔵野の北端に位置するといわれる大きな道を西から東へ歩いていた。個人宅の植え込みのものだが写真を撮らせて貰った。有難う御座いました。
南天は育成が難しい植物だ。何度か園芸店の正月植物売り出しで年末に購入しても二度とも今まで育ち続けているものはない。それどころか二、三か月も見学しないうちに、哀しい姿になりいつの間にかいなくなって仕舞う。マンションベランダの鉢植えでは決定的に幼木南天の未来を奪うことになると、南天の特性を理解した私はそれ以降可哀想な行動を取ってはいない。
偶然庭木や街路樹で咲き誇っている白や赤の粒を蓄えたその細い枝葉に気づくと、立ち止まって暫し目を遣る。
この日も幸運だった。北に面した緩やかな登り坂の頂き付近に鎮座する群生の赤南天は艶々と凝縮して蔓延っている。
自由に茂って今日の旬に満足している。とても穏やかな心持ちになる。ごちそうさまと言いたい光景だ。いい場所だ。
見渡してみると小豆沢という地名が目に飛び込んでくると同時にお寺っぽい建造物に気付かされる。
マップでは寺院内の湧き水について言及されている。観音様もおいでになるらしく、一帯は水気が適度に動いている事が分かった。
そうだ南天は十分な水分が必要な植物で、炎天下の乾燥した環境では育ちにくい。温暖な気候で育ち北東の鬼門に植えられ、魔除けとなる。
霊性の高い植物で難を転じて福となすとされている。
朱色めいた硬く赤い小粒の実と深い青緑色のカサカサとしたアーモンド型の葉っぱは寒い冬に温か味と元気を与えてくれる。背丈も顔面にあるので168cm以上はあるだろう。
11月12月や1月2月あたりに実る以外は息を潜めている。落葉はしない。メギ科の常緑低木だ。
 ピラカンサスというバラ科の南天と似た実をつける植物があるが棘があり甘く美味しいのか鵯鳥や椋鳥や百舌鳥がけたたましく鳴く秋には、実を食べに来てしまいピラカンサスの朱い実は、ついばみ残しがこぼれ落ち散乱していく。ピラカンサスを植えるならば野鳥を観察出来る機会があるだろう。薔薇の実であるローズヒップは香り高く程よい酸味も持っていて色は、ピンク色で美しくビタミンcが豊富で美容効果がある。同種のピラカンサスの実も其のような良い味なのだろうと予想している。
 南天の実は美味しくはなく硬い上にちょっと黄色くしびれるような味を持っており食べられない事はない。南天は小鳥には余り人気がないが、食べられてはいる。毒気が有ると親から教えられた事があるが時すでに遅しで実を割って味わってみた後だった。ちょっとしかかじっていないのに、舌が大きく痺れてしまい、それを聞いて(^_^;)焦った記憶がある。
 今生きているので猛毒ではない。少々の毒は薬となる。
 言霊では毒はドとクからなる。古語では濁音は清音として書き記されるので、ドはトと考えて良い。
トクは毒、解く、得、徳、卵を溶く、独、髪を梳く、特、などのいろんな意味がある。トは十、戸、クは苦、斗、九などが思いつく。
十や九は十進法では、十のうちほぼ九割方十割という分量をさす。何でもそれ位出来る人がいたら、得意になりやすいし、特別に、徳がある人だなぁと思うかもしれない。トは十種の神宝、十草柄などを連想する。カタカムナ文字ではトの音は十の記号で表されている。漢字の音読みと古代文字の表す音が一致している。
生涯孤児院などで独り孤独でいるとお気の毒だし、解毒は毒を解くという事を意味する。普段から重宝している生姜やターメリック、シナモン、等の香辛料はもとより、今マーケットに出てきている毒を解く作用のある蕗の薹や薇、土筆や蕨、など春の山菜は冬の間溜まった各種毒を程よい苦味でデトックスしてくれる。
 徳ある人物といえば聖徳太子だが一度に十人の話を聞けたというのは、自分が何か人に言いたい事で腹を一杯にしていなかったからかもしれない。謙虚に人の話を聴く余裕がる大人な人物だったのだろうと思った。
 だから人間関係を良好に保つには意識に登って来た事や得た知識や経験は注意して考えアウトプットしていく必要がある。
 今日は満月でウルフムーンとアメリカ先住民の間では言われる時期が来ている。2024年1月最初の満月の力が、みなぎっている。これから欠けていく月の期間に入るのでアウトプットや減量、捨てる事や、排出等がスムーズに行われやすいフェイズ突入する。
 心を空にして人に謙虚に接することで聞き上手になれ話し上手になれる。
 言霊は今年も続けて勉強して有効活用したい。
 南天は枝がとても硬く折ることが出来ない。正確にはしなりはするが強く繊維が結束して手折る事は無理だった覚えがある。
「毎日使える薬膳&漢方の食材事典」が有るので,観てみることにした。決めてから3日経ってしまったが載ってない事を確認した。
ネットの食材新聞で調べると百菜元気新聞、のコラムに出典がわからないが文体からして古文書っぽい。
目を明らかにし、肌熱を解し、髪を黒くし、肝火を清し、血を活し、滞を散ずる、と書かれていた。
南天実は何と歯茎や歯に良いらしく、歯槽膿漏を治したり、歯を固める作用が有るとされている。しかも清明と言って目にも良いらしい。黒髪にも良いらしく最高に有効活用すべきものだ。
南天の葉にはアセトン,シアネイト、タンニンが含まれており、タンニンには消炎や制菌効果がある。
祝い事で出される赤飯の上にあしらわれる葉っぱは、南天の葉だ。日本より中国で南天は好んで食されるらしく、ホワイトリカーとはちみつに旬の時期に漬け込み保存する方法にも言及されていた。
南天酒
ホワイトリカー1.8リットル
はちみつ200グラム
南天実200グラム
を漬け込み冷暗所で二ヶ月保存する。
鎮咳効果があり昔から百日咳咳やぜんそくに使われて来たらしい。最近は科学的根拠裏付けがなされるようになった。
アルカロイドは何か不勉強だが、南天実にナンテンニンと言われる成分が含まれ科学的にはドメスチンというらしい。赤ワインや、赤玉ねぎに含まれる活性酸素を除去してくれるアントシアニンとか、またお茶の成分で眠りを促す冷茶で抽出するテアニンとか、長芋のマザーホルモンを増すと言われるジオスゲニンとか,栄養素でニンがつくものは希少価値が高く健康効果があるものがおおい。ナンテンニンとはまた可愛らしい名称で気に入った。

南天の実は、食べるとアルカロイドの苦味があり呼吸中枢をはじめ興奮させ、後に麻痺させる作用をもつ。これが鎮咳効果と言われる由縁だ。
インフルエンザも流行る季節に南天の実が姿を表してくれることは実に多く有り難い。目から入る情報を軽んじてはいけない。生物に賞賛され利用してもらいたい一心であることが色にあらわれている。一方漢方薬利用には注意が必要だ。副作用も大きいので指導の下に行うことが望ましい。
とても頼もしい植物なので今の時期に庭木に植えているひとは見るだけでではなく、摂取の為に一工夫なさってみてはどうだろうか。
木は二メートルから三メートルになるらしく数十本が群生して生える事も有るらしい。
巨木になると建具として柱に利用されたりしている。元々細いので巨木と言っても直系何センチあるかわからないが、普通の床柱としては細いので家屋には向かないが、金閣寺境内の小山から金閣寺をみおろす茶室に設えられている。
1590年代末から1600年初頭頃の建築物で夕佳亭、と書いてセッカテイと読む。後水之尾天皇が茶室で酒を嗜みつつ夕佳亭で金閣寺を眺める為のもので、少し曲がって細く趣きある白い幹ぶりは何処か控えめでささやかな楽しみを持つ場所に合い、美しく感じる。今でも古い感じはしない。

夕佳亭
左の床柱が南天木
硬い木質の南天木は皮を剥いで白く美しい
外の自然の世界といながらに融合することができる。
侘び寂びの精神が感じられる。

いい情報をシェアしないのは風の時代に合わない行為だが、当時は水の時代の終わり頃だ。全てを溶かしてしまう水のように、室内に外に生えている曲った南天の幹を入れてしまったのは、面白い。

日本の伝統文化を現在の目で再認識すると新しい視点がうまれる。最近は外国人が日本にとても興味を持って自国について知らなく何も話せない状況を脱するべく古来の建築や植物をよく知り教養を深められると心豊かになって満足感が生まれる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?