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【社会福祉法人】会計事務所は就労支援B会計のどこを見ているのか?

こんにちは。社会福祉法人の会計サイト「もう仕訳ない」と申します。

==更新履歴==
2019.08.01 初版
2022.04.13 第二版:項目数を19→23に増加、各項目を更新
2023.09.02 表紙画像を設定
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はじめに

就労支援B型の会計は、他の社会福祉事業と比べて特殊です。

国保連からの給付費収入だけでなく、利用者工賃の原資となる収入も法人に入ってきます。

それらは独立しているわけでなく、就労支援事業収入は給付費収入の算定の基礎になったり、利用者工賃や積立金の計算に使われたりします。

今回は就労支援B型事業を見る際、会計事務所はどこに注目しているのかを公開します。

※各見出しの下に、どの計算資料を参照すればいいのか付しました。参考にしてください。


参考①: 「社会福祉法人会計基準の制定に伴う会計処理等に関する運用上の留意事項について」の一部改正について(平成30年3月20日)


1.【運営】会計が区分されているか?


<参照> 財務三表、注記など


「指定就労継続支援B型事業者は、指定就労継続B型事業所ごとに経理を区分するとともに、指定就労継続支援B型の事業の会計をその他の事業の会計と区分しなければならない。」

就労支援B型を福祉会計と同じサービス区分で会計を行う場合、「就労支援事業収益」「就労支援事業費用」を用い、明確に会計を区分できるようにしなければなりません。

具体的にはパンの製造・販売や清掃受託、雑貨の出店など、利用者による売上を「就労支援事業収益」に計上しているかどうか、確認します。

そして上記売上に対応する費用(利用者工賃、材料、消耗品など)を「就労支援事業費用」に計上しているかどうか、確認します。


2.【費用】利用者一人当たり・一月当たりの工賃の平均額は3,000円以上か?


<参照> 別紙3(⑯)就労支援事業製造原価明細書、別紙3(⑰)就労支援事業販管費明細書など


事業所の指定基準によるチェック項目です。

製造原価あるいは販管費に含まれる「利用者工賃」の金額を利用者数・月あたりに換算して確認します。

指定基準にあるように、平均額は最低でも3,000円なければならないため、重要です。


3.【売上】製品の売上金に訓練費等給付費が含まれていないか?


<参考> 事業活動計算書、総勘定元帳「就労支援事業収益」


就労支援事業の売上と国保連などから入金される訓練等給付費収益は区別しなければなりません。

言いかえると、売上に給付費を入れてはなりません。

給付費を混ぜ込んで売上を増やすと、その分工賃として支払うことのできる原資が増えます。

給付費の基本報酬は平均工賃に応じた設定となっているため、工賃を多く支払うほど法人の経営は楽になります。

利用者に支払う工賃を増やすため売上を伸ばし、それによって指導員の人件費がまかなえ待遇も改善される……が正当なWin-Winです。

就労支援事業の売上に訓練等給付費収益を入れてはいけません。


4.【費用】就労支援事業の製造原価は適切か?

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