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消費税法条文マスターへの道!一問一答詳解

はじめに

消費税は私たちの日常生活やビジネスにおいて避けて通れないものとなっています。

税理士試験においても、消費税法は受験者数が簿記論、財務諸表論に次いで多く(第72回参照)、税理士試験登録への重要なステップとなっている方が多いと思います。

しかし、法律の中で、数多くの条文や例外規定が存在しており、どのポイントを重点的に学習すればよいのか、多くの受験生が迷っているはずです。

この記事では、消費税法の条文問題に焦点を当て、その理解を深めるための一問一答形式でのQ&Aを提供します。

あなたが税理士試験で合格点を獲得するための強力なサポートを目指します。

消費税法の難解な部分をシンプルに、かつ実践的な形で解説し、あなたの試験合格への道のりをスムーズにします。

条文に立ち返って勉強し、消費税法の確実な知識を身につけることで、試験当日に自信を持って挑むことができるようになることを願っています。

第一章 総則

Q.消費税法の目的は?
A.消費税について、課税の対象、納税義務者、税額の計算の方法、申告、納付及び還付の手続並びにその納税義務の適正な履行を確保するため必要な事項を定めること。

Q.消費税が課されるのは、国内で行われるどのような行為か?
A.国内で行われる資産の譲渡等(特定資産の譲渡等を除く)と特定仕入れ。

Q.電気通信利用役務の提供が国内で行われたとみなされるのはどのような場合か?
A.電気通信利用役務の提供を受ける者の住所若しくは居所又は本店若しくは主たる事務所の所在地が国内にある場合。

Q.個人事業者が事業用に供していた棚卸資産を家事用に消費した場合、消費税上どのような取扱いとなるか?
A.事業として対価を得て行われた資産の譲渡とみなされ、消費税が課される。

Q.国内で課税資産の譲渡等や特定課税仕入れを行った場合、消費税を納める義務があるのは誰か?
A.事業者。

Q.保税地域から引き取った外国貨物に対して消費税を納める義務があるのは誰か?
A.外国貨物を保税地域から引き取った者。

Q.国内で課税資産の譲渡等を行った場合、消費税が免除されるケースは?
A.本邦からの輸出、外国貨物の譲渡や貸付け、国際的な輸送や通信、専ら輸送用に供される船舶や航空機の譲渡や貸付けや修理、その他政令で定められた類似のケース。

Q.輸出物品販売場とは?
A.免税購入対象者に対し、政令で定める物品で輸出するため政令で定める方法により購入されるものの譲渡をすることができるものとして、税務署長の許可を受けた販売場のこと。

Q.輸出物品販売場が行う輸出物品の譲渡について消費税はどうなるか?
A.免除される。ただし、免税購入対象者が当該物品を輸出しない場合や国内で譲渡又は譲受する場合などは、徴収される。

Q.免税購入対象者とは?
A.非居住者であって、上陸の許可を受けて在留する者や外交・公用・短期滞在の在留資格を持つ者など政令で定める者。

Q.第9条により消費税を納める義務が免除される事業者の条件は?
A.その課税期間に係る基準期間における課税売上高が1,000万円以下。

Q.基準期間における課税売上高の計算方法について、個人事業者と法人での違いは?
A.個人事業者及び基準期間が一年である法人は、課税資産の譲渡等の対価の額の合計額から売上げに係る税抜対価の返還等の金額とその消費税額を控除した残額を課税売上高とする。
基準期間が一年でない法人は、同様に残額を求めた後、当該法人の当該基準期間に含まれる事業年度の月数で除し、それに12を乗じて計算した金額を課税売上高とする。

Q.消費税を納める義務が免除されることとなる事業者が、その免除を受けないことを選択する場合、どのような手続きが必要か?
A.届出書をその納税地を所轄する税務署長に提出する。
また、その後、免除を受けることをやめようとする場合や事業を廃止した場合も、同様に届出書を提出しなければならない。

Q.第9条の2により消費税を納める義務が免除されない事業者の条件は?
A.その課税期間に係る基準期間における課税売上高が1,000万円以下であるが、その事業年度に係る特定期間における課税売上高が1,000万円を超える事業者。

Q.特定期間とは?
A.個人事業者については、その年の前年1月1日から6月30日までの期間。
法人については、その事業年度の前事業年度又は前々事業年度開始の日以後6月の期間。ただし、短期事業年度や末日が月末でない場合などには特例がある。

Q.特定期間における課税売上高の計算方法は?
A.特定期間中に国内において行った課税資産の譲渡等の対価の額の合計額から、売上げに係る税抜対価の返還等の金額とその消費税額を控除した残額。
ただし、所得税法に基づく支払明細書に記載すべき給与等の金額をもって課税売上高とすることもできる。

Q.相続人が被相続人の事業を承継し、消費税を納める義務が免除されない場合とは?
A.次の二つの場合。
・相続があった年の基準期間における課税売上高が1,000万円以下である相続人が、当該基準期間における課税売上高が1,000万円を超える被相続人の事業を承継した場合。
・相続があった年の前年又は前々年において相続により被相続人の事業を承継した相続人のその年の基準期間における課税売上高が1,000万円以下である場合において、当該相続人の当該基準期間における課税売上高と当該相続に係る被相続人の当該基準期間における課税売上高との合計額が1,000万円を超える場合。

Q.合併があった場合に、消費税を納める義務が免除されない場合とは?
A.次の三つの場合。
・合併法人が被合併法人の事業を承継した場合で、被合併法人の課税売上高が1,000万円を超える場合。
・合併法人がその事業年度開始の日の前日までに2年以内に行われた合併により被合併法人の事業を承継した場合で、合併法人と被合併法人の課税売上高の合計額が1,000万円を超える場合。
・合併により法人を設立する場合で、被合併法人のいずれかの課税売上高が1,000万円を超える場合。

Q.分割等があった場合に、消費税を納める義務が免除されない場合とはどのような場合か?
A.次の三つの場合。
・分割承継法人が分割法人の事業を承継した場合で、分割法人の課税売上高が1,000万円を超える場合。
・分割承継法人がその事業年度開始の日の前日までに1年以内に行われた分割等により分割法人の事業を承継した場合で、分割承継法人と分割法人の課税売上高の合計額が1,000万円を超える場合。
・分割承継法人がその事業年度開始の日の一年前の日以前に行われた分割等により分割法人の事業を承継した場合で、特定要件に該当し、かつ、分割承継法人と分割法人の課税売上高の合計額が1,000万円を超える場合。

Q.新設法人の納税義務の免除の特例の適用要件は?
A.基準期間がなく、事業年度開始の日における資本金又は出資の金額が1,000万円以上である法人。

Q.新設法人が調整対象固定資産の仕入れ等を行った場合、その仕入れ等の日から何年間は納税義務の免除が適用されないか?
A.3年間。

Q.特定新規設立法人とは?
A.基準期間がなく、他者から支配されており、その他者と特殊な関係にある法人で、その他者の課税売上高が5億円を超えるもの。

Q.特定新規設立法人が調整対象固定資産を仕入れた場合、どうなるか?
A.仕入れ等から3年間は納税義務が免除されない。

Q.高額特定資産とは何か?
A.棚卸資産及び調整対象固定資産のうち、その価額が税抜1,000万円以上のもの。

Q.高額特定資産を取得した場合、どうなるか?
A.その取得日から3年間、納税義務が免除されない。

Q.自己建設高額特定資産とは何か?
A.他者との契約に基づき、または事業者が自ら建設、製作または製造した棚卸資産または調整対象固定資産で、その建設等に要した費用が税抜1,000万円以上のもの。

Q.信託財産に属する資産や資産等取引は消費税法ではどう扱われるか?
A.一般的には、信託の受益者がその資産や資産等取引を有したり行ったりしたものとみなして消費税法の規定を適用する。ただし、集団投資信託や法人課税信託など特定の種類の信託財産については、この限りではない。

Q.信託の変更をする権限を有し、かつ、信託財産の給付を受けることとされている者は消費税法ではどう扱われるか?
A.受益者以外でも、このような者は受益者とみなして消費税法の規定を適用する。ただし、軽微な変更をする権限だけを有する場合は除く。

Q.リース譲渡に係る消費税の納付義務の特例とは?
A.リース譲渡を行った事業者が所得税法又は法人税法の規定により延払基準の方法により経理することとしている場合、当該リース譲渡に係る賦払金の額でその支払の期日が到来しない部分については、当該課税期間において資産の譲渡等を行わなかったものとみなして、消費税を免除することができる。

Q.個人事業者が課税期間を3月ごとの期間に短縮することや変更することについて、どのような規定があるか?
A.その納税地を所轄する税務署長に届出書を提出した場合に限り、課税期間を3月ごとの期間に短縮することや変更することができる。また、届出書の提出があった日の属する課税期間の末日以後は、届出はその効力を失う。

Q.国内に住所と居所を有する個人事業者が、所得税法の規定により居所地を納税地とすることを選択した場合、消費税の納税地はどうなるか?
A.消費税の納税地も、住所地に代えて居所地となる。

Q.法人の納税地は、基本的にどことされるか?
A.法人が国内に本店又は主たる事務所を有する場合はその所在地、国内に事務所等を有する内国法人以外の法人である場合はその事務所等の所在地、それ以外の場合は政令で定める場所とされる。

Q.保税地域から引き取られる外国貨物に係る消費税の納税地はどこか?
A.当該保税地域の所在地。

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