POLICE in 2117 3-24
3-24、逮捕
海上保安課に着いて班の全員を集めた。
「これから逮捕に向かう。心してかかろう」
海上保安課から10名の応援を頼んだ。それぞれボックスに乗り込んで一団で北北西に向かう。空はどこまでも青い。悪いことが起ころうはずがない。
井澤賢介氏の自宅は何も知らないといった風に先日と同じ体裁でそこにあった。
「いいか?いくぞ」
おれと梶原が玄関に立った。今日はドアは開かない。ベルを押すとすぐに返答があった。
「警察です。お願いします」
ドアがゆっくり開いた。6人、無言で中に入っていく。
「お邪魔しますよ。今日はうちの班全員で寄せてもらいました」
「全員だと?山階君の姿が見えないようだが」
「ちゃんといますよ。ここに」胸に手を当てた。
「ははは、今日は何が訊きたい」
「今日は仕上げの日なんでね」
「ほー仕上げとな」
「井澤賢介、テロ容疑で逮捕します」逮捕状を呈示した。
「バカな。どんな証拠があるというんだね。バカな野郎どもの証言だけじゃ起訴はできんぞ」
「やっと見つけましたよ。物的証拠です」
「ははは、そんなものがあるはずがない」
「官舎管理人、小宮山のリングですよ」
「なんだと?」
「あなたが河本淳二に殺せと命じた小宮山陽一ですよ。それがあなたの手に渡った。それが河本俊一の手に渡り、さらに大友の手に渡った。それを今、私が保管している。その引き渡された場所のログがしっかり記録されています。改竄がないことは証明されました」
井澤が思わず立ち上がった。
「まぁ落ち着いて。彼らは皆、証言しましたよ。別々にね。全く不明な点はない」
「河本が証言しただと?助けてやった恩義を忘れおったか、あのクソガキ」
「しましたよ。昨日、私の自宅で逮捕しました。あなたに命じられて私のパートナーを殺しに来たところをね」
「おまえは海上保安課にいたはずだ」
「私の奥さんを侮りましたね。河本をやっつけたんです」
「バカな」
「裁判で明らかになります。梶原、拘束してくれ」
「はい」
井澤は素早くディスプレイを立ち上げるとタップして首を引っ込めた。
「残念ですが信管は切断してあります」
「爆弾はどこだ?」
ファイティングポーズを取った。「どこだ!?」
軽く頬を撫でた。
「わかった。あの、あの、壁の、壁の中だ」
「開けてくれ」
壁のパネルを取り外すとコンピュータの隙間にビルでも吹っ飛ばせそうなほどの爆薬があった。
「触るな。爆薬は本物だ。保安課に任せよう」
「これで証拠が2つ。逃げ道はない」
梶原が後ろ手に拘束した。
「よし、連行しよう。君たちは松尾と米田の居場所を調べて逮捕にむかってくれ」
井澤のリングのデータをコピーして送った。
「通信記録はない。場所のデータを見るんだぞ」
「はい」
家の中の捜索を海上保安課に任せて、梶原と井澤の繋がったボックスの後ろに付いて、海上保安課に向かった。
保安課に着くと拍手が起きた。課長も玄関に出てくれている。
「やったな」
「はい。ありがとうございます。すぐに取調べに入ります」
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