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36 自分を管理する為に他人を選ぶ

  先日、こんな記事を書きました。題名が面白かったせいか多くの方に読んでいただいています。今回はその後にわかってきた事を踏まえて関連する事を書きます。

 まず、その夢から帰れなくなった人についてですが、わかっていなかった状況が少しずつ判明してきました。あまり詳しくは言えませんが、その人は元から自分にオーバーロードになるほどのタスクを課さなければならないという性格であり、そしてそれをしてしまう心の病も持ち合わせていました。ですから、自分自身ではできない位に自分に仕事を与え続けていたのです。それがある時点で心のオーバーロードとなり制御できない状態になるらしいのです。

 これは心に問題の無い人もする事です。やってもやってもまだしなければならないような気がする事はあるでしょう。もっと多くをしなければ自分の理想像と違う気がしたり、誰かの要求に応えられない気がしたりします。ですが、普通は制御不能になる前に諦めたり、心が萎んでしまいますから大事にはなりません。

 さて、夢から帰れなくなった人ですが、こうした人はそれが治るという事はないそうです。風邪をひいたりするのとは違うのです。ですが、どうにもならないという事ではありません。上手く生活と心をコントロールすれば良いそうです。それをどうするかですが、その点が一番問題です。そしてこの記事のテーマはまさにそれです。

 ここから話は少し回り道してしまいますがお付き合いください。とりあえず次の曲を聴いてみてください。かなり昔の曲ですしメジャーな曲でもないのでご存知ない方も多いでしょう。

 歌詞はそれほど難解ではありませんから一度聞いただけでもだいたいの意味はわかるでしょう。全体として現代人の生き方を揶揄していますが、その中で「どんな情報も見逃さないが、自分を捕える機能は無い」というところがあります。この「捕える」は「捉える」であると考えられますが、要点としては、他者や周囲に関しては敏感であるが自分自身についてはわからないという意味です。そしてもう一点、歌詞の中では自分自身に対するフィードバックは「人形使い」に求めています。この歌詞の状況は私たちの生き方そのものではないでしょうか?

 そこで話は夢から帰れなくなったあの人に戻ります。つまり、その人は自分自身の状態を把握できないのです。把握できないという事はコントロールすらできないのです。具体的には、その人はその人自身に課して良い仕事の量を調節できません。そして寝たり休んだりする時間をどんどんと削ってしまい病気になったのかもしれません。(私は医者ではありませんから断定はできませんが、これは周囲の方々から聞いた話と私自身が見ての想像です)

 この方は心の病気になってしまいましたが、そこに至らないまでも自分の調節ができずにオーバーロードになってしまう人は大勢います。新入社員として会社に入って一所懸命働いて働いて、さらに働いて、いつしか充電の切れたオモチャのようにパッタリと停止して辞めていってしまう人はまさにそれでしょう。そんな人たちは、(今はどうか知りませんが) 以前であれば「自分探し」に旅立ったものです。「自分探し」、なるほどその通りで、人形使いがいなくなって自分自身でその役をしなければならないわけですから、人形使いであるべき自分を探すという事です。

 ですが、それはほとんどの場合、不成功に終わります。なぜなら、自己管理は私たちが学校で勉強すべき科目には含まれてはいなかったからです。勉強した事のない事をいくら探したところで私たちの中にはありませんし、どの国のどの街の道端にも落ちてはいません。当たり前の事です。私たちが勉強してきたのは、誰かの指示に従って問題を解く事だけです。自分の問題を設定してどんなペースで何をどのようなやり方でするかを考えて実行する事は必要なかったのです。ただ追い立てられるようにやれば良かったのです。

 そうなりますと、私たちに必要なものが見えてきます。私たち自身にその機能が無いならば、私たちには管理者が必要というわけです。夢から帰れなくなった人に専門家である医者が必要であるように、誰かにアドバイスをもらわなくてはなりません。アドバイスをもらうと言うとコンサルタント、カウンセラー、メンターのような専門の人や熟練者を思い浮かべますが、そうでなくても良いのです。特定の事項について私を客観的に見てくれる人であれば。私は最近、大学の時の講師の先生とお友達になっていて時々アドバイスを受けます。(大学の時には先生でしたが卒業後はお友達になったという意味です) 他にも何人かいますが、決して誰でも良いというのではなくて特定少数です。

 ここではどんな人を選ぶべきかというような事を言うつもりはありません。それは人によって違いますし、そもそもどういった他人を選ぶかが自分を管理するポイントになるからです。つまりは、自分を管理する為に他人を選ぶ、その為にどんな人を選んだら良いかを自分で考えるという事です。直接自分に焦点を当てて自分探しするよりは遠回りな感じがしますけれども、この方が確実性が高いのです。病気になったら良いお医者さんを選ぶのと同じ事です。

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