伝説のギターバトル映画「クロスロード」ウォーター・ヒル。
公 開:1986年
監 督:ウォーター・ヒル
上映時間:96分
ジャンル:音楽/青春
音楽というのは、音を楽しむというぐらいなので、その門戸というのは非常に広いものです。
しかし、映画において音楽を取り扱った作品というのは、わかる人にはわかっても、わからない人には、ピンとこなかったりしまして、置いてけぼりになったような気分を味わうことになることもしばしばだったりするのではないでしょうか。
映画「ブルー・ジャイアント」も、そのあたりは、ジャズの良さをだしつつ、迫力のある音楽によって観客を驚かせてはくれます。
また、音楽も凄いですが、凄まじいシゴキによって、音楽の凄さを伝える作品としては「セッション(デイミアン・チャゼル 2014年)」なんていうのもあります。
音楽の面白さは知りたくても、そこまで激しくなくてもいいな、という方に、短くて、少年の成長を描きつつ、音楽の良し悪しに自信がなくても、勝ち負けがはっきりわかる作品があります。
1986年に公開されたウォーター・ヒル監督「クロスロード」です。
ベスト・キッドの俳優
主演を務めるのは、ラルフ・マッチオです。
ラルフ・マッチオといえば、一大ブームにもなった「ベスト・キッド(1984年)」の主人公を演じたことで一躍有名となった俳優です。全国の少年少女たちが、謎の日本人ミヤギが教えた空手の修行を行っていたことでしょう。
1984年に「ベスト・キッド」が公開され、その2年後に公開されたのが「クロスロード」となっておりますので、撮影時期を考えても、初々しい頃の姿をみることができます。
主人公のユジーンは、音楽の才能があり、音楽院でクラシック・ギターを学んでいます。
その腕前は先生たちからも一目置かれているのですが、一方で、ブルースも好きな主人公は、伝説のブルースマンである老人が近所の病院にいることを知って、彼のもとへと会いに行きます。
青春ビルディングスロマン
本作品は、クラシック・ギターを弾いていた主人公が、これまた伝説のブルースマンであるロバート・ジョンソンの、30曲目を探しにいく冒険物語となっています。
気難しい老人であるブラインド・ドック・フルトンことウィリー・ブラウン老人に気に入られ、一緒に病院から抜け出したり、旅の途中で出会った少女と恋に落ちてみたりと、青春ビルディングスロマンの王道のような作品となっています。
時間も短いながら、主人公が大人になっていく姿をみることができます。
「グーニーズ (リチャード・ドナー 1985年)」のような、宝さがしの代わりが、幻の30曲目を探しに、というか、教えてもらうための旅であり、その途中で、ひと夏の恋も描かれるところがわかりやすいです。
ただ、「ストリート・オブ・ファイヤー(1984年)」や「48時間(1985年」でお馴染みの監督であるウォーター・ヒル監督ですので、そこは、たんなる成長もので終わらないところが凄まじかったりします。
ギター・バトル
本作品の最大の見どころは、やはり、音楽です。
クラシック・ギターを流暢に弾きこなす主人公であるとか、ウィリー・ブラウンの見事なハーモニカ。
クラシック・ギターから、エレキギターに持ち替えた主人公などなど、音楽的見どころが満載の作品ともなっています。
特に、本作品を紹介するにあたって、書かないわけにはいかない事柄こそが、悪魔とのギターバトルになります。
本作品は、伝説のブルースマンであるロバート・ジョンソンの逸話がキーとなっています。
クロスロード伝説
映画「クロスロード」の冒頭では、ウィリー・ブラウンが、十字路で、悪魔と契約するシーンから始まります。
これは、ロバート・ジョンソンの演奏があまりに見事だったため、十字路で悪魔に魂を売り渡したからだ、という伝説が広まっていたことに由来します。
そして、ウィリー・ブラウンもまた、その悪魔と契約した、という設定なのです。
で、あれよあれよと、主人公であるユジーンと、悪魔の手先との、ギター・バトルが始まるのです。
バトルの細かい内容は書きませんが、冒頭でも書きましたように、ギター技術によって優劣をつけるということを、わかりやすく、バトルっぽくやってくれるので大変に面白くみることができます。
ラップバトルのような感じもしますが、最大の見どころといって差し支えないところです。
1980年代前半の、映画の盛り上がりが感じられる時代の作品となっていますので、ご覧になっていない方は、是非みてみてもらいたいと思います。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?