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無駄話に人柄が出る。タランティーノ監督「レザボア・ドックス」

公  開:1993年
監  督:クェンティン・タランティーノ
上映時間:100分
ジャンル:アクション/クライム

話しをしないとわからないものメェ~

突然ですが、映画を含めて色々な作品を見るときに、緻密に計算されてつくられたセリフにわくわく感を感じますでしょうか。

あの時のセリフが、その後の伏線になっていたのか、なんていうのは、脚本の見事さを端的に表す意味でも大変わかりやすいところだったりします。

一方で、必要なことしかしゃべらないというのも、不自然だったりするところです。

人間というのは意味のあることしかいわない存在ではありません

だいたいにおいては、本筋とは関係ない無駄話だってするわけですし、その中で、その人柄がわかってきたりする、と考えると、セリフも計算されていたからいいというものでもないでしょう。

さて、クェンティン・タランティーノの監督第一作目である「レザボア・ドックス」は、無駄なセリフのオンパレードとなった作品だったりします。

ここではとても書けないような、偏見に満ちた卑猥なセリフの数々に、地上波での放送はとてもできないだろうな、と思います。

宝石強盗を行おうとする男たちが、常にカッコいいセリフを重ねているわけではなく、やっぱり、くだらないことで盛り上がっていたりするわけです。

本作品は、強盗をする男たちの話ですが、オーシャンズ11のような、格好よさとはかけ離れた作品です。

銃で撃たれて、情けないぐらいに喚き散らす男がでてきたり、冷静沈着そうな雰囲気なのに、サイコパスだったりと、めちゃくちゃです。

色でお互いを呼び合うというのもいい具合でして、本名で呼び合わないようにするコードネームというだけなのに、ピンクは嫌だ、とか、パープルがいいとか、文句をいう始末。しまいには大喧嘩です。

「トゥルーロマンス(トニー・スコット 1993年)」や「ナチュラル・ボーンズ・キラー(オリバー・ストーン 1994年)」で、脚本家としての実績のあったクェンティン・タランティーノではありましたが、監督第一作目ということで、できる限り低予算でできる作品としてつくられているのが、「レザボア・ドックス」となっています。

そのため、舞台劇のような雰囲気があり、同じ場所で入れ替わり立ち代わり役者たちが演技をしていきます。

このシーン、どこかでみたことあるような気がする、という場面もでてきたりしますが、いかにタランティーノの作品が後世にも影響を与えているのかわかりますし、シネフィルの監督でもありますので、どこでオマージュされているかも試されるところだったりします。

字幕も含めて、大量の英語のセリフに慣れていないと、ついていけない場合がありますので、映画初心者向けではなかったりしますが、時々見返してみますと、よくできた作品だなぁ、と思わされることでしょう。

タランティーノ監督は、長編映画を10作品しかとらないと宣言していますので、最終作品が出来上がる前に、一作目を見返すというのも面白いところです。


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