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双極性障害に関する3つの本の比較と感想:ブックレビュー

家族に正しく理解してもらうこと、自分自身が共感することを目的として、双極性障害の当事者の書いた3つの本を読んでみました。
ここでは、これら3つの本の特徴・参考になった点・個人的感想を比較・レビューしていきたいと思います。

本の紹介

①絲山秋子 (2019). 絲的ココロエーーー「気の持ちよう」では治せない

②海空るり (2019). うつ時々、躁:私自身を取り戻す

③まい (2019). まいちゃんの双極取扱説明書-そう-うつなあなただってきっと大丈夫

これらの本を選んだ理由としては、
精神疾患の脳科学やブレインバンクについて調べているうちに、
理化学研究所 脳神経科学研究センター 加藤忠史先生のTwitterを発見し、
①②はそこで紹介されていたためです。

本を読んだきっかけ:両親と自分自身

① 両親に、他の人のエピソードも交えることで正しく理解してもらう
母の勧めもあり、先日少し帰省をしてきました。
帰省が決まった時点で、両親には、自分の診断や仕事のことはすでに説明していましたが、私の伝え方が悪かったのか、話しているうちに少し誤解されているのでは、と感じました。
というのも、”双極性障害になった”ことを説明してからというものの、
私が何か行動を起こすたびに、どこか警戒されているように感じるのです。
また、“精神的に未熟なんだね”と言われた時には、少しショックすら受けました。

まあでも、突然言われても、は?なにそれ??って感じですよね...。無理もない。

そこで、まず、同じような症状を持つ方、寛解された方のエピソードや治療、周りの対応について知ってもらうことで、どんなもので、そういう経過をたどっているかを正しく理解してもらおうと試みました。

② 私自身が共感したかった
第二の理由として、私自身が”ああ、私だけじゃないんだ!”という安心感が欲しからです。

患者会などで当事者の方々と直接会って話す、という手段もありますが、
私は参加したことがありません。
というのも、
何か新しい人間関係を築く前に、今ある壊れた人間関係の修復に取り掛かりたいと思ったから。
そして、自分自身の中でイマイチ受け入れきれていない部分があるためです。

本であれば、会話のキャッチボールをする必要がないし、
治療の方法や、当事者の心情も事細かく知ることができます。

そこで私は、本を読むに至ったのです。

3つの本の特徴:著書の家庭環境 / 内容の違い

これらの本は全て、“双極性障害について”が語られていますが、
それぞれの内容がかなり多角化しています。

ここでは、3つを比較しながら紹介をしていきたいと思います。

① 著者の家庭環境
絲山秋子さん(絲的ココロエ):50代女性 一人暮らし
海空るりさん(うつ時々、躁):40代?女性 夫と子供と暮らす
まいさん(まいちゃんの双極取扱説明書):20代女性 一人暮らし→実家で生活することとなる。仲のいい2人の姉妹を持つ。

② 内容の特徴
絲的ココロエ:
家族や周りの反応よりも、筆者自身について焦点が当てられている印象。
筆者個人の心情やそれに伴う行動が、かなり丁寧に、また、詳細に分析されている。

うつ時々、躁:
家庭を持っていることもあり、子育てのこと(エピソード、支援制度)や夫の支えについて焦点が当てられている印象。
ボリュームが少ないので、かなり読みやすい。

まいちゃんの双極取扱説明書:
筆者が働き盛りの会社勤めであったため、
休職手続きや退社後の支援制度、病院での受診の流れなど、かなり実技的に参考になる内容。
マンガなので、ビジュアルでの理解ができる。

個人的感想:特に参考になった点 / 個人的意見

① 特に参考になった内容
絲的ココロエ:
・鬱でダウンする前兆を把握する方法
ルーティンワークを好き嫌い・得意不得意で分類し、心理状況に応じてその行動がどこに位置づけされるかで評価する。

行動を起こす前にToDoリストを作成、取り組む時間をあらかじめ決める。
・医師の捉え方、使い方

「医師は薬を使って援護射撃をする存在であって、実際に治療する対象なのは自分自身である」

医師は、多い情報量を、豊富な経験と知識を持って、我々が必要なものだけカスタマイズしてくれる存在。
診察にあたっては、限られた診察時間で医師が必要とする情報を簡潔に伝えるために、一番変化が大きいこと・実生活に支障が多いことから伝える

うつ時々、躁:
・元気回復行動プラン(Wellness Recovery Action Plan)の紹介

毎日を元気で豊かに生き、気分を乱すような状況への気づきを高め、調子が悪くなった際に回復を促すための行動プラン

元気な時の行動プラン、不調気味の時の行動プランを立てておくなど。
http://wrap-jp.net/about.html

詳しくは、私もこれから勉強します。

まいちゃんの双極取扱説明書:
・休職中の傷病手当の手続きについて、自立支援制度について

② 個人的意見
躁や鬱のエピソードにかなり共感した
 例えば、電車を見て死に方を考えてしまったことや、
 躁転した時に、初めは周りも自分も完治したのだと思っていたこと、
 躁の時の仕事の仕方など、かなり"それ、私もだ!”な内容がありました。

・躁や鬱の時の行動そのものや行動量などは、かなり人によって違っているなあ
 特に感情の向かうベクトルが違うように思います。
 躁状態が怒りに向かう人や、ひたすら快感に向かう人、鬱状態が怒りに向かう人や悲しみに向かう人など。

'うつ時々、躁'や'まいちゃんの双極取扱説明書'の筆者は、友人関係に恵まれているなあ
 受け入れて理解して、親身になって話を聞いてくれる気の置けない友人が近くにいたことが、少し羨ましく感じた。
 一方で、'絲的ココロエ'は、恐れ多いですが、思考の仕方がどことなく私と似ているのではないかと思うところがあって、かなり参考になりました。筆者が、自分や周りの反応をかなり細かく分析しているので、私にとっては心地よく読み進めることができました。

・両親に本を紹介した結果...
  これらの本を両親に紹介したところ、まさかの結果が...。
なんと母が、同じ本(まいちゃんの双極取扱説明書)を持っているではないか!  
”どんなもんか、これから勉強しようかと思って...”という、なんともありがたい限りのお言葉もいただきました。

まとめ

・本の紹介

・本を読んだきっかけ:両親と自分自身

・3つの本の特徴:
①著書の家庭環境→一人暮らし or 家庭を持つ / 年齢層の違い
②内容の違い→心理状況や行動を分析 / 子育てについて / 仕事について

・個人的感想:
①特に参考になった点→心理状況の分析や心理療法、支援制度など
②個人的意見


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