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認知療法って何?:ブックレビュー

双極性障害に対処するために...「薬の服用と認知療法が有効ですよ。」
受診しているクリニックで、そのようなアドバイスをいただいたため、お勉強を。
ここでは、以前の記事で少し触れましたが、私が取り入れようと思った”認知療法”について、とても参考になった本があるので、レビューします。
精神疾患の治療に用いれられていますが、誰もが活用・実践できる方法です。

以前の記事については、こちら。

本について

参考にした本は、こちら。

受診しているクリニックの医師にオススメしていただき、物は試しと読んでみました。これは確かに、役立ちそうだ!取り入れる価値アリ!と思ったため、共有したいと思います。

自己啓発本が、大っ嫌いな私ですが、
本書は、マインドに訴えかけるような暑苦しい内容ではなく、
アプローチの方法と実践を、例を踏まえながら、書き込み式で学び、身につけていく、実用書(ドリルみたいな感じ)になっているので、
抵抗感をあまり感じずに読み進めることが出来ました。

認知療法って何?

この本を読んでから知ったのですが、本の著者の 大野 裕 先生 監修のサイトがありました。

https://www.cbtjp.net/cure/cure2.html

認知療法とは何か、どうやって実践すれば良いのか、必要なスキルなど、
本を読むまでもなく、このサイトでしっかり身につけることができます。
(私は、物事を理解するのに、自筆でごりごりと書き込む方が頭に入って来やすいタイプなので、はじめに紙媒体から取り掛かって良かったと思っています。)

端的にまとめると、
ストレスにうまく対処し、気分を楽にするために、思考や行動をうまくコントロールする方法。

本では、”ノート”と名の付くように、概念の説明、実践例を紹介した後、フォームに沿った実践ができるようになっています。

鬱状態で、そんなことできるかい!:個人的感想

①  ”方法はわかったけども...ひどい鬱の状態で、そんなことできるかい!”
初読の感想は、ズバリこの言葉に尽きます。

私の場合、鬱と躁の波を定期的に繰り返していて、
幸運にも、今はひどい鬱状態ではないので、こうして本を読み、理解し、行動できています。

しかし、鬱状態の時で正常な思考も叶わない時に、この本をおすすめされても、
おそらく読めない...
読んだとして、思考をコントロールするために、過去や現状を振り返って客観的に捉えてみたり、実際に行動して振り返ってみたり、
そんなエネルギーを使うプロセスは、とてもじゃないけれど無理だと思います。

しかし、
そういった、どうしようもない時のために、薬があるのでは。

まずは、薬を使って、思考と行動が一貫するように戻すことが、第一優先かなと。
その上で、過去や今ある問題について、振り返ってみる。
落ち着いて、一歩引いた見方で物事を考えられるくらいに回復してから、問題解決を実践してみる。

そう考えれば、とても無理だ!!とも限らないのではないでしょうか。

② "これから先、何十年も、毎日、降りかかる問題に対して、時間をかけて客観視して、最良の選択をして、行動せねばならんのか...逆に辛いわ。"
次に感じた事です。

このことに関して、今の私が行き着いた答えは、
意外と、そうでもないかもしれない...です。

学習・訓練を繰り返せば、自然に(例えば、客観視・選択するということを異物として捉えずに)思考・行動できることも出来るようになるのかも。

これは、生命科学を学ぶ者として、
自分に起こっている事について、科学的・合理的説明をつけたかったため、調べたことを材料に、自分なりに出した答えです。

神経伝達細胞同士の結合で構築されるネットワークは、学習・訓練を繰り返すことで、それらの結合強度が変化して、再構築が可能なんだそうです(シナプス可逆性)。

http://kompas.hosp.keio.ac.jp/sp/contents/medical_info/science/201404.html

認知療法と神経伝達の関係については、まだ解明されていない事が多いようですが、(きっと、人を対象としたサンプル数も少ないんだろうなぁ...)
少なくとも、そういったことが起こっているかもしれないと考えると、
納得して、受け入れられるような気がします。

補遺:認知療法の汎用性 / 脳・神経科学って興味深い / やっぱりな...

① 認知療法の汎用性

私は、今回医師に紹介されて初めて、認知療法の存在を知りましたし、
よし、取り入れてみるか。と思えたのは、
これから先、また最悪の事態に陥ることのないように、必要なものは毛嫌いせずに受け入れよう。との考えからです。

このように、実体験して、問題に対して危機感を感じて、初めて受け入れて行動しようと思えました。
新しい考えや物事を、受け入れて、自分で使えるものにするまでには、割と大きなエネルギーが必要だと思います。(私もまだ、中途段階)
さらに、年齢を重ねれば重ねるほど、思考回路の定着強度は強くなっているので、どんどん、その障壁は上がっていくと思います。

また、認知療法により、生きやすい考え方になるには、
何度も何度も、実践を繰り返し、定着させることが必要であるそうです。

そこで感じたのは、もっと早くに、
このようなストレス対処のアプローチ方法を知っていたらなあ、ということです。

幼稚園生や小学生で鬱に陥ってしまう人は、なかなかいないですよね。
私自身、嫌だなあ・悲しいなあと感じることはあっても、
それが悩みなのかを意識的に考えられる程、そもそも脳自体が発達していなかったように思います。

しかし、悶々と色々なことに悩みながら、生き方を探っていた中学時代に、ストレスへの対処の仕方、客観視・選択するということを身につけていたなら。

なんか、生きずらいよなぁ...と感じている、このもやっと感を、少しでも払拭できていたのではないかなと思います。
とはいっても、当時は部活や受験勉強、遊ぶことに忙しく、そういった自分の思考(内面)について考える時間や機会などなかったので、仕方がない。

誰に提案するわけでもないですが、
いわゆる思春期の訪れる、中・高生に、授業の時間など少しの時間を割いて、
ストレスの対処方法を紹介してみては、どうでしょう。
もしかしたら、今の教育システムは、そういったことは既に組み込まれているのかもしれませんね。出過ぎた真似を致しました。

② 脳・神経科学って興味深い

私は大学時代、農学(残念ながら脳じゃない...)・生命科学を専攻していたので、
脳科学や神経科学については、かすった程度の理解しかありませんでした。
しかし、いろいろ調べて勉強してみると、複雑で奥が深い...!! 

特に、思考や感情の発生について思いを馳せれば、神秘すら感じてしまう。

しかし、可視化、測定、解析など技術が、日進月歩で発展している今、
日々、様々な事が新たに分かってきている、伸びしろの多い、hot な分野なのですね!今後が楽しみです。

③ やっぱりな...

認知療法って何?のところで、本の著者の 大野 裕 先生 監修のサイトをご紹介しました。

本だけを読むと、(一度本を手に取っていただくとわかるのですが、)
都度、ノート(本書)に記録し、過去の内容を振り返る必要があるのです。
これは、Webアプリや、スマホアプリにしたら便利じゃないか。
むむ...これは、ビジネスチャンスだ。
なんて思ってしまった訳ですが、まあそんなこと誰でも思いつくわな。

このサイトの会員コンテンツとして、とうの昔に盛り込まれておりました(ちぇっ笑)。

https://www.cbtjp.net/ability/kokorogaharerucolum.html

まとめ

・本の紹介:大野 裕 (2003). こころが晴れるノート:うつと不安の認知療法自習帳

・認知療法とは:ストレスにうまく対処し、気分を楽にするために、思考や行動をうまくコントロールする方法

・個人的感想:
①鬱状態で、そんなことできるかい!→薬の服用と併せればできそう。
②一生これ、やり続けるのか → 学習と訓練で(脳回路そのものが)定着するらしい。

・補遺(認知療法の汎用性 / 脳・神経科学って興味深い / やっぱりな..)


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