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もやブロ#47 福岡出張記〜西戸崎編〜

観光庁「新たな旅のスタイル促進事業」の認定アドバイザーとして、福岡観光コンベンションビューローと福岡市役所の招待で、東京のブロックチェーンロック株式会社のワーケーションプログラムに参加してきました。

私の役割としては、プログラムの中で福岡市東区にある志賀商工会が力を入れる西戸崎(さいとざき)地区の活性化に関するアドバイザリー業務です。

西戸崎ってどんなところ?

仕事の関係で、福岡県内に2年ほど住んでいたこともあり、福岡市内にはよく足を運んでいたものの、初めて訪れるエリアでした。

日本史で習う「漢委奴国王印」金印が出土した志賀島と、その入口である港湾地区西戸崎の人口は合わせて約8千人。主だった買い物環境は車30分程度の地区へ出ないといけないリゾート地、という点で、湯沢町と非常に近しいものを感じます。

明治時代には14戸しかなかった場所が、粕屋炭田の海運、それに伴う鉄道路の整備、国際空港の整備という歴史から海軍の飛行場となり、その後は「キャンプ・ハカタ」として70年代まで米軍基地が置かれ、怒涛の隆盛を見せます。

現在10枚あるシャッターアートは全て個性的

商工会のメンバーが中心になり、キャンプハカタプロジェクトと称し、公民館に当時の写真展の常設や、商店のシャッターにポップなアメリカンアートを施し町おこしを行っていました。

町にはマンションが建ち、若い移住者も増える一方で、
①地域中小企業の廃業、
②生活利便施設や飲食店の不足、
③地域内での就労環境の不足、
④旧住民の高齢化(空き家問題)
などは大きな課題として残っています。

私は地域課題の解決を考える際のアプローチとして、
まず課題と考えられていることは何か。
その本質的な原因は何か。
それが将来どうなっていたいか。
地域が持っている資源は何か。
それを活用した際に、どのような効用が考えられるか。
という順で考えていきます。

西戸崎にみた地域の課題と本質的な原因

課題はできるだけシンプルに。
削ぎ落として、削ぎ落として見えてきた原因は、「暮らすと働くの乖離」でした。

西戸崎駅。駅付近には大規模マンションが数棟

福岡市中心部へ電車で45分ほどのマリンリゾートとして、大規模なマンションが建ち、新しく戸建住宅の建築も進んでいますが、そこで暮らす人たちはほとんどが市街へ出ていっていることでしょう。
働くと、生活をすると、寝るが分離している。まさにベッドタウン的な役割となってしまっているのではないでしょうか。

このあたりのエビデンスは、福岡市が出しているエリアの統計や、電車の利用人数などを見て推測している部分があります。本当であれば、聞き取り調査などをして、仮説が合っているかを確かめたいところ。

ベッドタウンはなぜいけないのか?

ベッドタウン:大都市に働く人々が夜になると寝るために帰ってくるところから、大都市周辺の住宅地域。

スーパー大辞林

ベッドタウンの賛否については諸説あるのですが、私個人としては、職住近接こそがウェルビーイングを実現できる要素だと考えています。

そのため、西戸崎の住民が職住近接できる環境づくりをすることによって、この素晴らしい環境の中で「平日は寝るだけ」「休日にならないと環境を楽しめない」という状況から脱却できるようにする必要があります。

だって、みんなこの環境が好きで、ここを住まいとして選んでいるわけなんだから・・・それが週末だけって勿体無くないですか?!

駅付近の空地に立派な大銀杏。ここでマーケット開いたらとても楽しそう。

打ち手としての企業誘致とマイクロワーケーション

企業誘致というと、市外・県外の地域から企業を引っ張ってくるというイメージがあるかもしれません。
今回はターゲットとして、福岡市内(博多・天神・赤坂等のビジネス街)にある企業を想定しています。

市内to市内だと、税効果もあまりなく、市としては一見あまりインパクトがないかもしれません。

ですが、例えば、コールセンターやCS部門の拠点をサテライトで西戸崎に誘致するのはいかがでしょうか。昨今、こういった職種は市街地では人の募集が集まりにくいです。時給や運営コストがかかる割に採用が困難だという企業の声もあります。

一方、西戸崎ではマンション等に移住してきた若い主婦さんたちが労働力を余らせていないでしょうか。
周辺には働きに出る場がなく、あったとしても海浜公園やルイガンズなどの観光の現場であるため土日祝日が出勤日になってしまっては子育て世代としては働きにくいのです。

▼福岡市が出しているオープンデータ。人口増しているのが見てとれる。

地域の魅力であるフラットハウス

住宅地・リゾート地なので、西戸崎には当然オフィスビルなんてありません。サテライトオフィスを誘致すると言っても場所がないじゃないか!

いやいや、そんなことはないです。
地域内にたくさんある「フラットハウス」平家住戸は、5〜10人のチームが働く小さなオフィスにピッタリ。

ちょうどいいサイズ(50平米くらい?)のフラットハウス達

地域では高齢化が進んでいるため、空き家問題もこれから多く発生してくることでしょう。(地域内の空き家率については、市役所の方からデータをいただきたいところ)
こうした物件を安価に調達し、適切にリノベーションすれば、憧れのリゾートオフィスの完成です。

ツアーの中で、東京と二拠点生活をしているデザイナーのアラタ・クールハンドさんが運営する民泊を見せていただきました。これには同行した東京の会社員の皆さんも「めっちゃいい!」「かっこいい〜」「住みたい」などの賞賛の声。

憧れるライフスタイルを実現する

さて、人は何のために生きるか。
答えは様々ではあると思いますが、共通して言えそうなことは、自分の理想のライフスタイルを実現するため。ということは一要素としてあるのではないでしょうか。

西戸崎で暮らすと、毎日、海の様子が見れて、こじんまりとした町には顔なじみが増え、「あそぶ」と「暮らす」がなめらかになりそうです。
そこに「はたらく」が加わり、地域コミュニティに分断された住民が入り込むことによって、よりライフスタイルは彩り、なめらかになるような気はしませんか?

波がいいときに海に入り、
自転車でゆったりと通勤し、
小さなコミュニティの中で子供を育み、
顔が見える安心安全の環境の中で暮らす。

そんな贅沢が、ここ西戸崎では実現できそうです。

どんな人が西戸崎に向いているか

自分たちの暮らしは、自分でつくる!
というクラフトマンシップに溢れている方に向いている場所です。

あと、役割としては下記のような役割の方がいるといいです。
・地域コーディネーター(空き家や空き店舗のコーディネートや、人つなぎなどができる人)
・マイクロツーリズムの担い手
※こちらは下記の地域資源編を参照していただければ

現状、そのような方はいらっしゃらないらしいので、複数の生業をかけもちながら自分らしいライフスタイルを実現したい方はとってもオススメです。

近くには、おしゃれなMako`s cafeさんや、雑貨屋さんなどもできており、週末起業をしてみたい方がチャレンジできる場所もありそうな雰囲気・・・

おまけ:西戸崎にあった地域資源

商工会が主催でやっている街歩きでは「入国審査」から始めます。
ですが、これは現在、商工会のキャンプハカタプロジェクトのメンバーが有志でやっているためツアーや生業としてやっている方はいないそう。
マイクロツーリズムとかをやりたい方にとっては、参入のチャンス。

志賀商工会長さん兼公民館長さんからのオリエンテーションでは、地域の歴史などについても教えていただいたのだが、まぁキャラが濃い(笑)
人が魅力です」とみんな口々に言うが、これは体験しないとわからない。

明治には14戸しかなかった地域が、海運が発達し、空港ができ、海軍の飛行場となり・・・それによって盛り場も発達し。
終戦後にはキャンプハカタとしての歴史を重ね、基地返還後には国定公園「海の中道」として福岡市内のリゾートエリアへと変貌を遂げる。
そんな時代と産業に左右されたまち。
だからこそ、そこに住む人は、土着の人があまりいなく会長曰く「柔軟な人たちが多い」と言うことだそうです。

ローカルで活動をしていると、地域の軋轢はどこでもよく聞く話ですが、西戸崎では新しいチャレンジをする人をどんどん受け入れていきたい!と言う気概と、それができる土壌・風土があります
チャレンジしやすい文化が、ここにはある!

あと、個人的には色街としての名残がちょっとだけ残っているのが良かったです。場所は探してみてね!!!

宿泊地であるザ・ルイガンズはリゾート感たっぷりのホテルで、隣が水族館というロケーションからファミリーのご利用も多かったです。
スパやアウトドアサウナもあり、ウェディングもやっているそうなので、利用シーンは色々と考えられそうですね。ビジネスユースとしても転用ができます。

最後に

違った地域に行くと、地域の魅力が見えてくる。
そのまちの立地や成り立ち、現在の構成要素によって、打ち手は変化していくもの。

まちの特徴を活かした、地域づくりが全国で広がっていくことを、微力ながら支えていければと思います。

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「魅力的なまちで溢れかえっている世界を」作り「地方で暮らす人を増やし消滅可能性都市をなくす」ことをミッションに動くまちづくり会社社長。湯沢町で暮らす2児の母でもある。