一番愛していたモトカレの話
恋人として、一番好きであったであろう人のお話です。「愛していた」なんて、大それた日本語をタイトルに置いているが、実際、愛が何かだなんて、語ることはできない。
まず、前置きとして、彼は日本人ではない。
出会いは、小さなグラウンド横の、何の変哲も無い通り道だった。
その道をいつも「Our rendezvous」と表現する彼が好きだった。
カフェでいつも分厚い洋書を熱読している横顔を見るのが好きだった。
4階からグラウンドを見下ろすと、サッカーをしている彼と夕日が同時に見えるあの空間が好きだった。
今思えば、彼からの「好き」はいつも、曖昧なものだった。
そして、去年の今頃、
まだ、恋人同士であった夏の日、
彼は突然、私の知らない人と結婚した
驚きよりも、「やっぱり」という感情の方が大きかったのかもしれない。
涙も出なければ、彼を責め立てることもなかった。
ただ、彼に「Happy Celebration」という言葉を送った。
「本当はそんなに好きではなかった」フリはうまくできたいたのだろうか。
心の中で騒めく感情を整理出来なかった。
友人に事情を淡々と説明して、驚きや怒りの表情を向けられても、まるで自分のことではないかのように呆然と眺めているだけであった。
彼は変な人だった。
電話越しに聞こえる、女の人の声に本当は気づいていた。
友人に自分のことを紹介する時、ガールフレンドだという名目ではないことを知っていた。
それらを見て見ぬふりをして、
「人権問題を無視できない」
なんて、学校の授業では大きな顔をしていた自分に吐き気がする。
自分の人権には疎く、
それは、裏切られた今でも、同じで
ナイフが刺さった心臓の音が微かに聞こえるだけで
痛みに反応できなくなってしまった
ソレは、自分の感情が欠陥しているからなのか
それとも、彼から処方された薬の所為なのか
p.s
注射は得意ですが、お薬は苦手です。
文字を書くことが生き甲斐です。此処に残す文字が誰かの居場所や希望になればいいなと思っています。心の底から応援してやりたい!と思った時にサポートしてもらえれば光栄です。from moyami.