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ぽぽら春日部モヤモヤカフェ(2022年4月)

4月23日(土)に、ぽぽら春日部(ふれあいキューブ4階)で、2022年最初のモヤモヤカフェを開催しました!

 今年は年初からオミクロン株が猛威をふるっていたため、やむなく延期が続いていましたが、ようやく2022年のモヤモヤカフェをスタートすることができました。
 今回は豊春地区でコミュニティカフェを運営する「タマムシの会」さんとぽぽら春日部が共催して公開セミナーも開催。介護保険制度や地域の社会資源の活用について、参加者の皆さんとともに議論を深めていきました。公開セミナーの後に開催した今回のモヤモヤカフェには、チャレンジングな野心(!?)を抱く2名の女性がスピーカーとして登場。一部ではありますが、それぞれのエキサイティングなストーリーをお楽しみください。

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『お天道様が見守る、自給自足の笑顔の村』

1.「ねころび村をつくるのだ!!」モヤモヤ
 【モヤ友】石川圭子さん(株式会社こたか 代表取締役)

石川さん1

 私は一ノ割駅のすぐ近くで介護事業所を営んでいて、『ケアマネジャーセンターラズベリー』と『訪問介護ミント』、自費のデイサービス『けいこちゃんち』、『日本看取り士会埼玉研修所』を運営しています。看取り士という職業は3年前に勉強を重ねて民間資格を取得しました。講話者としてプラスの死生観を全国で広める活動もしています。本業柄もあり、すでに数十名の方の幸せな最期の寄り添いをさせていただきました。
 そしていま内牧で、障がいを持った方々と共に無農薬で化学肥料も使わずに野菜をつくっていこうということを始めています。2年前に、元々シクラメン農家さんだった2,000坪の農地を購入することができたのです。毎月第4日曜日にイベントを開催しています。微生物が入り込める隙間もないくらいカチカチの土地で、そこでこれから種を植え、苗を植えるということはすごく大変な作業でした。けれども、少しずつ集まってくれた大人や子どもたちと一緒に土地を掘り起こし、石や枝、粉炭等を使って隙間をあけながらフワフワな土を準備しているところです。
 それから、人の尿や便が分解発酵される“あうんトイレ”というものを設置しました。分解発酵されると、臭いもなくなりバイオ水・バイオ堆肥となってとても良い肥料になります。さらに光合成という段階を踏むと、酵素水として人が飲めるまでになります。人の尿便を運ぶ微生物はその人の体の情報を持って出てくるので、水にしろ堆肥にしろ今度また別の人の体に入る時に、その人の体を治したり、治癒力を上げたりする役割を果たしてくれます。そんな微生物の素晴らしい力を利用していきたいと思っています。
 また、内牧は上り坂になっていて高い(位置にある)土地なので水はけが良く、大地もしっかりしています。有事には強いと思っていて、私はペットと一緒に避難できるスポットにもしたいと考えています。
 農業をしようと思ったのは2年前です。コロナ禍に普段ほとんど見ないテレビをパッとつけたら、食品が何もないアメリカのスーパーが映っていました。すぐに日本もこうなるなと思っていたら、タイムリーに「内牧の土地が競売に出されているから買いませんか?」と言ってくれた人がいて、すぐに「買います!」と競売に入札したらあっという間に負けてしまいました。なぜかというと、最後の最後に滑り込んできた大企業が桁違いの入札額で落札してしまったんです。私は1年前から構想を練っていたので悔しくて悲しくてずっと泣いていました。そんななか私の80歳になった母が急に自分の身の回りのことができなくなって、私の家に転がり込んできたんです。喧嘩もしましたけど、それでも私は笑顔を絶やさず母を快く迎え入れました。すると、事態が急変しました。父の夢を見たんです、本当に目の前にいるみたいに。すると大企業が(入札から)撤退したという連絡が入ってきました。もう嬉しくて母を助手席に乗せて、その内牧の農地を見に行ったら、母が「ここは父と一緒に40年間シクラメンを買いに来ていた農家さんじゃない!」と言ったんです。「ここのシクラメンは大きくて長持ちするから」と、父がお友達や会社の人たちにプレゼントするために通っていた農家さんでした。私は鳥肌が立つぐらいすごいなと思いました。父がずっと天国で応援してくれていた。「お天道様が見ているからね」と言われて育った意味が初めて分かった気がしました。
 私は父が応援してくれている農地に『自給自足の村』を作りたいと思っています。物々交換をしながら、スマホもお金もいらない村を作りたいです。そして宿題もテストもないし、先生もいない小学校も作りたいです。それから、何年も前からやろうか止めようか考えていたことですが、“赤ちゃんポスト”をやってみようかなと思っています。コロナ禍で在宅ワークだった父親が我が子を殺してしまうという事件を耳にすると、「殺してしまうぐらいなら私に預けてください」と言いたいです。そして、作った村の中で別け隔てなくみんなで育てていけたらいいなと思っています。
 私は看取り士として、いつもプラスの死生観を広めさせてもらっていますが、そんな私が夢について聞かれたときは「笑って死ぬこと」と答えています。それには笑って生きること。死に様は生き様なので、私はいつも笑って上を向くことを実践しています。くよくよしていたらお天道様や亡くなった方々に申し訳ないですしね。私のモヤモヤは、お天道様が見てくれている農地(ねころび内牧)にたくさんの方に来ていただきたいことです。どうか皆様、お時間があるときに内牧に遊びに来てください。一緒に村を作っていきましょう!

ねころび内牧1


『離婚・再婚・介助、すべての経験を子どものために』

2.子どもの笑顔を守りたいモヤモヤ
 【モヤ友】三上洋子さん(ボランティア団体 オクト 代表)

三上さん1

 私は春日部市大畑の住宅街で、2020年にパソコン教室を始めました。今までの経験をもとに、学校に足が向かないお子さんが、漢字・かきかた・パソコンを学べるフリースクールを開きたいとも思っていました。でも、本業は主婦で、自宅で介護をしているため時間に制限があり、お子さんを終日お預かりすることは叶いませんでした。その制限のなかで、何かできないかと思い、県で行っている『子ども応援ネットワーク埼玉』というプロジェクトの会員になり、そこでフードパントリーという活動を知りました。フードパントリーはひとり親世帯や生活困窮のかたに食品を無料で差し上げる活動です。2021年の8月に第1回のフードパントリーを行いました。
 八潮にセカンドハーベスト・ジャパンというフードバンクがあり、そこに余剰食品や、パッケージに印字ミスがあった商品、輸送中に段ボールに損傷の出た商品などが運び込まれます。子ども食堂や、ボランティア団体などが、セカンドハーベスト・ジャパンと契約を結び、食品を引き取りに行きます。その後、世帯数分に袋詰めして、食品を必要とするかたに配付します。 その活動が、フードロスの解消につながっています。最近では、テレビでフードパントリーの様子をご覧になる機会もあると思いますが、それを私も月に1回ぐらい行っています。

オクト

 ただ、私が(活動のために)借りた家は昭和47年築の古い家で、静かな住宅街の一角にあるので、大勢のかたに集まっていただき、一気に配布という形はとれません。SNSやジモティーで告知して、受け取りの予約をしていただき、時間をずらして配付しています。そのため一人ずつに近況をうかがえるという嬉しい効果も生まれました。ご近所の一人住まいの高齢のかたには「お元気ですか?」という感じで私の方から(配布品を)持って伺います。1回の開催につき30世帯ほど配っています。
 私がなぜこういった活動をするようになったのかをお話しします。私は25歳までワープ ロのインストラクターをしていました。23歳当時(1983年頃)はワープロが200万円 した時代で、購入した企業に出向き操作を説明したり、販促の展示会で講習会を開催したりしていました。その後、結婚して、娘を出産し、31歳から自身でワープロ教室(のちにパソコンスクール)を始めると、生活のリズムが合わなくなり、サラリーマンの夫と溝ができて37歳で離婚することになりました。娘ふたりを養育するシングルマザーとなり、自営業をしていた13年間は人生の暗黒期でし た。仕事には波があり、経済的にも苦しく、まして恋もできない…そんな時代でした。早く自営業を辞めて専業主婦になりたい!と切実に願い続けました。そしてなんとか50歳で再婚できました(笑)再婚した大好きな主人には、なんと子どもが4人いて、私には2人いたので子どもが総勢6人になりました。
 今は血縁のない親子関係を構築している家族を「ステップファミリー」と呼ぶそうですが、 私も50歳からの10年間、ステップファミリーとなるために、主人側の子どもたちのお世話を必死でしました。何より苦戦したのは、長女(主人側)です。知的障がいがあり、見る、聞く、歩くくらいしかできない状況で、生活のすべてに私の介助が必要でした。何もできないの に、いたずらはできるんですけどね(笑)。そんな汗だくの日々を乗り越えられたのは、離婚して娘たちに寂しい思いをさせた後悔と、神様がもう一度やり直すチャンスをくださったことへの恩返しの気持ちでした。
 そんな暮らしに慣れた頃に、コロナ禍となり、明日死ぬかもしれないという恐怖におびえましたし、私が命綱である長女を残しては死ねないとも思いました。そして、長女の生まれた意味や、生きる喜びを改めて考えるようになりました。(長女は)とても人が好きだけれど、デイサービスで一緒に行動できるほど丈夫でもないし、意思の疎通ができません。私を介して誰かと会うことが唯一の楽しみなのです。
 それなら、長女の存在を認めてもらえるコミュニティを、私が作ろうと考えました。長女の無垢な笑顔には、思わずつられて笑ってしまう力があります。もし、悲しい気持ちの人を元気づけることができたなら、長女も社会に貢献したことになるのではないでしょうか。そんな思いが動機となって、オクトを立ち上げました。
 離婚や再婚など、経験しましたので、今後はステップファミリーを目指すご家族や、再婚を希望するかたの、ご縁の架け橋の役目を担いたいと思います。再婚には、良い面も悪い面もあり、最も気をつけたいのは「子どもの虐待」です。子どもが 穏やかに暮らすためには、親御さんの健全な愛情が必要です。胸が痛む虐待の事件を耳にしますが、ネットで安易に出会って再婚という流れは、子どもにとって必ずしも幸せとは言いきれません。虐待防止を目的としたオレンジリボン運動の支援団体にも承認されましたので、子どもの笑顔を守るために積極的に活動していくつもりです。
 他にも、家族の介護をしながら学校に通うヤングケアラーに対する支援活動や、小中学生を育てるママさんたちが、不用になった体操着や制服、未使用の文房具などを譲り合ったり、情報交換ができるネットワークを作りたいとも思います。
 私が一番モヤモヤしているのは、いろいろ助けになりたい!と野望があるのに、体力がついていかないということです(苦笑)。時間が足りないことにもモヤモヤしていますが、出来る事から一つずつ取り組んでいこうと思っています。

三上さん2

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モヤモヤカフェは、暮らしのなかで感じるちょっとした疑問や悩み、ワクワクするアイデアを、コーヒーなどの飲み物を片手におしゃべりをする場所です。これからも春日部で活動する個人個人の思いを紡いでいきたいと思います。

次回のモヤモヤカフェは2022年5月21日(土)の午前中に開催します。今年1月に延期となり、なかなか開催できずにいた出張モヤモヤカフェを満を持して開催します。以前ゲストに来てもらった矢崎さんが運営する『シェアリビングtonarino』にお邪魔したいと思いますので、ぜひ楽しみにしていてください。ここまで読んでくださり、ありがとうございました!




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