Review-#017 『ゾンビランドサガ』

これも いきもののサガ か…


 「アニメを観たので感想を書く」コーナーもこの第8弾で(秋期分は)お終い。何とか無事に8日間連続で投稿出来て良かった。
 そういうわけで2018年秋アニメ紹介の大トリを飾るのが、この『ゾンビランドサガ』です。

 なぜこれを最後に持ってきたかというと、この作品はなるべく事前情報をシャットアウトした状態で観てほしいからなんですよね。なので未だ観ていない人は、このページをスクロールせずにブラウザバックしたほうが良いと思うのです。
 先行上映でもネタバレしない誓約書を書かされ(更に身分証明書の提示が必要)るぐらい厳しい情報統制が敷かれていましたから。

 まぁショートレビュー形式だったらまだしも、単独記事なのであんまり意味がないような気もします。
 それはともかく、何かよく分からないタイトルが気になった方はとりあえず第一話視聴を。この第一話の印象で全体の1/3ぐらいの印象が決まるといっても過言ではないでしょう。ネタバレ上等という人でも、まずは第一話を観てからもう一度こちらに来てくださいませ。

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<今回紹介する2018年秋アニメ一覧>
SSSS.GRIDMAN
青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない
やがて君になる
となりの吸血鬼さん
うちのメイドがウザすぎる!
抱かれたい男1位に脅されています。
宇宙戦艦ティラミスⅡ
ゾンビランドサガ ←いまここ
--------------------------------------------------------------------------------------ゾンビランドサガ (2018年10月-12月)

アニメーション制作:MAPPA
監督:境宗久
シリーズ構成:村越繁

<TVアニメプロモーション映像>

<☟サイコミにてコミカライズ版も連載中です!>
ゾンビランドサガ (サイコミ連載・2018年10月8日~)

原作:広報広聴課ゾンビ係
漫画:空路恵

(クリックすると掲載サイトにジャンプします。コミカライズ第1巻が2月22日頃発売予定です!)

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 さて、ここまでスクロールしたからには後悔しませんね。
 上の作品情報で若干ネタバレしちゃっていますが。それでは本編。


【ストーリー】佐賀ではよくあること(?) 

 私、第一話からリアルタイムで観ていましたが、


 なんだこれ。

 なんだこれ!? 


 という始まり方でしたね。

 放送間近まで全然注目していなかったのですが、見た感じ女の子がパンデミック状態の街にてサバイバルする作品かな? と思ったんですね。成程、そういう題材は嫌いじゃないぞ、どーんと来いやぁぁぁぁぁ!!と構えてみたら主人公が1分ちょいで軽トラにどーんと轢かれる展開だったとは。
 それでもAパートはゾンビ要素強め、だと思ったらAパート終わりからそれすらもぶち壊す展開に。

 端的に言えば逆『がっこうぐらし!』。端的、かなぁ?
 ということで、第一話のあらすじ。

 2008年。源さくら(みなもと ―)はこの春から高校2年生。ちょっとトロい所もある彼女だが、なりたい自分になるためアイドルのオーディションに応募することを決めた。彼女を待つのは明るい未来、のはずだった――

 家の敷地から出た次の瞬間、
 さくらは軽トラに轢かれ応募書類の封筒と共に空を舞った。

 それから10年経った。
 さくらは雨の夜、洋館で目覚めた。見知らぬ場所に戸惑う彼女が最初に目にしたもの…それはこちらに襲い掛からんとするゾンビの群れであった。パニックになりながら脱出するも、さくら自身もゾンビであることを知る。
 生前の記憶が失われた彼女の前に現れたのは謎のアイドルプロデューサー、巽幸太郎(たつみ こうたろう)。存在自体が風前の灯火(台詞ママ)である佐賀を救うために、さくらと伝説の肩書を持つ6人の少女をゾンビィとして現代に甦らせたのだという。

 何もかもがあやふや、先行き不安な中で「ゾンビランドサガプロジェクト」が始動する。さくら達は佐賀を盛り上げるご当地アイドルグループとして活動することになったのだった…。


 あ…ありのまま 今 起こったことを話すぜ!
 『おれはゾンビパニックもののサガ(物語)を観ていたと思ったらいつのまにかゾンビィのアイドルがハチャメチャやらかすサガ(佐賀)のアニメを観ていた』
 な… 何を言ってるのか わからねーと思うがおれも何が起きているのかわからなかった…
 頭がどうにかなりそうだった… よくあるゾンビものだとかよくあるアイドルものだとか
 そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ
 もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…

 ポルナレフさんじゃなくてもポルナレフ状態になる濃厚な第一話。
 つまり、かつて伝説を残し(1人だけ例外)夭折していった少女がゾンビィとして目覚め、佐賀のご当地アイドルとして色々頑張るという話です。
 …なんだこれ。3回目。
 先行上映会のアンケートでは「予想外の展開だった」と88%の参加者が回答したとか。そりゃあなぁ。残りの12%はPVからビミョーに隠しきれていないコメディチックさを感じ取ったんだろうか。改めて観直すと確かに隠せてないよねこのPV。詳しくは作品情報からどうぞ。


 『ゾンビランドサガ』という作品は、企画段階で結構な変化球を投げています。
 まず何故「ゾンビでアイドル」をやろうとしたのか、これは本作のプロデューサーであるサイゲームズの竹中氏が「『神撃のバハムート GENESIS』に出てきたリタというキャラクターが可愛いかったから」とインタビューの中で明かしています。それでMAPPAの大塚氏に提案したところ「面白い」と意気投合、しかしサイゲームズ側の稟議になかなか通らず。
 そんな中、サイゲームズの渡邊社長が佐賀県出身ということで「佐賀県のアニメを作ってほしい」という依頼が。「アレ? ひょっとしたら佐賀要素入れれば通るんじゃね?」と考えたら、なんとまさかのOK

 原題は『ゾンビアイドル』という直球でしたが、段々と「普通のアイドルものじゃない」感が強まったということで『ゾンビランドサガ』というタイトルになったそうです。何というか、最初から最後までノリと勢いで実現までこぎつけたかのような経緯です。

 そういうわけで、タイトルだけ見て「ゾンビもの?」「『ヴィンランド・サガ』のパロディか何か?」と思ってワクワクしていた人はここで思いっきり肩を透かしたことでしょう。そういう作品ではありません。THE・勢いという具合にスタートした本作ですが、実際はかなりのダークホースっぷりを見せつけた作品でもありました。
 最初は「この勢いが最後まで持つかどうか」と考えていましたが、視聴し続けているうちにだんだんと薄れてきて。何故かと言えばこの作品のストーリーは勢いにとどまらない、「ゾンビィアイドル」であるという題材の強みを活かしていたからです。


 第一話である程度、如何に設定がぶっ飛んでいるかを示していましたがそれだけで終わらないのがゾンビランドサガ。
 制作の経緯からも分かるように、本作において「必要性」が感じられる要素というのはあまり多くありません。ですが、彼女たちが「ゾンビィ」で「アイドル」であるということ、ついでに「佐賀」を舞台にしていることにより、「独特」のストーリーが展開されている。これが本作において一番大きなポイントではないかと思います。

 ゾンビィ、大雑把に言って死人なので人間離れしたパフォーマンスはお手のもの。第一話から首が折れたかのようなヘッドバンキング、続く第二話以降では体のパーツがポロリ、などなど本来ならホラーになりそうなシーンがほぼほぼギャグとして描かれています。いや、それでも怖いけどね。可愛いのもあるけど。すっぴん時の彼女たちからは、ちょっと動くだけでもニチャヌチャボキボキと生々しいSEが響きます。怖いってば。

 ゾンビィならではの身体を張ったギャグもあれば、アイドルとして奮闘する彼女たちの生き様をシリアスに描いたりと、緩急を付けているというよりその辺を余すことなくキッチリ組み込んでいる感じです。
 シリアスな面が強いエピソードだと「何か普通のアイドルものになっちゃってない?」と思う人もいるかもしれませんが、うーん…落ち着いて考えると至って普通じゃあない気がする。だってこんなアイドル、他にいる? ゾンビィにハートごとぐっちょり喰われて、感覚が麻痺しているんじゃないかね??


 いっぺん、死んでいるという彼女たちに待ち受けているものは様々です。生前の親しき存在との別れと再会だとか、時代の変遷と共に移ろいゆく観念の相違から生まれる対立だとか、過去の自身への苦悩だとか。
 それは辛く、切ない出来事であっても、自分たちがアイドルであるということを活かして乗り越えていきます。

 グループメンバーは世代がバラバラ。特に伝説の平成のアイドルである水野愛(みずの あい)と伝説の昭和のアイドルである紺野純子(こんの じゅんこ)、この2人はアイドルであるということに強い誇りとプロ意識を持っているため、自分の中のアイドル像やゾンビィとしての立ち位置に悩むことになります。
 昭和と平成の対比は他のアイドルものでも少なからず触れられているのかもしれませんが、現役で死んだアイドルが現代で互いのアイドル論をぶつけるという展開は、成程ゾンビィとして甦った設定ならでは。生前の状態で甦るということで、他のメンバーでもそれに紐付けされたエピソードが展開されます。

 時に苦悩しつつ、現代にて自分たちの出来ること、持てる力を発揮して、文字通り輝けるアイドルとして佐賀の大地に立つ。
 確かに一部分だけを切り取れば他のアイドルものと大差ないのかもしれませんが、カタルシスに至るまでの過程は少なくともこの作品独自のものじゃないでしょうか。

 類まれなる才能を持っていたはずの少女たちが、道半ばで命途絶えるというのはよくよく考えずとも悲惨です。彼女たちは如何にして短い生涯を閉ざすことになってしまったのか、それは劇中で明かされます。
 キャラクターデザインを担当した深川女史曰く、死因を確りと考えてデザインしたとのこと。彼女たちのあらゆる部分に残された傷跡が、それぞれの運命を物語っています。

 彼女たちの境遇は重くしようと思えばいくらでも重くできる、きっと。ただそういう風にストーリーを展開せず、基本コメディチックにしてシリアスな側面を持ち込ませることで、辛さ一辺倒にはならずにマイルドな気分で観ていられるんだと思います。100パーセント泣かせに来るのではなく笑っていたと思っていたらいつの間にか涙腺が緩んでいた、みたいな。
 シリアスに限らず「この回はこのような回」だと、すっぽりと収まりきれない。最初から最後まで「意外性」を持たせ続けているのです。

 お気に入りのシーンと言うのは何度でも観たくなるものですが、1クールでやりたいことを詰めまくった本作品においては何度も観返すことに大きな意義があると思います。
 何気なくスルーしていた要素含めて、「あそこはこういう事だったのか」とか「視点を変えて観ると印象が変わる」とか、色々な発見と共に奥深さが出てきます。他の作品でも言えることではありますが、本作では特にそのことが強く感じられます。
 単なる勢いだけのストーリーじゃあ、こうはならないからね。まさに小島食品工業の殿様するめの如く「噛めば噛むほど味の出る作品」。


 最初は全くバラバラだったゾンビィたちがアイドルとして結束を強めていく中で、キャラクターへの愛着も強いものとなっていきます。
 どのキャラクターも個性が強い連中ですが、1クールの中で彼ら彼女らの魅力は沢山描かれています。最後まで視聴した皆さんはもう覚えましたね、「やーらしか」。箱推しって、こういう時のためにあるような言葉なんですねと実感した瞬間でした。
 欲を言うならゾンビィ5号ことゆうぎりについても、もっと深堀りしてくれたらなぁと思ったけれど。何だかんだでおいしいところを掻っ攫っていく(物理)彼女は、流石「姐さん」と親しまれているだけのことはあります。

 そして外せないのが謎のアイドルプロデューサー・巽幸太郎の存在。
 第一話から「宮野真守が宮野真守を演じている」と言わんばかりのウザいテンションで、状況を把握できていない彼女たちを翻弄していきます。
 このノリはなかなか人を選ぶし、巽Pでこのストーリーが成り立っているという風にも見えます。ですが宮野劇場は一側面でしかありません。第一話じゃあ目覚めているのがさくら1人だけですし、そりゃあそう映るでしょうが、彼の本領発揮はゾンビィが目覚めてから。

 誰から見ても胡散臭さしかない巽Pと「ゾンビランドサガプロジェクト」に反発するゾンビィもいますが、おちゃらけているように見えても実はかなりの本気。全員が集合している時はなかなか見せない、真剣な巽Pも描かれています。
 ふざけているようでかなりの有能っぷりも見せる彼は、奇妙なバランスのとれたキャラクターだと言えるでしょう。まるで台本が渡されたかのようなその姿に、「誰だお前!?」と突っ込んだ人もいるとかいないとか。

 でも真剣な所を見せた後も、いつもの破天荒っぷりは消えないわけで。音響制作のスタッフが提案したという形で宮野さんが抜擢されたわけですが、確かに「残念なイケメン」とか言われているほどだしなぁ。ハマリ役ではあります。
 なんでしたらこれ観てってください。本人が本人役で出演しております。もう全てがうるさい

 ちなみに各話冒頭でさくらによる前回のあらすじが挿入されますが、巽Pに感化されたかのようなテンションです。どんどん悪化(?)していきます。なんていうか、もうはたきたくなるぐらいにウザかわいい。さくらはん!


 全12話でストーリーは大団円を迎えます。今のうちに言っておきますと、『SSSS.GRIDMAN』のように明かされていない謎が本作でも結構残っています。

 例えば「どうやってゾンビになったのか」。日本は火葬の国、骨しか遺っていないはずの彼女たちがどうやって肉体ごと甦ったのか、何故時代も場所もバラバラであるはずなのに佐賀に呼び集められたのか、とか。
 事実、彼女たちからも「日本って火葬でしょ?」と突っ込みが入りますが、結局どのような方法を巽Pが採って甦らせたのかは不明のままです。現段階では、巽Pが第一話で言ったように「なんやかんやで墓からドーン!! じゃいかんのかい!」ということにしておきましょう。
 OPの『徒花ネクロマンシー』というタイトルから、多分魔術的なものだと考えられますけれどね。

 基本的にこの作品のストーリーは「さくらを中心とするゾンビィ達の物語」であるため、実のところ「ゾンビィになった方法」などは然程重要ではない要素ではあるのです。多くを語らずに、描きたいところは確りと描いたという点では、満足度の高いシナリオになっていると思います。
 『シドニアの騎士』や『牙狼シリーズ(アニメ版)』で脚本を担当していた村越繁氏は、本作が初のシリーズ構成だそうで。初でこれは凄いね。

 ただ、そうした謎に何にも手掛かりがないというわけではなく、ある程度「こうじゃないか」と考えられるヒントがちりばめられています。私のようなタイプには好いんじゃないかと。
 そうそう、現在池袋パルコで開催中の『MAPPA SHOW CASE』では『ゾンサガ』も出展しています。2月2日からはファンブックである『FIRST FAN BOOK』も先行販売されるようで(価格は2,300円+税)。もしかしたら答え合わせができるかもしれませんので、お時間のある方は是非足を運んでみてはいかがでしょうか。

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【作画・劇伴等】どれもこれも印象深い

 アニメーション制作は『ユーリ!!! on ICE』や『この世界の片隅に』で知られるMAPPA。今期は『どろろ』(手塚プロダクションと共同制作)と『賭ケグルイ××』が放送されていますね。よく動きますし、キャラクターの表情も良いです。さくらをはじめとするキャラクターが見せる変顔も豊かです。

 アイドルなのでライブでは3DCGも使われています。手書きシーンと3DCGシーンは半々ぐらい。3DCGというだけで避ける人もいるでしょうし、私自身も、初期は周囲から浮いてるし、表情も硬いかなーと思いました。とはいえ、まだアイドルとして未熟だったころだからね。このぎこちなさも演出の一環でしょうか。
 そんな3DCGですが、回を重ねるごとにこなれてきたのか、3DCGも周囲とマッチングしており、表情もかなり豊かになっています。ダイナミックなカメラ回しなど、3DCGならではの恩恵もありますからね。ストーリーと合わせて熱いライブシーンでいっぱいです。


 アイドル曲、ここでは「ゾンビィソング」としましょう。様々なジャンルを取り入れたゾンビィソングはどれも個性と熱さがあります。
 OPの『徒花ネクロマンシー』は第二話から流れますが、まるで観るアニメを間違ったかのようで、そして熱くカッコイイ曲調となっています。ついでに映像も観るアニメを間違ったかのよう。そして「ここのさくらちゃんの後ろ姿興奮する」。

 暖かみのある水彩画ED映像と共に流れる合唱曲『光』などをはじめ、どのゾンビィソングもクオリティが高いです。捨て曲一切ナシ。メロディだけじゃなく歌詞にも注目です。曲を楽しみたい方は是非円盤を購入しましょう、各巻にゾンビィソングが収録された特典CDが付いてきますので。
 バラエティ豊かなゾンビィソングのレコーディングは相当に大変だったようで、詳しくはこちらの記事で語られています。純子を演じた河瀬茉希さんの歌声が耳に焼き付いた、という方も多いのでは。

 劇伴はキュアメタルこと高梨康治氏が担当。第一話冒頭で流れた処刑用BGMをはじめ、印象に残る曲が多いです。処刑用BGMって何のことかって?? 観ていればそのうち分かります。嫌でもそのうち分かります。


 忘れてはいけないのが、制作の決め手となった佐賀県要素。これでもかとばかりに詰め込まれています。
 ロケハンしたこともあって、佐賀の風景が丁寧に描かれています。現在は解体されてしまった「寿通り商店街」も登場したりと、佐賀にお住まいの方・以前住んでいた方にとって印象深いスポットが多数登場しているのではないでしょうか。

 背景だけでなく、本編やアイキャッチにて名産物や観光スポット、イベントなどがたっぷりと紹介されています。特に「ドライブイン鳥」は凄かった。まさしく超有名企業になりましたね。オンラインショッピングもできるそうで、今度買ってみようかしら。

 地元民であるさくらはしっかり方言女子しています。佐賀県出身の藤野真梨亜女史による監修が入っているため、唐津弁に近い佐賀弁になっているのかな? さくらの口癖「どやんす~」は先に紹介した「やーらしか」並みに記憶に残るワードです。「どやんすボディ」なる謎の説得力を持った単語もファンの間では有名になりましたが…。

 本作を観れば、天空都市だの海底都市だの「はなわのイメージしかない」だのとは言えなくなるんじゃないかな。ネタとしては今後も言い続けられるんだろうけれど。それは置いといて、「佐賀に行ってみたい!」と思う気持ちがきっと強くなると思います。
 ある意味、ご当地アニメのお手本となるような作品です。ここまで魅力たっぷりに描いてもらえる佐賀県が羨ましい


 完全に余談ですが、『スイートプリキュア♪』や『美少女戦士セーラームーンCrystal』など東映アニメーションの数多くの作品を手掛けた境宗久氏は、本作がMAPPAに転籍してから初の監督作品です。
 よく見るとスタッフには東アニ繋がりが。
 分かりやすいところで言いますと先ほど紹介した高梨氏もそうですが、サブライターのますもとたくや氏や絵コンテ・演出を担当した宇田鋼之介氏は『ONE PIECE』で関わりがありますし、音響効果の今野康之氏は『美少女戦士セーラームーン』や『ゲゲゲの鬼太郎』でも音響効果を担当、選曲の茅原万起子女史も『美少女戦士セーラームーン』にて選曲しています。

 二階堂サキ(にかいどう ―)を演じた田野アサミさんは『スマイルプリキュア!』の日野あかね/キュアサニーが有名ですが、『ONE PIECE』で『ココロのちず』を歌っていたボーカル&ダンスユニット「BOYSTYLE」のメンバーでもありました。もう14年前? 早いなぁ…。


 …え? 伝説の山田たえは誰が演じているかって??
 いつクレジットの「????」が外されるか気になるところですが、意外と引っ張りませんよ。第三話のEDはクレジットにも目を凝らしてみてください。まさに伝説級のあの人です。何も情報を見ずに当てられたら凄いよ、あんた。

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【総括】2018年に咬み跡を残していった伝説のゾンビィアニメ

 うーわー。スクロールバーが小さい。自分でもドン引きする程書いてしまいました。10000文字オーバーしているんじゃないですかね?
 こんなんじゃあ、当初予定していたショートレビュー枠での紹介だとどうなっていたことやら…。マウスでクリックできなくなるぐらい小さくなってたんじゃないかしら。それはないか。

 分かりやすくていいですね、こんなに書くぐらいには魅かれるものがあったと言える作品です。評価もAMAZING。「よか…」の一言です。まさか何気なく観始めた作品がここまで化けるとは。ゾンビィだけに。
 構想から4年の時を経て世に出された『ゾンサガ』はそれだけ温めた甲斐があったというものでしょう。3月にはライブが開催されますね。まだまだお熱で腐ることはなさそうです。

 「ネットユーザーが本気で選ぶ! アニメ総選挙2018年間大賞」では堂々の第1位に。ここまで支持を集めたのは、単なる奇抜さや勢いに留まらない「笑って時には泣ける」熱いストーリーや、盛りだくさんに描かれたキャラクターの魅力、佐賀の魅力というのがあるんじゃないかなと思います。

 「年齢も性別も時代も超えて、びんびんに刺激する『新感覚ゾンビ系アニメ』」と謳った『ゾンビランドサガ』は見事第一話で巽Pが言った「佐賀の…いや、全ての常識をひっくり返す存在」として名を刻むこととなりました。
 まさかの有言実行には私もひっくり返ったよ。そして先見の明がある巽Pはやはり有能でした。

 「ゾンビもの」、「アイドルもの」は何となく避けていた、興味を持っていない人にもお薦めできる作品です。実際私がそうだったからね、そこはハッキリと言えます。『ゾンビランドサガ』というタイトルにしたのは名前だけで敬遠せずに一話だけでも観てほしい、という気持ちもあったからだそうです。状況を見るにこの判断は正解なのかも。

 佐賀かぁ。一度は行ってみたいね。ウチからだと遠いのが難だけれど…福岡まで飛行機で行って、そこから電車やバスで佐賀まで向かうっていうのが一番良いのかな。聖地巡礼…ていうか慰霊巡拝?

 サイコミのコミカライズ版もオススメですよ。巽Pの視点から描かれる『ゾンサガ』…のようなグルメ漫画と化しております。もはや何の漫画なのかさっぱり分かんねぇ! というところを含めて『ゾンサガ』らしいなぁと思えます。そして腹が減る。

 最後に。外に出るときはちゃんと左右を確認しましょう

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 さて、これにて私からの2018年秋アニメの紹介は一通り終えました。今回取り上げなかったもの以外にも色々観ていました。『ガイコツ書店員 本田さん』とか『RELEASE THE SPYCE』とか。
 2019年も沢山アニメやっていますね。始まってから1ヶ月近く経っているというのに、前期のアニメの話をしているっていうのが異常なだけなんだけれどね…。

 秋でも「今期は夏ほどnoteで紹介するまでもないかな~?」と言いながら結局それなりに紹介しているところを見るに、冬期も記事にできそうな作品はそれなりにあるなと覚悟して観ています。どうだろう、4月にはまた「アニメを観たので感想を書く」コーナーがやれるのかな。

 まぁ何はともあれ、皆さんのお気に入りの作品は今回ご紹介した8作品の中にありましたでしょうか。今年も面白い作品とめぐり逢えるといいですね…。では、この辺で。長丁場のお付き合い、ありがとうございました。

〈了〉

©ゾンビランドサガ製作委員会