「パイナップル先生のありがたくないお言葉」のよかった点について

今日は「パイナップル先生のありがたくないお言葉」について、指摘を受けたところの、よかった点についてです。
今日のは、どうかな。みなさんの参考になるかな?

・酢豚の中のパイナップルというあだ名がおもしろかった
これは8月4日の記事でも書いたように、ドラマ「相棒」での言葉です。杉下右京が「酢豚の中のパイナップルは存在意義がわからない」というようなことを言っていたのです。たしか土曜ワイド劇場のころの、プレシーズンの1回目です。右京さんは酢豚の中のパイナップルが嫌いなんだそうです。わたしは前の記事でも書きましたが、酢豚が嫌いで、むしろその中のパイナップルだけに価値があると思っていたので、一歩押し進めてみました。そのおかげで、パイナップルの意味が逆転するという現象が起こってくれたと思います。
もとになる言葉は拝借ですが、一歩押し進めてみると、オリジナリティーが出るんじゃないかと思いました。

・琴葉という名前が素敵で、センスがある
元ネタはプリキュアです。花海ことは。はーちゃん。キュアフェリーチェ。
琴葉は小学生の女子から「はーちゃん先生」「フェリーチェ先生」などと呼ばれているという、どうでもいい裏設定があります。しかし琴葉はプリキュアシリーズを見ていないために意味が通じないのでした。どっちかというと子どものころの琴葉は、日曜日の朝は弟と一緒に仮面ライダーやスーパー戦隊を見ていそうなイメージです。
ちなみに宝田の元ネタは、俳優の宝田明氏です。けっこうな名優ですが、若い人にはなじみがないかもしれません。特撮ファンには、ゴジラシリーズなどに何度も出演されているので、印象深いです。

・宝田と、優等生的な琴葉との対比がよかった
お互いを引き立たせるための、キャラクター配置の基本ですね。まあうまくいったようです。

・宝田は最初は嫌な人に思えたが、だんだんいい人に見えてきた
作者の狙いとはちょっとずれているんですよね。本来は「最初はおかしな人に見えたが、だんだんまともな人に見えてきた」というのが狙いだったので。ああこれ、そう考えるとよかった点じゃないな。

・キャラクターはおもしろい
そう言っていただけてよかったんですけれども、「キャラクターは」というところに少し不安を感じます。限定しているっぽいです。ストーリーは?

・スピード感がある
限られた枚数だったので展開を急いだというところはあります。その分描写が足りなかったりしましたね。

・家庭の理不尽さをうまく書けている
うまかったかなあ。前回の「悪かった点」ではいろいろあったのですがね。賛否のうちの賛もあったということでしょう。

・「毒親」は聞いたことがあるが、「毒子」というのは独特
残念ながらこれはわたしが作った言葉ではないです。そんなには聞きませんが、使っている人はいます。今作では毒親に悩まされる人を書きたかったのですが、一方的になるのが嫌だったので、毒子という言葉も出してみました。

・深刻な題材なのに、ユーモアがあり、気持ちよく読める
ユーモアはわたしも好きですが、使いどころが難しくもあります。深刻な題材であれば、ユーモアを盛り込むことで、逆に「雰囲気を台無しにしている」と思われてしまうこともあります。

・作者の言いたいことに説得力があり、読後感がいい
やはり宝田の言葉に説得力がありすぎましたね(ホントかよ)。冒頭の部分では説得力を抑えればよかったですかね。
読後感については、偶然の産物です。前回話したように、もっとひどい終わり方になるはずだったので。

・状況設定がわかりやすく、最初から入っていける
裏を返せば、ありきたりの場面から始まっているということでもあります。宝田のマニュアル接客に関する演説で、冒頭から変な人として印象づけたかったのですが。

・琴葉と宝田、全く違う意見の二人を出すことで、中立的な視点を作り出すことに成功している
これはよかったです。ただこれもバランス問題で、作者の主張がないということにもつながってしまいます。

・琴葉の父親と弟の幸太について、最初のほうで伏線として出しているのはうまい
こう言っていただけたのはありがたいのですが、うまいですかねえ。作者としては、意識的に伏線を張ったのはたしかですが、あまり考えていませんでした。「この辺でこのくらいの情報を出しておくか」くらいの軽い気持ちでやってます。たまたま、うまくいったのでしょう。
「深く考えなくても、自然と伏線を張る技術ができている」ということだったりしたら、うれしいのですが。そんな都合よくいかないですよね。

・ラスト、琴葉が宝田の考えに傾きかけていることをうかがわせるのはよかった
狙いどおりといえば狙いどおりです。

以上、よかった点でした。たまたまうまくいったものもありますね。
「パイナップル先生のありがたくないお言葉」については、こんなところで終了したいと思います。
また語りたいことがあったら、書くかもしれませんけど。

一作書いて、講評をしていただくと、いろいろと学ぶことがあります。
せっかくいい経験をしたと思ったので、みなさんと共有できればと思い、こうして数日に渡って書いてみました。
小説を書くのに、どうバランスをとるのか、どこまで書けば作者の意図が通じるのか、どうすればもっとわかりやすくなるのか、読者はどう受け取り、どういう感想を持つのか、などなど……。そういったことは、一人で書いていてもわかりません。
誰かに読んでもらって、試行錯誤しながら身につけていきましょう。
また、どなたかの作品を読ませてもらい、いろいろ指摘するのも勉強になります。
がんばっていきましょう。

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