シンクロニシティのすすめその1 マイオルフェウス

昨年、イベントに出た。ローカルテレビ局をやっているという若者が訪ねてきて、誘われた。タロットでの出展だった。同じ市の区民館大ホールだという。企画書がなくて、見せられたのが区民館の使用許可申請書だったので変だなあと思ったが、その若者とは夏にあいさつを交わしていて一途な感じがしたのでとくに疑わなかった。助成を受けているらしく参加費無料ということだった。

当日会場に行ってみたが、お客さんは来なかった。1000人規模のホールで、主催の若者は毎日のようにメッセンジャーでたくさんの人が来てくれることやその名簿の写真などを連絡してきていた。それがとても違和感ありありだったので状況は予想できたので まああきらめの境地だった。たくさんの準備をしてきた人たち、お気の毒だった。すごくリーダーシップをとってくれていた人がいてその人は聞いたら主催とは初対面とのことだった。私も一人知り合いがいたから安心して参加したけど、でなかったらさすがに心細かったかもしれない。

ロビーで出展していたが暇だったのでステージを覗いた。音楽とトークがメインのイベントだったのだ。

20代と思しき青年がスポットライトの中で歌っていた。(再び記すが1000人規模のホール、お客さんはいない)なんだかその声に打たれた。少し裸ぎみといったらいいのか…。立ち居ふるまいが落ち着いていて媚びていなくてとっても好感が持てた。ギターが普通にうまかった。そして歌詞に惹かれた。オリジナルのようで喜ばしく感じた。

ふだんライブに行くことはないし音楽も日常的には聴かない私にはめったに起こらない非日常的な体験だった。好きなタイプの声や歌に偶然遭遇するという経験ももしかしたら十年以上なかった。

さてそのイベントの終了時、ステージで記念写真を撮ったあと、参加費が999円かかることがわかって、しぶしぶ主催の若者に支払った。金額じゃなくて、聞かされていなかったのがおかしいと思えた。「ほかの参加者は…?」(誰も集めていませんよ、指示もないし)「○○さんたちもう帰りかけてましたよ」

そしたら彼は脱兎のごとくロビーへ走っていった…。私が「あ、この人、現実認識できてるんだ」と思った瞬間だった。

さてそれからしばらくして。

恒星占星術(ビジュアルアストロロジー)の勉強会があった。演習のように受講者が発表する。私の初めての発表はベガだった。

「(ベガは)オルフェウスの竪琴に関連づけられていて、音楽の星だともいわれています。この竪琴の音により動物たちはおとなしく飼い慣らされる。(中略)磁力的でカリスマ的な人物。あるいは反対に、だまされやすく、容易に人に惹きつけられてしまう人の両面を意味します」(以上松村潔「トランシット占星術」説話社)

発表しながらじわんじわんと気づきがきた。

あ、わたし、これたいけんした…

発表が決まってベガを選んだのはイベントの何週間か前で、イベントが終わってから調べ初め、当日に臨んだのだけれど、自分で話し始めるまでこの体験とベガが似ているとは全く気づいていなかったので、なんだかエウレーカ的な驚きがあった。

イベントを主催した若者と、歌っていた若者はベガの両面なのだろう。そして私はベガするほうじゃなくてされるほうだったのだ。

それで、歌っていた若者のことはオルフェウスと呼んでいる。都内のライブハウスで月イチで歌っているので一度だけ出かけていったが、コロナの影響は今はお休み。ときどきユーチューブで聴く。やっぱり私のオルフェウスだと思える、のである。





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