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夏の空気に秘密をのせて

ジリジリとした陽射しの中で 遠くを見ると陽炎が揺れている あの時に素直になれていたら。 ** 初夏 環境が変わって少し慣れた頃、人生で初めての恋人ができた。 毎日が楽しくて、幸せだった。 「夏祭り、一緒に行かない?」 彼の言葉に頷いた。 好きな人と行く、初めての夏祭り。 あぁ、どうしよう、浴衣着ようかな、着飾ってるって可笑しくないかな。 夕方になってもまだじわじわと汗をかいて、 でも、そんなこと気にしてられないくらいにドキドキした、駅前の18:00 少し向こうで

    • 名前が贈るわたしについて

      もうどこの国の人かも忘れてしまったし、二度と会わない人だけど 私の中でずっと忘れられない人がいる。 その人ときちんと会話したのは一度きり。 《お互いの名前の由来を教えあう》 その時にたまたまペアになったのが、彼女だった。 とても落ち着いた、素敵な人だと初対面で思ったことを覚えている。 そんな彼女の、名前の由来。 「私の名前はね、 太陽 という意味なの。」 笑顔で答えた彼女はとても誇らしげだった。 ‘これ以上、言わなくても伝わるでしょう’ という強気で自信に満ち溢れた

      • 神様は乗り越えられる試練しか与えないとかいうクソ理論

        よく、わたしが「辛い、生きていきたくない」とこぼすと 少なからず 《神様は乗り越えられない試練は与えないんだよ》 《神様はあなたが乗り越えられると思ってるから大丈夫だよ》 とかいうクソ理論を励ましのつもりで言ってくる人がいるけど いや、神様とかじゃなくて、今、私が生きてることがつらくて耐えられないからSOSを出したのに 頑張るの?これ以上?鬼畜すぎる〜!! と思ってしまうほどにダメダメのダメ子なんだ、わたし。 きっと少なからずわたしと同じような気持ちで頑張っ

        • この世界の闇の中で

          私の世界を全て投げ出して、遠い国に逃げたことがある。 短い期間だったけれど、あの数週間は人生においてあらゆるものを以ってしても変え難い、 わたしの大切な時間で わたしにとって大切なコンパスとなっている。 信頼していた人に裏切られて、人生の先も見えなくて、何もかもがうまくいかないと思ったから、いっそ投げ出してしまえばいいと思い立った。 知ってはいるけど見たことのない国の、見たこともない世界を目の当たりにして、 誰も知らない、頼る人もいない、その国のルールもわからなければ、言

        夏の空気に秘密をのせて

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        • 人間不適合
          4本
        • メンヘラ女が愛を知る
          3本

        記事

          メンヘラ女が愛を知る_0.5

          私の最高にスイートでかっこよくてかわいいウルトラ素敵フィーバーな彼氏について語ります。 メンヘラになって10年目になりかけた頃私には最高にスイートな彼氏ができました。 例えるなら婚活市場にいたら最良物件みたいなレベルの人です。 そんな彼に出会ってメンヘラが治るわけではないのですが、彼に初めて会った時に 私、この人で落ち着くんだと思ったのです 今までも好きと思わずともてきとうに彼氏を作っては別れてを繰り返した私ですが 珍しく2年近くも恋人を作りませんでした というのも

          メンヘラ女が愛を知る_0.5

          メンヘラ女が愛を知る_02

          好きと憧れは似て非なるものでして 人生に未熟な私はそれを同一視しておりました。 私は、その時憧れていた彼にどうにかこうにか連絡先を教えてもらい、連絡を取るようになり、どういう経緯かお付き合いを始めました。 最初は憧れていたこともあって嬉しかったのですがだんだん噛み合わなくなって結局お別れをしました。 なぜ別れたのかも思い出せないし、今彼に会っても好きにはならないのに あの時なぜか憧れを好きと勘違いしていたんですね。 「あの人みたいになりたいもの」はあの人の魅力ではあるの

          メンヘラ女が愛を知る_02

          メンヘラ女が愛を知る-01

          「メンヘラ」 ※ここでは恋人に対して異常なまでに精神が不安定になることとします いわゆる、メンヘラになるまでには時間はかかりませんでした。 初めてできた恋人が嬉しくて、学校で会えるのに常にメールでやり取りをしたり 休みの日には電話したりデートに行ったり、 常に恋人のことを考えていました。 恋人が他の人と会話するのも嫌だと思ったら一気にメンヘラ女へ急降下、そのまま溺れてしまいました そこから新しく恋人ができるにつれ、酷くなるメンヘラ症状、溺れてしまった以上苦しくてももがき

          メンヘラ女が愛を知る-01

          人間不適合_01

          朝早く起きて支度をして、ぎゅうぎゅうに詰められながらまるで出荷されるみたいに会社へ行く 「行く」より「運ばれる」って感じ やりたくもない仕事を日々続けて、このまま私なんのために仕事をして生きていくんだろう、 めちゃくちゃつまらない、とふと思い立って 「もういっそ投げ出してしまおう」とする だけど心のどこかで「みんなこうして生活してる」「辞めたらどうやって生きていくの?」 という自制がかかる それの繰り返しでもうどれくらい経つのかな 生きてるという実感が欲しい。 毎日パ

          人間不適合_01