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旅する術

目あてもなしにさすらうことは青春のよろこびだ。
だがそのよろこびも青春と共に私から遠のいた。
それ以来目的と意志とが自覚されるや、
私はすぐさまその場を去った。

ただ目的だけを追いかけている眼には
さすらいの滋味はわからない。
あらゆる途上で待ちかまえている
森も流れもすべての美観も閉ざされたままだ。

これから私もさすらう仕方を学ばなければならない、
瞬間の無垢なかがやきが
あこがれの星の前でも薄れないように。

旅する術はこうだ。
世界の輪舞に加わって共に身を隠し、
休息の時でもなお愛する遠方への途上にあること。

(写真は今日の不忍池にて)