【しぶとく、したたかに】第5節 愛媛FC【レビュー】

甲府戦のスタッツも激しかったけど、愛媛戦のスタッツもなかなかアレな感じになった。
サッカーが採点競技なら軍配は愛媛に上がっただろうし、なんならここまでの戦績も2分3敗くらいになるだろう。それでも愛媛に勝ちきって、内容が悪いながらここまで勝点7を積み上げることができた。
徳重のスーパーセーブに助けられているとはいえ、評価するべきだと思う。

立ち上がりは互いに探り合う展開から、期せずして早い時間帯にCKで点を取れた。先制点を取ったのだからリスクマネジメントを一番に考えてカウンター一発を狙うのが定石だが、今年の長崎はどうにも推進力に欠けてシュートにたどり着かない。
システムの噛みあわせの悪さから愛媛の狙い通りに崩されて、何本もシュートを許すが最後は角田、キュベック、徳重の力量で失点を防ぐ。70分過ぎからは失点しないことを第一にした闘い方にシフトチェンジ、まんまと逃げきりに成功した。

相性が悪い3421vs442

甲府戦と比べると守備時のDFライン、MFラインの距離感は適切に保たれるようになった。問題だったのは愛媛3バックに対して長崎2トップのプレスが遅れるシーンがあり、愛媛の左右CBがかなり縦パスを通していた。
そもそもDF4人、MF4人で広大なピッチを守るのは難しく、ツートップも含めて相手を規制する動きが不可欠になる。ジョンホ、玉田がコンビを組む場合はどうしても発生する問題なので、要改善だと思う。

一方でGKから丁寧にビルドアップする愛媛を相手に、積極的なプレスに出るシーンも目立った。相手が左サイドからビルドアップする場合、玉田・ジョンホ・大竹が3CBにプレス→WBに誘導したところをSBが詰める方法を取っていたが、SBが高い位置を取れず遅れる場面が多く、愛媛WBが出口になってプレスを無効化されていた。

リトリートするにもプレスに行くにも、どちらも上手くハメられなかった事で愛媛に押し込まれるシーンが増えた。442のゾーンディフェンスで守る利点は「守っていても前線に2人いるからカウンターの起点にできる」点にあるが、ジョンホと玉田の距離感が悪いせいかボールを収める事が出来ず、結果として防戦一方になる時間帯もあった。

勝点を取りきるための「割り切り」

プレスもリトリートも上手くハマらず、フラストレーションを溜めてる間にツートップがガス欠を起こした。いよいよ前線の規制が難しいとみるや、手倉森監督は黒木をアンカーに置く4141にシステムを変更した。スペースを与えない守備に移行することで愛媛の攻めはより難しいものになった。
またカウンター時にも攻める人数を3~4人に制限することで、カウンター返しを喰らうリスクも軽減した。

5試合で2得点、流れの中からの得点は0

手倉森監督は就任会見の際に「将来的には見て楽しいサッカーをやりたいけれど、J1に戻ることを優先した戦いもしないといけない」と語っている。
愛媛戦はまさにJ1に戻ることを優先した戦いとなった。もし前半の早い時間帯にキュベックのゴールが生まれていなければ、試合展開は全く違うものになったかもしれない。

ここまで2得点は全チーム中ワースト、不安視する声は試合ごとに大きくなっている。去年のチームと比べると圧倒的に前線のスピードが足りていないのは事実で、ガンバ大阪から呉屋を獲得したことを考えても、チームとしても上手くいってない実感があるのだろう。

次節は高木監督が率いる大宮。徹底的に相手を分析して、嫌がることを突き詰めるスタイルは変わらないはず。7節以降はまた連戦になることを考えると、必勝が求められる戦いになる。

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