胃腸炎になった話

 久々に、この世の中に戻ってきた気がする。

 タイトルの通り、1週間ほど胃腸炎で臥せっていた。この経験は結構衝撃的であったので、備忘録もかねて書いておこうと思う。


なお、もちろんキレイでステキなお話ではないので、
予めご了承下さいませませ。



序章:なんだ夏バテか?情けないなあ。

 月曜日。午後の仕事で外出から帰ってきたところだった。
 急激にやる気がなくなり、文章を打とうとしても何も打てず、かといって何かを読もうとしても続かない。情けないなあと感じながら、終業までできることをこなし、翌日は念のために一日休むことにした。

 先週末に少しハードに動いたこともあり、最初はその疲れが来たのかと考えた。しかし、それではいくら何でも自分が貧弱すぎる。そういう意味でも認めたくないところだった。

 その日は開き直って好きなことだけして寝ようと思い、ロクに家事もこなさずに床に就いた。

1日目:迫りくる便意!喪失する戦意!

 いきなりビロウで申し訳ない。

 でも1日目はこれしかいうことがない。

 午前中は「不調だなあ~」と思いながらも買い物をこなすくらいはできた。思えばこの時点で一度でも病院にかかっていれば、多少違ったのかもしれないが、その時までは最近急に来た暑さで少し疲れが出たのだと思い込んでいたので、余裕をこいていた。

 が、午後から事態が急変する。

 いきなり起き上がれなくなり、座るのすらだるい。そして極めつけは、急に、それもものすごい勢いで便意が襲ってくるようになったことだ(たぶん1時間に3回くらい)。

 …あれ、さすがにこの頻度はおかしい。。。

 夜になってもだるさが抜けず、「これ続くようなら明日も仕事にならんぞ…」という思いがよぎり、「寝たら何とかならんかなー。」と淡い期待を抱き、床に就いた。

2日目:沼の中で

 一応断っておくが、汚い意味ではない。

 この日は、思い出したくない。というか、朝会社に連絡して以降はほとんど記憶にないのだ。
 その分、非常に端的に表現できる。

出す、飲む、寝るの三拍子であった。

 まるで鹿威しのごとく(無論あんなに精涼ではない)、川の流れに身を任せるように(濁流だが)、この作業を繰り返していた。

 驚いたのは睡眠時間で、日中に8時間以上も眠っていた。また、枕に敷いたバスタオルが吸収した汗は、まさに絞れるのではというくらいの量であった。

 この時点で病院に行くなり、救急車を呼ぶなりしていない自分は、今から見ればかなりおバカだが、本当にその気力がなかったのと、襲い来る鉄砲水の勢いと回数に私の防波堤、またの名を肛門括約筋が耐えきれるとは思えなかった。…要するになけなしのプライドが邪魔をしていたのである。

 夜になってから実家に連絡。翌朝、母が来てくれるように段取りをしてくれた(だけど、なぜかこの厚意を断りかけていた)。

3日目:流れは穏やかに、しかし…。

 ここまできてやっと、われらの味方消化器内科が登場する。

 登場するというか、やっと行った(行けた)のだが、家から徒歩2分の所にある病院にようやく朝一でかかった。

 この日、濁流はピークを脱し、3分の1くらいの回数になっていた。だが、ここからは激しい腹痛と頭痛、悪寒に耐えることとなる。

 たぶん、2日目まではどちらかというと濁流の阻止の方に意識が向いていたためあまり気づかなかったのだが、こちらも結構深刻で、上着を羽織っていないと寒いのに、一方で汗が止まらないという状態である。

 しかし、確かに辛かったのだが、母にいらしていただいたおかげで家事っぽいものを全くこなす必要がなくなったことと、牛歩の歩みではあるが確実に快方に向かいつつあるという実感があったため、幾分気が楽になった。

 なお、この日まで食事は毎食おかゆ。しかも量は食べられてもラーメン匙3杯といったところである。

4日目:とどめの一滴

 この日の朝、試しに朝食の量を増やしてみたら、激しく嘔吐した。

 以降も状態がなかなか上がらず、夕方になってまた病院へ向かう。
 ここではじめて、点滴を打った。

 おそらく前日は下痢が少し治まってきていたことと、水分が自分で摂れているということを話したためか、処方されなかったのだ。

 結果的には、これでかなり楽になった。その夜は少し頭が冴え、床に就いてもなかなか寝られず、少し遅くまで母と話した。

終わりに

 5日目の朝にもう一度点滴を打ってもらってからは一気に状態が上がり、執筆時(7日目)の現在は柔らかいものなら普通に食べられるまでに至った。これにて一件落着である。

 冒頭にも書いたが、今回の体験は自分にとってかなり衝撃的なものだった。というのも、症状のインパクトはさることながら、その対象が自分だったということに、である。

 僕にとって日々の体調管理はかなり優先度が高く、それなりに自信のある分野だった。食事も3食バランスを意識し、暴飲暴食は一切せず、運動もそれなりに取り入れ、睡眠時間も確保してきた。

 にもかかわらず、今回の犯人である何某かのバイ菌さんは私の体をやすやすと乗っ取ったのである。もう二度とお付き合いしたくない次第なので、これからは侵入を丁重に、かつ頑なにお断りすべく、さらなる対策を打っていかねばならない。

 また、今回は母に来てもらったことが本当に助かった。重ね重ね感謝を述べつつ、「一人」というものの無力さを自覚したい。

 月並みな言葉だが、誰かが同じような状況になっていると知った時、いや、病気に限らず自分が役に立てるかもしれないと思った時、素直に、時にはややおせっかいに手を差し伸べられるような人間になりたいと思った。

 同時に、頼りたいと思った時は早めに誰かのお世話になろうと思った。
 その方が逆の立場になった時にその人がしてほしいと思うことが分かるようになるかもしれないし。

 …あれ、最後はなんだかちょっとだけステキな話になった気がする。

 ともかく、明日からも前を向けることに感謝したい。

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