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基本的プレーモデルのない日本代表におけるSHの守備におけるコメントについて

現在、西野監督が率いる日本代表には、基本的なプレーモデルが存在しない。局面、局面でどういうプレーをするかは、選手たちの質に任されていると言える。
そんな中パラグアイ戦を観ていて、気になるコメントを耳にした。乾は確かに調子が良いように見え、ゴールを決めた。日本代表にとって重要な選手と言える。だが、彼がエイバルで活躍し、リーガで生き残っているからといって、試合において彼のプレーが全て正解だったとは思わない。確かに前線に出てプレスをかけていたが、それが日本代表のゾーンディフェンスにおいて、全て有効的だったとは思わない。なので解説の方が、宇佐美の守備について、SBをケアして攻撃に出るのが遅れる。というようなコメントをした時、日本では時間帯、スコアにおいて、フットボールでどういうプレーが優先されるべきかも共有されていないのかと思った。

パラグアイ対日本、宇佐美へのコメント場面1


パラグアイ対日本、宇佐美へのコメント場面2

1−3、後半33分、動画の解説でーがAに文字化けしているが、チームは1−4−4−2で守備ブロックを形成し、相手を誘導してからボールを奪い、相手DFラインの裏にスペースがあるなら、2人の前線の選手のどちらかが裏に抜け出して、カウンターを仕掛けべきである。スペインでこの時間帯、2点のリードがある中、高い位置からリスクを冒し、守備ブロックを壊してまで攻撃のことを考えていれば、クラブならどのディレクターからも監督に対して注意が行われる。小学生でさえ、相手にボールを持たせて、守備ブロックを整えてカウンターを狙う。

上記で乾の名前を出したのは、明らかに宇佐美と乾を比較して、個人の差という表現をしていたので、私はそうは思わないということだ。ましてや、この勝っている状況、時間帯において、より得点を目指す守備を優先させる意味がない。まずは失点をしないために強固な守備ブロックを形成し、チーム共通のボールの奪いどころへ、相手の攻撃を誘導していく。ボールが奪えればまずはカウンターを狙うが、この段階だと2点のリードがあるため、第1波の後、第2波のカウンターを仕掛け、第3波を実行せず、ボールポゼッションに移る。相手のプレスにかかりそうになれば、前線に蹴り出すなど、時間を使う。

このパラグアイ戦でも、SHのゾーンディフェンスにおけるポジショニングが高すぎて、相手に背後を取られ、フリーでボールを受けられたり、数的不利な状況を作られることがあった。

パラグアイ対日本、乾のポジショニング

もちろん、SHのポジショニングが適切で、チームとして素晴らしいプレスをかけている場面もある。

パラグアイ対日本、サイドでの守備ブロック形成、乾のポジショニング

フットボールにおいて、まず最初に大切なものはチームだ。チームの中で個人の特徴が活かされる。確かに乾はエイバルで、2人、もしくは3人の選手の中間にポジショニングを取り、ボールが入るときにプレスをかけている。しかしゾーンディフェンスのポジショニングには、チームのコンセプトの中で取られるものであり、エイバルでのポジショニングを、そのまま日本代表に取り入れたからといって、チームのコンセプトが同じでなければ、個人としての失敗、成功がランダムに起きる。問題は日本代表が基本的プレーモデルを持っていないので、守備の戦術も個人の質に任されていることだ。

エイバルはチームとしてボールの状況においてしっかりと守備ブロックが動いているし、その中で乾は次の動画のようなポジショニングでプレーして、チームでも活躍を見せたが、それはチームの仕事の中で、彼が役割をこなしたからだ。

エイバル対ベティス、乾のポジショニング

だがゾーンの位置を間違え、パラグアイ戦と同じようなミスをして、相手をフリーにしていることもある。

エイバル対ベティス、乾のポジショニング

それぞれのチームによって守備の戦術が異なり、それによるポジショニングにも違いが出てくる。大まかな局面、例えばある一定の高さにおける相手ビルドアップの中で、SHのポジショニングや守備ブロックの位置については、残された期間で共通意識を持つことはできる。もちろん相手チームの戦いによって、そのポジショニングに変化は出てくるし、ボールを持つ選手の特徴により、距離の詰め方、角度も変わってくる。それでも次の動画のA・マドリードのように、プレスにいったSHを基準に、斜めにポジショニングをとった中盤の選手たちでラインを作り、そのボールの高さに合わせ、SBがSHのカバーリングと、ゾーンのマークに寄せ、その斜めにCBが入り、そこでラインを形成、逆サイドはしっかり絞るという、ゾーンディフェンスの基本をしっかりと見せてもらいたい。日本人はよく走ると言われるが、それは縦の動きだと思う。このA・マドリードの選手たちは縦にもそして、横にも自分を犠牲にして、チームのために走る。こういう仕事の連続が、チームの団結を生むのだ。

マルセイユ対A・マドリード、SHのポジショニング

パラグアイ戦、1−4−4−2の守備ブロックにおいて、2の岡崎、香川は素晴らしい連携を見せた。彼らのポジショニングを基準に守備ブロックを作っていけば、相手のビルドアップに対して対応できるが、彼を飛ばすような攻撃を繰り出された場合、チームがどう守備をするか、この2人のプレスが簡単に飛ばされるようなら、パラグアイ戦でのプレス開始位置から、さらに後方に守備ブロックを形成するべきだ。
残された時間は僅かだが、まだ時間はある。

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