スーパーマーケットは不況が育てた?スーパーが誕生するまで
世界で最初にできたスーパーマーケットをご存知でしょうか?
その名も「King Kullen」(キング・カレン)。
今回は、1930年に誕生した業種「スーパーマーケット」についてご紹介します。
研究熱心な社員
キングカレンの創業者はマイケル・カレンという人物。
彼はアメリカの小さな小売り店だったクローガー社で働く社員でした。
マイケルは会社の仕事をしながら実験的な店舗を自ら運営するほど研究熱心な従業員でした。
そんな中、マイケルは研究の結果に基づいてクローガー社長に新しいタイプの店舗をオープンするように提案しました。
それが今日でいうスーパーマーケットなのです。
マイケルの構想とは?
マイケルが働いていた従来の食料品販売店とこの時に提案していた店舗の大きな違いは、
セルフサービスの売り場比率が高い
当時の平均的な食料品販売店と比べ約10倍の大規模店舗
原価での販売など低価格商品(特価商品)の導入
商品別に異なる粗利率を組み合わせた
無料の駐車場を設置した
といった点にあります。
1920年代といえばアメリカでT型フォードが発売され一気にモータリゼーションが広まった時代。
にもかかわらず、食品小売業は旧態依然の対面販売や電話注文の個人商店が主だったのです。
思い、届かず
そんなマイケルのスーパーマーケット構想ですが、クローガー社長の元に提案は届かなかったようです。
そこでマイケルは家族を説得し、ニューヨークのジャマイカ(JFK空港があるあたりですね)で大型のガレージを借り改築し、キングカレンの1号店を開店します。
車を持ち始めた住民たちはこぞって安売り商品目当てにキングカレンの店舗に訪れたのです。
これまでの食料品販売店では考えられないほど広範囲の商圏を獲得したのです。
無料の駐車場も、買った商品を運ぶ自動車もあるわけですから大量購入を促しました。
1936年には店舗数は17にまで増加し、年間600万ドルを稼ぐまでに成長しました。
ライバルの転換
そんなキングカレンの成功を見て、大手も黙っていませんでした。
マイケルの古巣クローガーや他の大手チェーンも次々と「キングカレン型」のスーパーマーケットへと業態を変化させました。
これを後押しする要因となったのが1930年代の大恐慌、不況期です。
旧型の食料品販売店には人手もコストも大きくかかります。
例えば野菜売り場・肉売り場・魚売り場・常温食品・パン売り場にそれぞれ2人ずつ人を配置すれば10人の従業員が必要となります。
しかも対面販売の場合、規模を広げるにしても限度があります。
しかし、キングカレンが導入したセルフサービス方式ではレジに数人さえ配置しておけば多くの商品を効率よく販売することができます。
また、旧型の食料品販売店と比べ、商圏が広いことにより店舗数を削減することができ、固定費削減に大きく貢献したのです。
スーパーマーケット今昔物語
マイケル・カレンは最初の店舗をオープンしてから数年で亡くなってしまいました。
しかし、彼の妻などの努力により店舗は運営されつづけてきました。
実は、現在でもニューヨーク州を中心として40店舗以上もあるそうです。
ちなみに、スーパーマーケット業態に転換したクローガーはその後も成長を続け、2000以上のスーパーマーケットを展開し、年間10兆円以上の売上高を誇る巨大小売グループとなりました。
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