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【#9】伝説の「ひーちゃんライス」を知っているか

ダウンタウン上京前の伝説的番組「4時ですよ〜だ」は社会現象だった。「4時」を見ていない奴は学校には居なかった。キム兄こと木村祐一さんはオールディーズというコンビで出ていたし新喜劇のおじいさんでお馴染みの辻本茂雄さんは三角公園USAというコンビだった。今田・東野のお二人も、どペーペーのランクで出演、ちちくりマンボの吉田ヒロはボブキャッツだったしハイヒールやまるむし商店、おかけんた・ゆうたが金銀マンダラーとして同じ板の上に、そんな時代。

小さな小さな心斎橋二丁目劇場で繰り広げられたこの1時間番組はオープニングトークから様々なコーナーを繋ぎエンディングコーナー「ダウンタウンの欲望」を迎える。笑っていいとも!もそうだったけど、様々なコーナーが生まれ、消えていった。(笑っていいとも!ではタモさんと鶴瓶師匠がたった2人だけでやる、クイズFAXは最高!は傑作だった。生放送中に視聴者からFAXが送られてくるという今ではありえない企画で、とてもじゃないけど放送できないFAXが殺到して、速攻で終わったんだよな)などという長い括弧はさておき「4時」でわずか数回で終わったくせに印象的だったコーナーが「うまいがなこれ!」である。確か1回か2回で終わったんじゃなかろうか、定かではないけれど。

松本さんがカセットコンロで料理をするのである。客入れ状態で。アルタで料理を作り始めフィニッシュまで持っていくようなものだ。その時、披露されたのが「ひーちゃんライス」。人志だからひーちゃん。放課後や金のない時代よく作ったのだという。浜田さんにも何回も作ってあげたことがあると仰っていた記憶がある。この料理は”食材らしい食材”は卵しかない。レシピはこうだ。

フライパンにサラダ油を引き、ご飯を炒める。強火。塩胡椒。量は完全に目分量。とにかくたっぷり、ジャカジャカ入れる。ある程度炒めたら鍋肌に醤油を1回転。ざっと混ぜたら火を止める。そこに卵を一個割り入れ予熱で和える。モッチャリしつつ、一部固まりつつ、全体に混ぜる。最後に鰹節をワンパック。これだけ!

僕は「4時」が終わると、早速真似をした。まさに「うまいがなこれ!」なのだ。それ以降、我が家では「ひーちゃんライス」がレギュラー化した。うちのオカンはキチンとご飯をつくるタイプだったけれど、よくこう言われたものだ。「お兄ちゃん、ひーちゃんして!」。夕方家に帰ると「ごめん、ひーちゃんしかないねん」。

これはミシュランがどうこうだとか、星の付けられないものだ。だから冷蔵庫にふんだんに食材が入っていようが僕はひーちゃんを作る。作り続けてきた。日本に何人いるのかわからないが、僕は何十年とひーちゃんを作り続けてきている。松本さんよりも多いかもしれない。

ちなみに僕は、「醤油を2回転」だ。

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