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対談”映画『ブラックパンサー』は本当に傑作なのか?”を図解してみた

こんにちは。

前回初めての「図解(チャート)」として「Beychella(ビヨンセ@コーチェラ」についてまとめたのですが、自分的にはそこそこ反響があったこともあり次のトピックにチャレンジしてみました。

第2弾は映画『ブラックパンサー』

せっかくビヨンセを取り上げたこともあって、ブラック・カルチャー周りのトピックを取り上げるとより体系的に理解する手助けになるかなというのと、自分的にも勉強中なので一石二鳥かなと。

という訳で今回は映画『ブラックパンサー』を取り上げようと思います。

今回も僕のオリジナルの考察ではなく、色んな視点から『ブラックパンサー』が語られている対談記事を見つけたのでそれをまとめる形で図解していくことにしました。

対象となる対談は↑の記事なのですが、磯部涼さん、タナソーさん、宇野維正さん、小林雅明さん、渡辺志保さん(ビヨンセのときも参考にさせて頂きました!)と欧米カルチャー、ブラック・カルチャーへの造詣が深い面々の対談ということもあり、面白い視点や論点が沢山出てきたのでかなり面白く読ませてもらいました。

また対談はインタラクションがある分、アジェンダ通りに進行せず話が逸れることもあるので改めて図解でまとめるのはメリットがあるな~と思いました。

では、早速本題に入りましょう。
(今回は前回よりもできるだけスライド完結するようにしてみましたが、この辺りは読みやすさと分かりやすさのバランスを試行錯誤していくつもりです。)

PDFはココから!#

対談における3つの視点

先に結論から

まずは単体映画として

この論点については対談のメインではないため、かなり軽くしか言及されていませんが、結論としては「特筆すべきところはなく、凡庸である」とされています。

次にマーベル映画としての観点です

次に対談のメインテーマでもある「ブラック・カルチャーの歴史にける意義」について

補足

ここで一点補足しておきたいのが、「マイノリティにおけるアイデンティティの細分化と分断」についてです。

これだけ読んでもどういうことを意味するのか分かりにくいと思うので、僕なりの解釈ですが補足しようと思います。

映画を初めとした表現の世界や世の中の言説として、未だに「黒人と白人」や「男性と女性」、「欧米とアジア」のような二項対立の粒度の粗い構造で語られることがありますが、誰もが実感できるように実際はそんなに単純ではないですよね?

黒人といってもアメリカにおけるブラックと他の国では違うし、アメリカといっても広大ですし、おまけにアメリカにおけるマイノリティとしての歴史もあるわけで世代による差もあるわけです。

LGBTという概念だって「ヘテロとホモセクシャル」だけではカバーしきれないセクシャリティの在り方を捉える概念の一つですし、こうしたアイデンティティを捉える視点はどんどん多様で細分化/更新されていっています

なので映画等の表象においてどこまでその多様化した在り方をフォローするのか?というのは難しい問いだし、ますますそれが問われる切迫感が、他民族国家であり、奴隷制から始まったアフロ・アメリカンの歴史を抱えるアメリカでは日本より遥かに増している、そんな状況について対談では言及されているのだと思います。

映画『ブラックパンサー』とてそれは例外ではなく、ブラックの制作陣によるキャストも大半がブラックという映画でありながら、グローバルでのヒットを期待されるマーベル作品でもあるという二面性を抱えていることが、件の「アイデンティティの細分化」という問題をどう踏まえつつ、映画として仕上げる難しさだったのではないでしょうか。

という中で映画『ブラックパンサー』としては上記のようにどこか一つの立場に加担しないスタンスを選んだのでは?と対談では語られています。それゆえ以下のように色んなアナロジーをメタメッセージとして配することで複雑なアイデンティティと各々の見解を踏まえ得る視点を与えているのでは?ということですね。

改めてまとめると↑のように「歴史×政治×アイデンティティ」の複雑性とマーベル映画としての役割を踏まえて、極めて中庸で優等生なメッセージを映画として結論づけているということになるでしょうか。

最後に改めて元記事のリンクを貼っておきます。

あとがき

今回はあくまでも対談の中の映画『ブラックパンサー』についての言及をまとめていますが、対談内では他のドラマや映画との比較・参照や、ブラック・カルチャーにおける引用文化、アイデンティティの細分化によるコミュニティの分断や軋轢の日本にとっての意味合いを「当事者性」という切り口で論じたりと興味深い論点が沢山あるので、是非対談本体の方も読んで頂けると良いかなと思います!

次回も引き続きブラック・カルチャー周りということでピューリッツァー賞も受賞し、今年のフジロックにもヘッドライナーとして来日するケンドリック・ラマーについて取り上げようかなと考えています。

では!

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