日記のような感情メモ0926

部屋中に広がる段ボールの山に囲まれて寝た次の日、2段の引き出しが付いた背の高いベッドを解体する。
家具がなくなった部屋はすごく広くてびっくりした。
床に直接置いたマットレスは、5年も使ったせいでスプリングが背中にやけに刺さる。
もうすぐ終わってしまう。秋が来てしまうんだな。

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南向きのカーテンが日差しとともになだれ込んだ生ぬるい風で揺れる。
はじめての一人暮らしをした、3月の終わり。
部屋に必要なものを考えて一番最初に買った、星座のカーテン。
線画で書かれた星座のイラストに、蓄光で描かれる星たちを見て一目惚れした。
子どもっぽいかな、しかも遮光性なしだしな。
でもすごく可愛いし。どうしようかな、やっぱり別のがいいかな。
2時間くらい売り場を行ったり来たりして、「やっぱり絶対に欲しい」と決意して買ったカーテン。
清掃されて真新しい匂いでいっぱいな部屋に吊るすと、改めてここが私の家なんだなと思って涙ぐんでしまった。

とっくに煤けて蓄光もなくなってしまったけど、いつだって誰もいない部屋で待っていてくれた、私だけのカーテン。
洗濯物を干しすぎて少し歪んだカーテンレールから、背伸びをしてフックを取り外す。
何もかもがほとんどなくなってしまった部屋の真ん中で、やっぱり涙ぐみながら「ありがとう」と言って抱きしめてお別れをした。

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どの段ボールに何が入っているか、ちっともわからないまま毎日が終わる。
適当に空けると本か服しか入っていないから困っちゃう。
恋人にそのことを伝えると「本だらけの家だよね」と笑われた。

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いつも乗り換えていた駅で乗り換えず、そのまま急行に乗車し続けることへの違和感を抱えて帰宅する。
バスが来るまでの時間が思ったよりも長かった。
歩いて帰ろうかと思ったけど、知らない街の暗さが急に怖くなって停留所へ引き返してベンチに座る。
バスの前輪の上にある小高い席は特等席だ。
ポツポツとしかないLEDの街灯は、肌寒い白さでまっすぐに真下しか照らしてくれない。
団地を越えて川を渡る時、実家の近くもはじめて一人暮らしをしたアパートも、川の近くだったことをぼんやり思い出した。
この後はスーパーに寄って、そしてお腹をすかせた人が待つ部屋に帰り、多分明日も変わらず「ただいま」をいう生活だ。



#20190826 #日記 #雑記 #エッセイ

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