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起業一年目の話。 ~行政書士~Vol.6

このマガジンは 起業した経営者あるいは独立したフリーランサーの「一年目」にフォーカスしたインタビューメディアです。
「起業しようかな・・・」「独立したけど不安だ・・・」と、これからの働き方に不安を感じる人は、実際の経営者やフリーランサーがどのような考えや気持ちで独立したか、苦労したことは何か、独立する前にした方がよかったこと、等々参考にしてください。
このマガジンが、これから起業・独立を考えている方や独立したばかりで不安が多い方の励みになることを心から祈ってます。

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ラフ・アンド・タフ行政書士事務所
行政書士 横坂 剛比古(ヨコサカ タケヒコ)

この話のポイント
・ミュージシャン、WEB関連の経歴から行政書士へキャリアチェンジ
・行政書士のキッカケは自身が受けた著作権問題
・宗教界のイノベーターは苦労が多い
・SNSを使ったことで本を出版


ー本日は宜しくお願いいたします。まず、横坂さんの簡単な経歴を教えていただけますか。

慶應大学卒業後、24歳でアメリカに留学、向こうの音楽大学を卒業後はアメリカと日本で作曲とベース演奏等、主にミュージシャン(音楽家)として活動しておりました。
あとは父親がWeb関連の仕事をしておりましたので、その手伝いをするうちにWebの知識も身につきましたので、父と一緒にWeb系の仕事もしております。
行政書士の資格は2013年に取得して、2014年に事務所を開業しましたので、現在では開業から5年が経過しました。

ー主な業務内容を教えてください。

外国人ビザ申請と宗教法人の業務(設立や規則変更など)に特化しております。行政書士の業務は多岐に渡りますが、私はこれがメイン業務です。他の仕事は知り合いの行政書士に依頼します。あとは古物商の申請など、簡単な業務をする程度ですね。
開業してから3年くらいは片手間でしたが、2017年に父が亡くなって以降、行政書士業務を本格化させております。

ー横坂さんは会社員勤めをされなかった訳ですが、なぜ会社員として働こうとは思わなかったんですか?

私達の世代は、所謂ロストジェネレーション(就職氷河期)世代なんです。就職活動もしておりましたが、会社員にならなかったのは山一證券の倒産会見を見た時です。当時「安定した会社に就職しても倒産して露頭に迷うかも知れない。だったら好きなことして露頭に迷った方が幸せだ」と思いましたね。
私自身、元々芝居をしたい気持ちが強かったので高校までは芝居をしていましたが、大学3年の時に劇団の作曲家の募集に応募してから音楽家としての道がスタートしました。
アメリカ留学のキッカケも、大学時に手掛けていたミュージカルを評価して頂き、アメリカに行かないかと誘われたからなんです。

ーそのような背景があったんですね。音楽家の後、現在の行政書士事務所を開業してますが、どのような経緯があったんですか?

実は音楽家として活動しているときに著作権絡みで悔しい思いをした事がキッカケなんです。作曲した曲が当初はプラネタリウム用の曲と聞いていたのに、いつのまにかアダルトビデオに使われていたんですよ(笑)契約書を調べたら「著作権譲渡契約書」となっていて、これは文字通り著作権を譲渡する契約なんです。なので、私は自分が作曲した曲がどこで使われても文句が言えない立場の契約を締結しておりました。
無知であったため仕方ないですが、この時に搾取されたようなとても悔しい思いをしたことが行政書士の資格を取ろうとしたキッカケなんです。そこから契約書を自分で書けるようになろうと思って勉強を始めました。そして他のミュージシャンも同じように悔しい思いをしている人が多いと思いましたので、行政書士会でも著作権相談員になっております。

ーまさかアダルトビデオに使われるとは思わないですよね・・・特に行政書士事務所に勤めていた経験がなく、いきなり独立しておりますが1年目の苦労話などはございますか?

正直、開業した一年目は何をしていいか分からなかったです。なので、行政書士会が主催するセミナーや研修会に行って横のつながりを作りました。そこで諸先輩方と仲良くなり仕事を教わりましたね。
売上も行政書士としてはゼロに近かったです。その時はまだ音楽とWeb関連の収入がありましたので生活には困らなかったですが、苦労はしましたよ(笑)

ーそうでしたか。そこから現在では売上も伸びていると思いますが、その理由や営業方法などを教えてもらえますか。

まず、売上が伸びた理由は本腰を入れたからです。少しずつ、行政書士としての活動を増やしました。営業は飛び込みなどをせず、基本は人からの紹介です。私はクリスチャンなので教会に行きますが、その教会に来る方からの依頼が最初の仕事でした。そうこうしている内に牧師さんからの講演やお寺からも依頼がくるようになりましたね。
あとSNSを活用したことで講談社から「上馬キリスト教会の世界一ゆるい聖書入門」という本を出版しました。Twitterで「上馬キリスト教会」というアカウントを運営しておりますが、そこでキリスト教の事を噛み砕いて呟いていたら、出版エージェントが興味を示し、本にしませんか?と連絡があったんです。
今ではフォロワー数も10万人を超え、本も2万部を突破しております。また出版数の実績がついたので、現在では2作目の執筆中です。

講談社から出版した本

ーTwitterから本の出版ってあるんですね!? 行政書士としての業務で1年目から現在に至るまでの売上推移を教えて頂けますか?

一年目はゼロに近かったですが、本腰を入れ始めてからは200万円くらいでしょうか。開業当初の収益構造も音楽で50%、Webで50%くらいでしたが、現在では行政書士で90%(行政書士業務45%、執筆45%)くらいまで引き上がり、残りの10%はWebや音楽での仕事です。
当然、自分でもまだまだと思っておりますが、売上はこれから徐々に増えていく感触が掴めております。

ーおぉぉ。ぶっちゃけた話、満足度が100点としたら今は何点ですか?

70点ですね。まだ現状に満足していないですし、やりたい事があります。大袈裟な表現になりますが、私は宗教業界を変えたいんです。世の中には、キリスト教、仏教、イスラム教など様々な宗教がありますが、どの宗教にも属さない人が大半です。そんな人にもっと宗教に対する敷居を下げて、宗教を広めたいと思っております。
どうしても「宗教」と聞くと怪しいカルト的な印象を持つ方が多いと思いますが、そんな事ばかりではありません。例えば、心の調子が悪くなった時に心療内科や精神科に行くと思いますが、昔は教会に来ていたんです。そこで牧師さんに話を聞いてもらうことで悩みを解消させたり、ストレスを軽減させていました。育児等での悩みも同じです。昔は悩みの相談やストレスの吐け口としての機能が教会やお寺にありましたが、今ではその機能がなくなっております。なので、昔のようにもっと軽い気持ちで教会やお寺に集まって欲しいと思っています。決して皆さんが想像しているような怪しいものではありませんよ(笑)

ー宗教界のイノベーターですね!!では不安なことや課題などはありますか?

正直、私の活動をよく思わない方も多いんです。新しいことに挑戦しているから既存の宗教家の方からの反感が多く、風当たりが強い。出版した本も賛否両論でした。それをいかに克服するかと言うことが課題でもあり、不安でもあります。
あとはもう少し経済面で安定したいですね。好きな時に特上寿司が食べたいですが、まだそれが実現出来ていません(笑)

ーなるほど!では横坂さんにとって、起業や独立はオススメですか?

自分がこんな生活をしているのでよく相談されますが、人によっては辞めた方がいいとアドバイスしています。と言うのは、ビジョンがない人は向きません。起業は、ただ「自由な人生」に憧れて目指すものではないと思うからです。
それこそ、ミュージシャンなんて自由の象徴のように考えられますが、衣装や曲はプロデューサーが用意して、それを歌えって言われているケースもあります。それって全然自由じゃないですよね。言ってしまえばビジネス自由人みたいなものです。
なので、こうなりたいというビジョンを持っていない人は独立しても潰れると思いますし、潰れる人の典型例は「なんでもやります、なんでもいいから仕事ください」って人。それは自分にポリシーがないことを表明しているようなものです。それで続けられるほど甘いものではありません。

ーでは、最後に独立しようか悩んでいる人へ向けたメッセージがあれば、お願いします。

独立や起業は「目的」でなく「手段」にすぎません。悩んでいる方は独立して何がしたいのかをよく考える必要があります。自分がやりたいことが会社員の方が効率的なケースもありますし、逆に独立した方が早くゴールに到達するのであれば独立すべきです。
私自身、こんな生き方して分かったことは、あまり自分は一匹狼気質ではなかったということです(笑)恐らく会社員の方が向いていると思いました。まぁ、その中でアウトロー的な人間にはなると思いますけどね(笑)なので、自分のビジョンがあって、その為に独立をした方が実現するのであれば、独立や起業をしてください。

ー本日は有難うございました。

ラフ・アンド・タフ行政書士事務所
行政書士 横坂 剛比古(ヨコサカ タケヒコ)

1979年5月生、東京都港区出身
保有資格:行政書士、ファイナンシャルプランナー
座右の銘
「Work hard and pray , then, everything will be as it should.」
「一生懸命やって、祈れ。そうしたら万事、なるべきようになる」

感想
ミュージシャンから行政書士と異色の経歴でしたが、宗教業界のイノベーターであり、業界を変えようとする強い信念を感じました。さらにTwitterから本の出版という流れがとても現代的ですね。
宗教関連、あるいは外国人ビザ申請のことでお悩みの方は是非、横坂さんまで。あと「上馬キリスト教会」のTwitterもフォローして下さい。
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