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【WEC2023年HyperCarシーズンレビュー🏎💨】

大接戦だったWEC2023年シーズンハイパーカークラス。シーズン終幕から少し時間が経ちましたが、少し振り返っていきたいと思います。

ハイパーカークラスは前年までLMH規定車両、もしくはノンハイブリッドのLMP1車両のエントリーで4マニュファクチャラー4チーム6台の参戦でした。
しかし2023年はLMH規定車両に加え、IMSA GTPクラスのプロトタイプカーLMDh規定車両の参戦も始まり、7マニュファクチャラー9チーム13台とエントリーが大幅に増え迫力が増しました。
増えたのは単にLMDh車両が参戦したのだけではなく、LMHもヴァンウォールそしてフェラーリが増えたのもありました。フェラーリがLMHで新規参戦したのは個人的には凄く嬉しかったですね。

そんな新生ハイパーカークラス、まずはドライバーズランキング(TOP5)を見てみましょう。

1位 : 8号車 TGR🇯🇵 ブエミ🇨🇭/ハートレー🇳🇿/平川🇯🇵 172pt
2位 : 7号車 TGR🇯🇵 コンウェイ🇬🇧/ロペス🇦🇷/小林🇯🇵 145pt
3位 : 50号車 フェラーリ🇮🇹 フォコ🇮🇹/モリーナ🇪🇸/ニールセン🇩🇰 120pt
4位 : 51号車 フェラーリ🇮🇹 ピエルグイディ🇮🇹/カラド🇬🇧/ジョヴィナッツィ🇮🇹 114pt
5位 : 2号車 キャデラック🇺🇸 バンバー🇳🇿/リン🇬🇧/ウェストブルック🇬🇧 72pt

エントリー台数は増えましたが、やはり継続して参戦しているTGRが今年も7戦6勝を挙げ圧倒したシーズンでした。
興味深いのはその中身で、実はチャンピオンに輝いた8号車は2勝、それに対し7号車は倍の4勝を挙げています。ではどこで27ptもの差がついたのか?
8号車は優勝2回、2位4回、6位1回という戦績。それに対し7号車は優勝4回、2位1回、9位1回、リタイア1回。問題だったのはリタイアしたのがなんと第4戦ルマン24時間🇫🇷だったことですね。
WECでは開催レース時間によってポイント配分が実は異なります。

上記の通り、24時間レースは6時間レースの倍のポイントが配分されます。
そのルマンで7号車はリタイアを喫し、8号車は2位でフィニッシュ。ご覧の通りルマン24時間🇫🇷の2位3位、セブリング1000マイル🇺🇸やバーレーン8時間🇧🇭の2位は6時間レースの優勝よりも多くのポイントを得ることが出来ます。7号車が優勝したのは6時間レース3つと開幕戦セブリング1000マイル🇺🇸。大量ポイントを得れるルマンで7号車はリタイアを喫し、8号車は悔しくても2位をしっかりと確保する走りの継続。この差が最終的なランキングを生んだように思えます。
7号車のルマンでのリタイアは追突被害事故だったので仕方ないと言えば仕方ないのですが、悔しい結果。来年はやり返してほしいですね。

そして今年のハイパーカークラスを盛り上げてくれたのは、やはりフェラーリの存在ではないでしょうか?ここ数年TGRの天下だったハイパーカークラスに参戦1年目で51号車が1勝を挙げ、それがなんと大一番のルマン24時間。レースペースに不安があるフェラーリ499Pでしたが、ルマンでは非常に力強い走りを見せてくれました。
また予選では50号車が今季7戦中でポールポジションを2度獲得。残りはTGR8号車が2回、TGR7号車が3回だったので、決勝ではルマン以外ではTGRに遅れを取りましたが予選では肉薄する速さを見せてくれました。
純粋なレースペースが改善されれば、来季はTGRにとって脅威になるでしょうね。

表彰台のテッペンはTGRとフェラーリが獲りましたが、この2チーム3台以外で言うと2号車キャデラックが3位を1回、6号車ポルシェ・ペンスキー🇩🇪が3位を2回、93号車プジョー🇫🇷が3位を1回獲得し、この3位争いも非常に激しい戦いになったのではないでしょうか?
戦力としてはTGRが頭ひとつ抜けていて、それを追うフェラーリ、そこから少し離れてキャデラック、プジョー、ポルシェが上位陣に何か異変が起きた時の表彰台最後のひと枠を争う感じだったと思います。
トップだけでなく、中段の争いも激化すると各所でバトルが発生しレースの見どころが増えるのでこの辺りの戦闘力もこれから上がってくることを期待したいですね。

コース上では非常に激しい戦いが繰り広げられましたが、一方でBoPに関しては様々な声があったシーズンだったと思います。
BoPとは戦力をなるべく均一化するための性能調整であり、ハイパーカーの場合車重やハイブリッドのバッテリーを使用できる速度域や出力が調整されたりします。
どこかひとチームが独走するのを防ぐことと、現在はLMHとLMDhという異なる規定の車両が走るためその差を埋めるためのBoPではありますが、今年はルマン24時間で開催直前に予定にないBoPの追加が急遽発表され、誰しもが驚いたと思います。
結果としてこのBoPじたいはルマンの決勝レースを非常に面白いものにしてくれ、その絶妙な調整具合には驚かされましたが…
このBoPについては決定プロセス含め、来季に向けてシステムの見直しが現在も行われています。来季は観ているファンも含めてなるべく不満の少ないBoPになることを願いたいところですね。

さて、今シーズンは王者TGRに対してフェラーリがルマン優勝で一矢報いるなど近年の中では非常に面白いシーズンとなりました。
参戦台数が増えた今季でしたが、来季はさらにLMHでイソッタ・フラスキーニ、LMDhではBMW、アルピーヌ、ランボルギーニが新たに参戦し、さらにチームとしてはフェラーリLMHマシンを使用してAFコルセが参戦、JOTAが台数を1台追加。残念ながら今季まで参戦していたグリッケンハウスは撤退を表明しヴァンウォールは参戦が認められずエントリーリストから外れてしまいましたが、差し引き9マニュファクチャラー12チーム19台がエントリー。耐久最高峰クラスに相応しい台数が揃ってきました。
さらに2025年にはアストンマーティンがLMHで参戦を予定しており、ここからWECハイパーカークラスはシリーズとして面白さを増していきそうですね!
また来季のWECはLMP2がなくなるものの(ルマン24時間のみ参戦)、LM GTEクラスが新たにLM GT3クラスへ変化。トヨタもそこへLEXUS RC-Fを投入しこれからの耐久ドライバー育成の土台を構築しようとしてます。益々WECから目が離せません。楽しみに待ちましょう!


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