見出し画像

【FIA F2 2023年シーズンレビュー🏎💨】

最終戦までもつれ込んだチャンピオン争い。今季のFIA F2は最後まで激しい戦いが続きました。少し時間が経ちましたが、2023年シーズンの振り返りをしていきたいと思います。

まずはドライバーズランキングから

チャンピオンを獲得したのはテオ・プルシェール🇫🇷(ART/ザウバー育成)。参戦3年目、「今度こそ獲らなければ!」という思いもあったでしょう。
意外なのはシリーズを制したにも関わらず、挙げた勝利は僅か1つのみ(開幕戦バーレーン🇧🇭フィーチャーレース)。2位6回、3位3回。対するランキング2位ベスティ🇩🇰は優勝6回(スプリント4勝、フィーチャー2勝)を挙げているのを見ても、プルシェールは一発の速さよりも確実に高いポジションでフィニッシュするという安定感がこのチャンピオンに導いたと感じます。ちなみにベスティは2位2回、3位2回。この2人の明暗が分かれたのはほんの少しの積み重ねの違いくらいで、ほとんど大差なかったと思います。
この成績を引っ提げて、プルシェールは来季IMPULより日本のSUPER FORMULAに参戦します。ローソン🇳🇿に続いてF2で成績を残した、それもチャンピオンとなったドライバーのSF参戦。来季のSFは注目ですね!

一方でフレデリック・ベスティ🇩🇰(Prema/メルセデス育成)は追いかける立場となった最終戦アブダビ🇦🇪でスプリント優勝、フィーチャー3位と、可能な限りの追い上げを見せ最後の最後までプルシェールに食い下がりました。チャンピオンになれずとも、プレッシャーに負けず最後に速さと強さを見せるドライバーは今後さらに良いドライバーになるでしょう。現時点でベスティは来季F2に参戦しないことは決まっており、他カテゴリーへの参戦の情報もありませんが才能は間違いないのでこれからの活躍に期待したいですね。

最後の最後、ランキング3位に滑り込んだのはジャック・ドゥーハン🇦🇺(Virtuosi/アルピーヌ育成)。シーズン前半は第2戦サウジアラビア🇸🇦フィーチャーレースでの2位表彰台以外は表彰台になかなか登れず、リタイアやポイント圏外でフィニッシュするレースも少なくありませんでした。しかし後半でリタイアを喫したのはフォーメーションラップでスピンを喫しスタートすることが出来なかった第12戦オランダ🇳🇱フィーチャーレース以外はしっかりと完走しほとんどでポイントを獲得。さらにフィーチャーレース3勝(ハンガリー🇭🇺、ベルギー🇧🇪、アブダビ🇦🇪)を挙げたのは非常に大きかったですね。岩佐歩夢🇯🇵がランキング3位で終わるかと思いましたが、最後のアブダビ🇦🇪フィーチャーレースで優勝したことで岩佐を3pt上回ることができ、ランキング3位に食い込みました。MotoGPレジェンドのミック・ドゥーハンの息子ということもあって注目度が元々高かったですが、速さと強さを身につけてしっかりと結果を残しました。ドゥーハンも来季はF2を卒業し、活動の詳細を明らかにはしてませんが、これからの活躍が楽しみですね。

多くの日本人の皆さんが期待した岩佐歩夢🇯🇵(DAMS/レッドブル・ホンダ育成)はランキングを4位で終えました。3勝(スプリント2、フィーチャー1)を前半で挙げ、一時はランキングもトップに立つ活躍を見せてくれました。しかし後半は勝ち星に恵まれず2位3回がベスト。DAMSというチームの持ち込みのセットアップの精度が低いことが多く、なかなか岩佐も思うような走りが出来ないレースも少なくはなかったですが、本当に痛かったのは第11戦ベルギー🇧🇪のフィーチャーレースから第13戦イタリア🇮🇹のスプリントレースまで4レース連続ノーポイントで終えてしまったこと。しかも獲れたはずの上位ポイントを岩佐自身のミスで逃してしまい、正直観ていてかなりの焦りを感じました。この頃はまだまだチャンピオンの可能性が十二分に残っていた時期だっただけに、力が入ってしまったのでしょう。それまでの岩佐の冷静沈着な頭を使った走りとは程遠いものでした。イタリアのフィーチャーレースで2位を獲得したことで自信を取り戻しはしたものの、最後はドゥーハンの追い上げにやられてランキング4位となりました。
一応これで岩佐のスーパーライセンスポイントは累計62ptとなり、F1を走るために必要なポイントを満たすことはできました。が、しかし、今のF1に岩佐が入り込む余地は全くなく来季は日本に戻りレッドブル育成としてSUPER FORMULAを戦います。先に挙げた通りチャンピオンのプルシェールも来季SFを戦うので、この2人の戦いが再び観れると思うと楽しみですね!

ランキング5位に入ったのはルーキートップのヴィクター・マルタンス🇫🇷(ART/アルピーヌ育成)。デビューレースとなった開幕戦バーレーン🇧🇭のスプリントレースで3位表彰台に登る活躍を見せると、第2戦サウジアラビア🇸🇦では予選トップタイム(決勝PP)、スプリントレースでファステストラップ(以下FL)をマークし2位表彰台に登るなど、第8戦オーストリア🇦🇹までに2位1回、3位3回、PP2回、FL3回をマークし速さを示しました。一方でリタイアだったりポイント圏外でのフィニッシュも多く第4戦バクーまで8レース中6レースがノーポイントで安定感を欠いてました。しかしその後の9ラウンド18レースでノーポイントに終わったレースは僅か2レース。第9戦イギリス🇬🇧フィーチャーレースでは初優勝を挙げ、優勝1回、2位4回、3位4回、PP3回、FL6回という成績を叩き出しました。2022年FIA F3チャンピオンの力は伊達ではなかったですね。マルタンスはまだ来季についての発表がありませんが、来季もFIA F2を戦うのであればチャンピオン最有力候補なのは間違いないでしょう。

ルーキーではもう1人、ランキング6位のオリバー・ベアマン🇬🇧(Prema/フェラーリ育成)も非常に力強い走りを見せました。ランキングではマルタンスに先行されましたが勝ち星はマルタンス1勝に対しベアマンはなんと4勝、それも予選の順位でスタートするフィーチャーレースで3勝を挙げています。第4戦アゼルバイジャン🇦🇿ではスプリントで初優勝+FL、フィーチャーレースはPP+優勝、残念ながらフィーチャーでのFLは逃しましたがほぼフルマークの圧倒的な走りを披露しました。あとは安定的に上位でフィニッシュすることが出来るようになれば、ベアマンもマルタンスと並んで来季のチャンピオン候補に名乗りを挙げてくるでしょう。

ここまで特に目覚ましい成績を挙げたドライバーを挙げましたが、彼ら以外フィッティパルディ🇧🇷(Carlin/レッドブル育成)1勝、ハウガー🇳🇴(MP/レッドブル育成)2勝、フェシュホー🇳🇱(V.A.R.)1勝、クロフォード🇺🇸(Hitech/レッドブル育成)1勝、ボシュン🇨🇭(Campos)1勝、ノバラク🇫🇷(Trident)1勝と、多くのドライバーが勝利を挙げました。またトータルで17人ものドライバーが表彰台に上がる活躍を見せ、今年のFIA F2が非常にハイレベルで接戦だったことを物語ります。

さて、2023年シーズンが終わって約1ヶ月が過ぎようとしてますが、2024年シーズンは既に動き始めてます。
各チームラインナップが揃ってきて、空席は残りわずか。来季はチャンピオンのプルシェールを始めランキング4位までのドライバーたちが揃っていなくなり新たな争いを予感させます。

個人的には今季Formula Regional Europenでチャンピオンを獲得し飛び級で上がってくるメルセデス育成の秘蔵っ子、アンドレア・キミ・アントネリ(Prema)がどんな活躍を見せてくれるのか非常に注目してます。彼のことはF4から注目してましたが、彼の世代の中では間違いなくダントツの才能。何よりメルセデスがF3を飛ばしてF2に上げてきたのがその表れだと思います。いきなりのチャンピオン争いは難しいでしょうけども、ルーキーらしからぬ走りを見せてくれるでしょう。

また来季はSUPER FORMULAチャンピオンの宮田莉朋(Carlin)が参戦!ホンダ育成ドライバーの参戦がなく来季は久々に日本人のエントリーはないかなぁと思ってたところで想定外の参戦発表でしたね。海外経験がほとんどない宮田がFIA F2でどこまで戦えるか?注目していきたいところです。

さらに、来季のFIA F2はマシンが一新されより現代のF1に近い走りを体感できるエアロパッケージになります。ぱっと見は同じダラーラ製造のSF23にそっくりですが😅
マシンの走行データはどのチームもまだ持っていないため、誰もがゼロからのスタートになります。その点は宮田にとってもありがたいプラス要素なのかもしれないですね。
この新型F2でどのようなバトルが生まれるのか?非常に見どころです。

激闘の1年が終わり、それと同時に次の激闘の幕が開いていくFIA F2。終わったばかりではありますが、来季が楽しみで仕方がないですね^^
そこには一体どんな戦いが待ち受けているのか?F1を目指すヤングガンたちの戦い、来季も注目です!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?