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バスケットボールを撮影するに至るまで【3】つくばすけ応援編

 前回、つくばすけと出会い、とくに応援する兆しのない感じだったお話をいたしました。
 なぜ「筑波気に入らねぇギリギリ」と言っていた私が、手のひらをクールクルと返し、そのうえその先6年間、ずっと筑波を応援し続けることになったのか。

 きっかけは2つ。

 1つ目は2012年リーグ戦第5節、東海大学さんとの試合。
 自分、この日初めて筑波大学の濃色ユニフォームを見たんですよ。水色のやつ。
 この濃色ユニの笹山さんが、えらく可愛かったんです……え? あれ? なんか水色ユニ可愛くない? っていうか、水色ユニの笹山、可愛くない? え? 嘘?(動揺)みたいなね。

 余談なんですけど……ぶっちゃけて言って、当時の筑波の淡色ユニフォームがずーーーっと、ゲーム『ドラゴンクエスト』シリーズの「ステテコパンツ」にしか見えなくてですね!?
 この頃はバスパンの長さが規定がまだない頃で、全体的に膝下めの子が多くて……もうなんか、パジャマか、ステテコパンツか、みたいな気持ちで見ていてですね。
 今はみんなバスパン短くなったから……というかたぶん、見慣れたからそんなふうには思わないですけどね! 縦ラインは難しい!

 そんなわけで、謎のトキメキを抱きながらいざ試合。
 当時、東海さんがメチャ強だったということを知らなかったので、どうせ筑波が勝って5連勝なんでしょー? と思いながら観ていたんです。
 したら、僅差で負けまして。
 嘘でしょ!? と凄い動揺したのを覚えています。
 え? なんで負けるの? どうして笹山が敵わないの? と。
 それがとても悔しくて、ムカついて、気に入らなくて。
 とくに東海さんへの感情はなくて、ただ筑波(というか笹山さん)に対してなんでこんな怒りが湧くのかわからなかったのですが、

もしかして:筑波(というか笹山さん)、好き?

 って考えに至ったら、腑に落ちた感じでした。
 なんという天邪鬼なハマり方なのか……でも、マイナススタート(※筑波サイドは一切悪くない)だったので、上がるしかなかったんだなぁって思うことにしています。

 この時から、「まぁ応援するなら筑波と、拓殖と、専修あたりかなぁ……でも早稲田、大東も好きだなぁ……」みたいなことを思って観るようになりました。
 母校どこ行った?

 ライトな気持ちで観戦を続け、明確な推し校というのも定まらないまま終えたリーグ戦。
 私が明確に「筑波を応援しよう」と決めたのはこの後のインカレでした。
 それが2つ目。

 インカレ準々決勝、近畿大学さんとの対戦。
 自分は観ていないですが、前年に天理大学さんに負けたという話は聞いていたので、関西勢相手はドキドキだなぁって思って。
 でも、筑波が負けるわけないって思ってた。負けるなら青学さんとか東海さんだ、って思ってた。
 けれど試合は近大さんにリードされ続けて、残り45秒くらいで武藤さんが決めてやっと1点差まで詰めて。
 ラストワンプレーの筑波ボール。2点取れば勝ち越せる。
 絶対に取るって思ってた。落ち着いて行けば取れないわけがないと。
 でも、最後にボールを持っていた笹山さんが選んだのは、何故か3Pシュートだった。
 もう今でも「なんで?」って思っているし、笹山さんも「なんで打ったのかわからない」って色んなところで言っていた。

 3Pは外れて、近大さんが勝利。
 それまでつねに眉根を顰めて、厳しい顔してコートに立っていた笹山さんが、代々木第二のコートで泣き崩れた。
 先輩たちに支えられて、それでも顔を挙げられない笹山さんを見て、下級生でメインガードを張り続けたプレッシャーがいかに重たかったかを感じた。笹山さんは凄い選手だけど、その凄さが繊細な心で作られていたことに、この瞬間まで気付かなかった。
 いつもすぐ泣いてしまう私は、ショックの大きさにこの時、泣くことすらできなくて。

 でも。

「ああまだこの子、2年生だった。あと2年間ある。それならせめて、この子が卒業するまではこの子だけを、筑波だけを応援しよう。たかがファンにできることなんて何もないけれど、できることがあるならやろう。この子が勝って喜ぶ笑顔が見たいから、外から支えられるなら支えよう」

 そう決めた瞬間でした。

 この負けがなかったら、筑波を応援していなかったかもしれない。
 この負けがあったから、今なお筑波を支えたいと思う自分がいる。

 そんな笹山さんが2年後、61年ぶりのインカレ優勝でべしょべしょに泣いて笑うなんて、この時は知る由もなくて。
 ただ、この時明確に、笹山さんが世界一応援したいバスケットボール選手になったのでした。

 強いから好きになったわけじゃなくて、弱いところがあって、それでも頑張ろうともがくから好きになった。「強くなりたい」と頑張るから、大好きだと思う。
 それは、笹山さんが卒業して随分経ってしまった今でも、筑波に対して変わらず抱いている思い。
 インカレが近付くと毎年思い出す。

 以上が、私が筑波を応援するまでの道のりです。
 ……結構端折ってるんですけど、長いでしょ? なので説明するの、毎度面倒なんすよー。

 で、撮影するまでの話はこっから先のことになるのですが。
 それはまた次の機会に。

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