レビュー/「THE FOX FESTIVALS IN JAPAN 2017」6公演を一気に鑑賞!

2018年3月4日 Text by Kotaro MASUDA a.k.a. TAROO-METAL

2017年の「5大キツネ祭り in JAPAN」5公演と「巨大キツネ祭り in JAPAN」1公演の全6公演を収めたボリューミーな「THE FOX FESTIVALS IN JAPAN 2017」をようやく観終えたので,その感想を書いてみた。ちなみに時系列に沿って鑑賞したので,感想もその順番である(黒→赤→金→銀→白→巨大)。

■5大キツネ祭り in JAPAN - 黒キツネ祭り -
2017年7月18日(火) / 赤坂BLITZ

何よりもまず,キャパ1,400人とぃう小さなライブハウスでBABYMETALのパフォーマンスを見れるという事実に,何となく戸惑ってしまう。ありがたすぎて「そんな恩恵に預かってもいいのだろうか」と思ってしまうのだ。当日最前付近に陣取った人はステージの近さに驚いたはずだが,その近さは映像化されても視聴者には十二分に感じられる。アリーナやドーム公演に比べて,ステージ上の3人に寄った映像が断然多いのだ。それだけでなく,時にピンぼけしたりぶれたりする映像は臨場感も抜群だ。

3人の表情を間近に捉えたシーンがたくさんあるので,たとえば“META!メタ太郎”で歌っていない時のSU-METALが実にいろいろな表情を見せていることや(特に口元),“メギツネ”の「変顔対決」直後にYUIMETALの微妙な笑顔とMOAMETALの満面の笑みが一瞬見れること,あるいは“ド・キ・ド・キ☆モーニング”の中間部で倒れ込んであくびをしながら起き上がった直後にSU-METALが見せる「はっ!」という感じの表情,“ヘドバンギャー!!”の「のけぞり」という歌詞に合わせてのけぞるドラムの青山さんなど,見どころはたくさんある。

“Sis.Anger”も新鮮だ。思えば東京ドーム公演以来となる2度目の映像化。ドームはステージが巨大だったのでYUIMETALとMOAMETALが別々の出島ステージでパフォーマンスしたこともあり,シンクロする二人のダンスを楽しむことはできなかった。「黒キツネ祭り」はその物足りなさを補って余りある。これが本来の“Sis.Anger”なのだ。サウンド的にもドーム公演とは違ってギターの音の生々しさが際立っており,ブラック・メタル感がずいぶん増しているという印象を受けた。

ギターと言えば,“Catch me if you can”のイントロとなる神々のソロタイムに触れないわけにはいかない。まずは小神様こと藤岡さんの文字どおり鬼神のごとき超絶プレイ。このプレイをもう二度と生で観ることができないとは,いまだに信じられない。そして小神様の魂を引き継ぐべき大神様こと大村さん。この日のソロ・フレーズは従来とは異なる新作で,とてもかっこよかった。

SU-METALのヴォーカルも素晴らしかった。上述のとおり一つひとつの曲を存分に楽しみながら歌っていたと思うが,特に「メギツネ」での歌声はいつにも増して艷やかで深みが増した感じがしたし,最後の“イジメ、ダメ、ゼッタイ”での力強さは過去最高レベルだったように思う。

ちなみに最も印象に残ったのは“ギミチョコ!!”だ。3人の元気いっぱいの弾けっぷりが際立っていたと思う。この曲がもともと持っているキャッチーさが数倍増幅された感じがする。

【収録曲】
5大キツネ祭り in JAPAN - 黒キツネ祭り -
2017年7月18日(火)
赤坂BLITZ

01 BABYMETAL DEATH
02 META!メタ太郎
03 Catch me if you can
04 悪夢の輪舞曲
05 Sis.Anger
06 メギツネ
07 ギミチョコ!!
08 ド・キ・ド・キ☆モーニング
09 ヘドバンギャー!!
10 イジメ、ダメ、ゼッタイ

■5大キツネ祭り in JAPAN - 赤キツネ祭り -
2017年7月19日(水) / 赤坂BLITZ

観始めてすぐに、わき上がる「キャーッ!」という歓声の声の高さとステージ上で歌い踊る3人の様子が実に楽しそうであることに気づく。

高い歓声は女性限定ライブならでは。普段は圧倒的に男性が多いため合いの手やコール&レスポンスでは地鳴りのような声が響き渡るのだが,「赤キツネ祭り」では3人と同じ高さの声がオーディエンスからわき上がるので,聴いていて実に気持ちいい。特にすごかったのが“Road of Resistance”のコール&レスポンスと”メギツネ”での「ソレソレソレソレ!」という合いの手。会場の一体感が半端ない。「赤キツネ祭り」の”メギツネ”は最強だ。

オーディエンスが同性だとSU-METAL,YUIMETAL,MOAMETALの3人も普段のライブとはモチベーションや気持ちの持ちようが異なるのだろう。3人とも終始リラックスしている印象で,いつになく自然体。ナチュラルな笑顔が多く,観客と盛んに対話している様子も見て取れた。特にYUIMETALに笑顔が多かったように思う。ふだんはどちらかというとクールに振る舞っていることが多い彼女にしては,珍しいと言えば珍しい。

そのようないつもとは違った雰囲気ゆえ,この日の赤坂BLITZはさながら盛大な女子会のような空気に包まれていたと思う。セット・リストも特に序盤はメタル度がやや低めでポップな感じ。いつもはSU-METALが壮絶なまでの緊迫感を醸し出す屈指の名曲”紅月-アカツキ-”でさえもが,この日ばかりはいくぶんか柔らかだったような気がする。

【収録曲】
5大キツネ祭り in JAPAN - 赤キツネ祭り -
2017年7月19日(水)
赤坂BLITZ
01 BABYMETAL DEATH
02 ヤバッ!
03 あわだまフィーバー
04 紅月-アカツキ-
05 4の歌
06 メギツネ
07 ギミチョコ!!
08 ド・キ・ド・キ☆モーニング
09 ヘドバンギャー!!
10 Road of Resistance

■5大キツネ祭り in JAPAN - 金キツネ祭り -
2017年7月20日(木) / 赤坂BLITZ

このような言い方があるのかどうか知らないが,「歓声が若い」としか表現できない稀有なライブだ。観客が10代限定ならではの盛り上がり。ある意味でこの日の主役は観客(金の卵たち)なのかもしれない。そのような雰囲気が感じられる。

フロアを埋め尽くす10代パワーに感化されたのか,ステージ上の3人もいつになく生き生きとしていて元気いっぱい。やはり同世代のファンというのは特別な存在なのかもしれない。アーティストとファンではなく,メタルレジスタンスの旗のもとに集いし同志。そんなイメージなのだろうか。冒頭の“BABYMETAL DEATH”での観客とのコミュニケーションの様子や,“Catch me if you can”での「思わずにやける」といった感じの笑顔は,普段のライブではあまり見られないナチュラルさだ。“Road of Resistance”のシンガロングの時に見せる満足感と充実感にあふれる笑顔も印象的。

金の卵たちの反応も普段のオーディエンスとは微妙に違う。BABYMETALのライブは初めてだという人が多かったのかもしれないが,たとえば“GJ!”では「ウォール・オブ・デス!」という部分で合いの手が発生するなど,暗黙の了解で常態化していた古参ファンの「決まりごと」を自由に軽く一蹴してくれた。

パフォーマンス面で目についたのは,“Amore - 蒼星 -”でのSU-METAL。気合が入りすぎて力んだのか,珍しく音程が若干揺らいだような気がした。その“Amore - 蒼星 -”のギター・ソロでいつになく荒ぶるギターの神々のプレイも圧巻。RoRでSU-METALが叫ぶ「かかってこいや!」はいつもよりも一語一語をはっきりと歯切れよく発音していたような気がする。オーディエンスに思いを伝えよう,言葉を届けようという強い思いがそんな口調にさせたのかもしれない。

また,“ギミチョコ!!”でMOAMETALがSU-METALの右頬に「ズッキュン」する場面では,SU-METALがMOAMETALの指を振り払うように「何してんの!?」という感じでMOAMETALの方をバッとふり返ったのが面白かった。

そしてこの日のハイライトは“メギツネ”。これほどまでに元気みなぎる“メギツネ”は見たことがない。とにかくお祭り感が強烈。10代限定ライブでしかなし得ない圧巻のパフォーマンスだったと思う。

【収録曲】
5大キツネ祭り in JAPAN - 金キツネ祭り -
2017年7月20日(木)
赤坂BLITZ

01 BABYMETAL DEATH
02 メギツネ
03 Catch me if you can
04 Amore - 蒼星 -
05 GJ!
06 ウ・キ・ウ・キ★ミッドナイト
07 ヘドバンギャー!!
08 ギミチョコ!!
09 KARATE
10 Road of Resistance

■5大キツネ祭り in JAPAN - 銀キツネ祭り -
2017年7月25日(火) / Zepp DiverCity Tokyo

何と言っても私自身が参戦したライブだけに思い入れはひときわ強い。しかも以前ブログに書いたが,会場の最後列に陣取ってしまったためにステージ上がまったく見えなかったという,いわくつきのライブ。それをこうして映像化してもらえたので,あの時ステージ上で3人がどのようなパフォーマンスをしていたのかをようやく確認することができた。それが何よりの収穫だ。

ときおり映し出させるフロアの様子を見て感じるのは「人口密度が濃い」ということ。「5大キツネ祭り」は時系列に従って「黒キツネ祭り」→「赤キツネ祭り」→「金キツネ祭り」と観てきたが,おそらくこの「銀キツネ祭り」が最もギュウギュウパンパンだと思う。

この日のライブには数多くのちびっ子たちも2階席にいたはずで,ステージ上の3人がそのことをどのくらい意識しているかが気になっていた。ライブ当日は上述の理由によりその辺りの詳細が不明だったのだが,この度映像化されてようやくモヤモヤは解消された。3人の視線は間違いなくちょくちょく上方へ向けられていた。全体的に会場内は暗かったため見通しは悪かったと思われるが,たとえば“Road of Resistance”のオープニングでは場内が明るく照らされるので,3人ともフラッグを方に担ぎながら2階席をじっと見つめる姿がはっきりと確認できた。

寄りのショットが多くて臨場感たっぷりの“ヤバッ!”,いつになくエモい“KARATE”,お立ち台に登る時にローブの裾を踏んでしまわないように両手でちょっと持ち上げる上品なYUIMETALが可愛らしくて“THE ONE”など,見どころはたくさんある。ここまでの黒,赤,金に比べて3人の背後からフロアを見通すショットが多い(と感じた)のも新鮮だ。

そして「銀キツネ祭り」最大の特徴は,やはり何と言ってもソロ曲がないセット・リスト。これもブログに書いたことだが,BABYMETALの王道を行くセット・リストは見応え・聴き応えともに十分。この先あまり体験できない可能性が高い貴重なライブなのだ。

【収録曲】
5大キツネ祭り in JAPAN - 銀キツネ祭り -
2017年7月25日(火)
Zepp DiverCity Tokyo

01 BABYMETAL DEATH
02 メギツネ
03 あわだまフィーバー
04 ヤバッ!
05 ド・キ・ド・キ☆モーニング
06 Road of Resistance
07 ギミチョコ!!
08 KARATE
09 ヘドバンギャー!!
10 THE ONE - English ver. -

■5大キツネ祭り in JAPAN - 白キツネ祭り -
2017年7月26日(水) / Zepp DiverCity TOkyo

総じてSU-METALのヴォーカル・パフォーマンスが素晴らしいライブだと思う。最初から最後まで安定感抜群で,とても余裕が感じられる。特に“Amore - 蒼星 -”。曲の世界に没入しすぎてしまう危険性がある曲だが,入り込みすぎず,突っ走りすぎず,ほとばしりすぎず,適度にリラックスして歌っており,とても完成度が高くて秀逸なパフォーマンスだと思う。

良い意味で肩の力が抜けているという点では“META!メタ太郎”も同様。2ndアルバムの中でこの曲が一番好きだと公言していただけのことはあり,SU-METALは3人の中で一番楽しそうに歌っていると思う。ちなみにこの曲がセット・リストの2曲目に配置されているのもポイント。この曲がこんなに早く登場したのは,おろらく初めてだろう。

“GJ!”では,YUIMETALとMOAMETALのダンスに注目だ。以前はYUIMETALと言えば切れの良さ,MOAMETALと言えば力強さがそれぞれのダンスの特徴だった。今でもその捉え方は間違ってはいないのだが,以前よりもその差がなくなってきているように感じられる。YUIMETALにも力強さが備わってきているし,MOAMETALも切れ味鋭くなってきているのだ。二人とも身体の使い方が格段に上手くなっており,自分の特徴は保持しつつも同じような高みに到達しつつあるのだと思う。

ちなみにYUIMETALの特徴は体幹の強さと姿勢の良さ,しっかりした「止め」の動作にある。一方のMOAMETALのそれはダイナミックな動きと大胆で自由な表現力。直線的なYUIMETALと,曲線的なMOAMETAL。私の捉え方はそのような感じだ。

また,ライブで披露されたのが最も遅い部類に属する“シンコペーション”の完成度がここに来て一段と高まっている印象を受けた。ヴォーカルとダンスの一体感が格段に増しており,3人がこの曲を自分のものにしつつある雰囲気を強く感じるのだ。

最後にオーディエンスについて触れない訳にはいかない。「白キツネ祭り」はコープス・ペイントがドレス・コードだ。自ら喜々として白塗りを施してライブに参戦する強者が集っただけあって,フロアからわき起こる合いの手や歓声はものすごく大きい。元気という点では「金キツネ祭り」にやや劣るかもしれないが,迫力という点では文句なしに「白キツネ祭り」に軍配が上がる。

【収録曲】
5大キツネ祭り in JAPAN - 白キツネ祭り -
2017年7月26日(水)
Zepp DiverCity Tokyo

01 BABYMETAL DEATH
02 META!メタ太郎
03 Catch me if you can
04 Amore - 蒼星 -
05 GJ!
06 シンコペーション
07 メギツネ
08 ギミチョコ!!
09 イジメ、ダメ、ゼッタイ
10 Road of Resistance

■巨大キツネ祭り in JAPAN
2017年10月15日(日) / 大阪城ホール

ファンの方はご存知のように,大阪城ホールで行われた「巨大キツネ祭り in JAPAN」の模様は昨年12月23日にWOWOWで放送されている。ただし,放送されたのは公演1日目(2017年10月14日)で,セット・リスト全13曲のうち“イジメ、ダメ、ゼッタイ”を除く12曲だった。幸いなことに本映像作品に収められているのは2日目の公演なので,放送と丸かぶりという悲劇は回避された。

最も印象に残ったのは“イジメ、ダメ、ゼッタイ”だ。2日ともセット・リストに入っていながらWOWOWの放送ではカットされていた曲だが,この2日目のパフォーマンスは圧巻だ。その要因はSU-METAL,YUIMETAL,MOAMETALの3人ではなくて,実はギターの神にあるのではないかと思う。中盤でYUIMETALとMOAMETALが戦うシーンでハモるツイン・リードをじっくりと聴いてみると,ギターの神々のプレイがあまりにもエモーショナルであることに気づくはず。使い古されたフレーズだが,ギターがものすごく泣いているのだ。

“紅月-アカツキ-”や“Amore - 蒼星 -”でギターが泣いているなと感じることは今までにもあったが,IDZでそう感じたことはあまりない。この曲がもともと持っている劇的でエモーショナルな要素が,ギターの神のプレイによって増幅された印象だ。それにアテられたのかどうか,SU-METALの眼光はまるでソロ曲を歌っている時のように鋭くなっていると感じた。

また,WOWOWで1日目の様子を観た時にはYUIMETALに元気がない気がしたのだが,2日目を見るかぎり特に問題はなさそうだった。初めての会場だったので,もしかしたら初日は緊張していたのかもしれない。

それにしても「巨大キツネ祭り」を単独で観てもその豪華さにはため息しか出ないが,今回は時間軸に沿って「5大キツネ祭り」を黒→赤→金→銀→白と順番に経由してから「巨大キツネ祭り」を観たので,改めてそのスケールの大きさとゴージャスな演出に目を奪われた(5枚の巨大スクリーンとリアルタイムCG合成!)。しかも,ただ単にステージ・セットが巨大だとか派手だとかいうのではなく,あくまでも3人のイメージに見合った上品さと洗練さを兼ね備えた迫力なのだ。実によく考えられていると思う。

全体としての印象はWOWOWで放送された1日目とそれほど変わらないので,感想はその時に書いたブログを参考にしていただきたい(感想/WOWOW「BABYMETAL 巨大キツネ祭り in JAPAN」)。

【収録曲】
巨大キツネ祭り in JAPAN
2017年10月15日(日)
大阪城ホール

01 BABYMETAL DEATH
02 ギミチョコ!!
03 メギツネ
04 ヤバッ!
05 紅月-アカツキ-
06 GJ!
07 シンコペーション
08 META!メタ太郎
09 イジメ、ダメ、ゼッタイ
10 KARATE
11 ヘドバンギャー!!
12 Road of Resistance
13 THE ONE - English Ver. -

※写真=BABYMETALのTwitterより
※アメブロからの転載です。

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