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退職時の有給休暇

 退職時の有給休暇を全消化することに関する記事がありました。

不平不満がたまった末、会社を辞める人は、ざまあ! と思っているかもしれませんが、辞め方次第では、とんでもないしっぺ返しが待っていますので、ご注意くださいね。

まあ、めったに発生しない事なのですが・・・
興味のある方は、読み進めてくださいね。

記事では、引継ぎ不全による支障が出ないよう、会社都合による時季変更権が使えるかどうか? について、論じられています。

辞める人が、まだ転職先を決めていない場合であれば、退職日を変更することで、時季変更権が使えるようになることはあります。

が・・・

ほとんどの人が、次の就職先を決めてから退職することになると思いますので、よほどのことがない限り、あり得ないと思います。

つまり、会社側は、労働者側の言いなりで有休消化を認めざるを得ないというお話になります。
さて。ここまでは、特に労働者側には、何のデメリットもありません。

問題となるのは、ここからです。

社員数が二桁以上の会社さんの場合、就業規則を発行し、労働基準監督署に届け出ないといけませんが、皆さんは就業規則をもらってますでしょうか?

ここに、引継ぎに関する契約文言があるかどうか?
確認しておいた方が良いです。

もし、

  1.  引継ぎを行なわず会社に損害を与えた場合には、損害賠償請求を行なう

  2.  引継ぎすることを考慮しない退職の仕方については、懲戒解雇処分を行なう

という文言があった場合、会社と労働者の関係性が険悪な状況にしてしまうと、労働契約を盾にして労働契約の不履行に関する罰則規定が適用される恐れがあります。

ちなみに、弊社の就業規則にも、この文言はあります。
これは、社会保険労務士さんが作成してくれた雛型の就業規則に記載されていたもので、そのまま踏襲しています。
ですから、社労士さんが就業規則作成に関与している場合、大抵、この文言は入ってくると思います。

以下、詳しいサイトさんがありますので、紹介しておきます。

何だかんだ書いてありますが・・・

法的には労働者側が守られることが多いので、普通大丈夫です。

とはいえ、就業規則に明記されていると、裁判になった場合に一定の拘束力を発揮することになります。
その代表格が、

信義則にもとるような辞め方をしようとしている

場合です。

具体的には、一度も引継ぎをしなかった、という実績を残してしまった場合です。
もしくは、会社からの引継ぎ業務命令を拒否した、という場合です。

この場合、会社は懲戒処分を提示してくる可能性があります。
そうなると、退職金が減額される可能性があります。
強硬な会社さんの場合、懲戒解雇まで持って行こうとする場合もあります。
※)解雇処分は会社側にとってもリスクが大きいので、普通は選択しませんが・・・

こういう場合、会社の選択肢としては、損害賠償といった金銭面での要求をすることが多いです。
引継ぎを行なわなかったことで、業務内容の確認にかかった経費とか、顧客との関係性が悪化し取引停止や失注になった場合は、その売上とか、具体的に数字として損害が計上できることに限られます。
また、移籍に伴い、顧客を転職先へ誘導する行為も損害賠償請求の対象となります。
このように、具体的な金額として算出されてくると、裁判でも認められるケースが増えてきます。
ですから、会社の選択肢として考えられるのが、損害賠償請求である可能性は高い、と思っておいた方が良いです。
他には、在籍中は社員だからという理由で辛抱していた過去のミスに関する損害についても遡及して請求される恐れがあります。
※)時効消滅していない分になりますが・・・

従って、辞表を提出する際は、出来るだけ会社と揉めないようにして辞めることが望ましいです。
普通の会社であれば、慰留はしても、無理強いはしません。

嘘でもいいので、新天地で挑戦してみたいことがある、といった前向きな理由を挙げると、関係性を壊さないまま退職できると思います。

立つ鳥跡を濁さず

と言います。
いくら不平不満が理由で退職するにしても、一定の配慮をすることで、出来るだけ会社との関係性を損ねない辞め方をした方がいいと思います。

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