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テコの原理

社員が、さび付いたボルトを外すのに苦労していたので、

テコの原理を使いなさい。

と、指示を出しました。
で、スパナにパイプを差し込み、力をかけるとグッという感じでボルトが緩み、上手く外すことに成功しました。
現場では、よく見かける光景なのですが・・・

そういえば、テコの原理という言葉は知っているし、使い方も分かっているけれど、他人にそのメカニズムを説明するとなると・・・

どう説明すれば良いんだろう?
当たり前に使ってきただけに、逆に、深く考えたことがなかった・・・と反省。

ちなみに、友人経営者の花ちゃんは、
「社員にね。重い部品を入れたカバンを持たせるんですよ。
 で、ゆっくりと肩の高さまで、上げさせる。
 腕を伸ばして持つと、ものすごく重く感じるけど、
 腕を曲げてもつと軽く感じるでしょ? 
 それっすよ! 」
と、講釈してくれました。

思わず、
『それっすよ、って、どれっすよ? 』
と、苦笑いしました。
でもまあ、案外こんな感じで、多くの人は大雑把なんですよね。
私もその一人なので、エラそうには言えません・・・(汗)

ということで、部下に分かりやすく説明することを考えてみました。

てこの原理(簡略図):第一てこ

大雑把な図で申し訳ないですが、(デザインセンスなくてゴメンなさい)
社員が手こずっていたねじに当てはめて言うなら、
・ねじの回転中心が支点。
・作用点は、ねじのねじ山部分。
・工具を手に持って力を加えている部分が力点。
となります。

ねじが動かないということは、
ねじを回転させようとする力F1に抵抗しようとする力F2が、F1を上回っている状態ということになります。

この時、回転に作用する力が、モーメント(トルク)です。
これは、力x距離の計算で表されます。
つまり、力F1が力F2に対し負けている場合、これに打ち勝つには、
力F1を大幅に増強するか?
距離L1を大きくとるか?
あるいは、両方を同時に行なうか?
を行なう必要があるわけです。
(力F2や距離L2を弱める方法があれば、その方法もあります。)

社員が頑張っていた相手は、錆びついたねじです。
CRCの錆取も吹き付けていましたので、まあ、F2も多少は下がるかもしれません。でも、L2は不動です。
で、力F1もそう極端に増強は出来ないです。

そこで、パイプを差し込んで、L1を長く取るように指示したわけです。

それによって、
F1xL1>F2xL2
となり、ねじが回ったわけです。

結構単純なことで、多くの人が日常生活の中で、この原理を使って、色々なことをしています。

略図は、第一てこの図です。
これは、くぎ抜きとかラジオペンチとかがあります。
攻城兵器として活躍した投石器もこの図式ですが、力を増幅する使い方ではなく、移動距離を大きくする使い方でした。
(投石器では、飛ばす石の何十倍の重さの石を投入しています。)
てこの原理を発見したアルキメデスが、
「我に支点を与えよ。されば地球をも動かさん。」
と言ったことは有名ですね。
(もっとも地球を動かすぐらいの距離を取れる人はいないでしょうが・・・)

他にも第二てこ(力の増幅)や、第三てこ(距離の増大)が、あります。

第二てこ(簡略図)

考え方として、F1x(L1+L2)=F2xL2となりますから、
仮に、L1=2xL2とした場合、
F1x3xL2=F2xL2 (両辺をL2で割ると)
3xF1=F2
となり、力が3倍に増幅されることが分かります。
この第二てこの代表的なものが、穴あけパンチです。
(力点・支点・作用点は現物を見ながら考えてみてくださいね。)

第三てこ(簡略図)

第三てこは、移動距離を獲得するためのてこです。
図のように、回転半径が大きくなるほど、移動距離は伸びます。
その反面、作用点に伝わる力は弱くなります。
力を犠牲にして距離を稼ぐメカニズムというわけです。
代表的なのが、パン屋さんに置いてあるトングです。

書いてみて思いましたが・・・
分かりやすくなったのかな???

しがないオッサンにサポートが頂けるとは、思ってはおりませんが、万が一、サポートして頂くようなことがあれば、研究用書籍の購入費に充当させて頂きます。