【超常現象編②】カンパチ少年

2003年真夏のことである。その夜は南紀地方でコロダイを狙っていた。蒸した夜で熱帯特有のスコールのような雨が時折、降るような天候であった。ちょうどその年は海底の磯焼けが激しく、海藻が激減したと言われた時期である。その日も全く大漁とは言えない、小コロダイ一尾のみであった。

真夜中、そろそろ潮が動くタイミングで餌を取り変えようとすると、背後に人の気配を感じた。しかし、ここは3メートルほど崖を下る場所である。なかなか夜に降りて来れるようなところでは無い。暗いのでヘッドライトを付けると青年と言うか眼鏡をかけた普通の少年であった。しかし常に目をそらす感じで視線が合わない。

その第一声が「ここで、これからカンパチ釣れますかねぇ」であった。かなりの早口でしかも高い声である。

私は少々虚を突かれたが「カンパチは聞いたことが無いですね」と答えた。こんな夜更けに「カンパチ」はないだろう。しかも関西ではカンパチのことをそこそこのサイズでも「シオ」と呼ぶ。しかも夜は釣れたとか聞いたことが無い。「夜は難しいと思いますよ」と答えた。とすると・・

「いや、夜でも釣れますよ。〇△◇%&#$%・・・」と聞き取れない言葉が続いた。また突然現れたことも含め、少々というかかなり怖くなった。その後、話を振られても生返事で、様子を感じとりながら、決して背中を向けることなく放置していた。

そのうち、あきらめたのか、素早く動く気配を感じたので見ると、3メートルの崖をかなりの勢いで登って行き、あっという間にどこかへ消えた。その登り方が尋常ではなく、かなりの速さであった。

その日は、その影響で見事にタイミングを外されてしまい、全く釣れなかった。あとで色々話を聞くと、そのあたりでは有名な人の様子であった。

以上

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このマガジンは私自身のタマン(ハマフエフキ)釣りの記録を記した私本的な編集ものです。この釣りの記録を通していくつかの考察を加え、読者の皆様…

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