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D&Dも安心!海外TRPG界隈用語集

ダンジョンズ&ドラゴンズの本格的な日本展開や、『バルダーズ・ゲート3』の発売により、海外のコミュニティでTRPGに関する情報を漁る人も増えたかと思います。
そこでこの記事では英語圏のTRPGに関する用語を取り上げて解説しようと思います。

太字の語はこの記事で紹介されている単語です。


3.5e

3.5th Edition(3.5版)の略。こんな版の名前の付け方をしたメジャーどころといえば『ダンジョンズ&ドラゴンズ』だろう。

3.75e

D&D3.5版のオープンライセンスをもとにさらに拡張して生まれた『パスファインダー』第1版のこと。

5e

5th Edition(第5版)の略。『ダンジョンズ&ドラゴンズ』の第5版がデフォルトで、他のシステムの場合はシステム名が明記されることが多い。

action economy

TRPGに限らずターン制のゲームで時折みられる表現。
直訳で「アクション経済状況」。一ユニットが各ターンに取れる行動(アクション)の量や、その内容を指す。
例えば、補助行動で攻撃を行うことができれば、主行動で追加で攻撃したり、他の行動を行うことができるためaction economyがよいということになる。また、行動の数を増やす能力はaction economyに大きな影響を与える。

actual play

筋書きが決められているものに対する「実プレイ」。ネット配信などで見せ物としてTRPGをプレイしている様子を公開すること。

BBEG

Big Bad Evil Guyの略。重要な敵キャラ。いわゆる「ラスボス」。

beer and pretzels

ゆるい感じのセッション。「ビールとつまみのプレッツェル」を飲み食いするような雰囲気という意味。必ずしも酒が入っている訳ではない。
真面目さの段階に応じてmeat and potatoeswine and cheeseと飲食物の高級感が上がっていくが、筆者としてはこの2つが使われている印象は薄い。

campaign setting

キャンペーンの舞台となる世界観や設定のこと。world settingとも。キャンペーンでない単発(one-shot)でも使われているような気がする。

CR

[略語]
D&Dなどにおけるモンスターの強さの指標Challenge Rating(脅威度)の略。
もしくは2015年に始まり、気心の知れた友達グループなのに全員声優なのでD&Dをガチでプレイしてしまうという内容でアメリカを中心に社会現象となった配信『Critical Role』の略。

本noteでは第一キャンペーンを原作とするアニメ『ヴォクス・マキナの伝説』を原作側から解説する記事や、セッションで使われたhomebrewルールの紹介を行っている。

crunch

[名詞、動詞](形容詞:crunchy)
複雑な計算や手順を行うこと。
例えば、クトゥルフ神話TRPGに比べてダンジョンズ&ドラゴンズはcrunchyと言える。
number crunching(複雑な計算や演算を行うこと)から。
(対義語:fluff)

DC

difficulty classの略。達成値、目標値、難易度のこと。

dump stat

他の能力に割り振るために「捨てた」能力値。
dumpとはゴミ山の事。

dungeon crawl

ダンジョン―洞窟や地下墓地など、広い屋内エリア―を探索すること。
ダンジョンを探索するゲームならdungeon crawlerとなる。

edgelord

[名詞、スラング]
(形容詞:edgy)
わざと過激な発言をしたりしてショックを与えようとする人。過激なタイプの厨二病患者。
ソニックシリーズにおけるシャドウ・ザ・ヘッジホッグや、デビルメイクライのバージルに憧れたり、すぐに「両親は殺された」とか、部屋の角で腕組みしてるとか、そういうキャラを作ったりする、そういう感じの人のこと。
必ずしもTRPG界隈の単語ではないが、TRPGで自覚もなくやっている場合は要注意人物になりがちなため頻出。

fluff

[名詞]
(形容詞:fluffy)
ゲーム内の世界観や設定に関するテキストのこと。
ゲーム上のルールは少なめで、設定面に紙面が多く割かれているゲームはfluffyと言える。
(対義語:crunch)

gish

[名詞]
魔法と武器を両立したビルドのこと。ただし、ここで言う「魔法」に自然系や信仰系の魔法は含まれない。

由来はダンジョンズ&ドラゴンズにおける種族ないし派閥であるギスヤンキ/githyankiの魔法戦士。
D&Dの世界観内において、gishはギスヤンキの言葉で「熟練している」、転じて魔法戦士という意味を持つ。

GMPC

(D&Dの場合はDMPC)
Game master player characterの略。GMがコントロールするプレイヤー同様のキャラクター。
GM権限を濫用して「ぼくのかんがえたさいきょうのきゃらくたー」を見せようとする魂胆が見え隠れするため要注意。railroadingも参照。

grognard

[動詞、スラング]
古いシステムを好んでプレイする人。罵倒語寄り。
原義はナポレオン1世時代の近衛このえ兵、転じて老兵を指す。
フランス語由来なので読みは主に「ぐろにゃー」みたいになる。かわいい。

grok

[動詞、スラング]
心底から理解し、自らの一部と言えるほどになること。一般的なknow以上に理解の深まった状態。
もとはSF小説『Stranger in a Strange Land』(邦題:異星の客)に登場した造語。必ずしもTRPG、テーブルゲーム界隈の用語ではないが、オタク系のワードとして頻出する。

hex crawl

六角形(hex)で区切られた広域マップを探索すること。六角形それぞれが探索の一時間や一日など、一定の時間分の移動距離を表す。

homebrew

[動詞、名詞]
ゲームのルールや設定を本来のものから変更すること、またはそのルールや設定。
オリジナルのデータや世界観から、大幅なルールの改変まで幅広い。
原義は酒などの「自家醸造」。

hook

[名詞]
シナリオの導入のきっかけになる物事、フック。

init

[名詞、省略形]
Initiative(イニシアチブ)の略。

LFG

[略語、名詞的]
Looking for Group、もしくはLooking for Gameの略。「グループ募集中」の意味。

MAD

[略語、形容詞的]
Multiple Ability Dependentの略。複数の能力値に依存していること。
(対義語:SAD)

Matt Mercer Effect

「マシュー・マーサー現象」。
声優がガチでD&Dを遊ぶ配信『Critical Role』の社会現象的流行(CRを参照)により、新規プレイヤー(基本的にD&D)が配信のGMマシュー・マーサー氏並のハイレベルなマスタリングや表現などを期待してしまうこと。

しかし、現象と言える程目立った問題ではない、ただのGM側のコミュニケーション不足や杞憂だ、むしろGM側がマーサー氏と比べてしまっているのではないか、などと主張する声もある。

meat and potatoes

Beer and pretzelsよりももう少し真面目だが、滅茶苦茶真面目(wine and cheese)という訳でもない空気感のセッション。

metagaming

[動名詞]
ゲーム内の情報でなく、現実の情報をもとに意思決定を行うこと。
TRPGでは「うちのGMならこういう事してくるでしょう」というメタ読みならまだしも、キャラクターが知り得ない情報や現実の物理学の知識などを投入すると、没入感を削ぐ、ファンタジーなどのジャンルにそぐわないなどの顰蹙を買うおそれがある。

mini

[名詞]
miniature(ミニチュア)の略。特定のゲームや規格に応じたサイズで作られる。

min-maxing

[名詞]
(動詞:min-max、min/max、minmax)
能力の最適化のこと。minimum(最小限)とmaximum(最大限)を選ぶことから。
やや罵倒語寄り。

module

[名詞、D&D由来]
大長編のシナリオ本のこと。
初期のD&Dのシナリオ本がシリーズ別に分けられた「ダンジョン・モジュール」と呼ばれていたことからと思われる。

munchkin

[名詞]
キャラクターの強さのためにルールを曲解したり破ったりするプレイヤー。ルールの範疇にいるかいないかでpower gamerとは区別される。
日本でも「マンチキン」として浸透しているうちの「洋マンチ」にあたる。
『オズの魔法使い』に登場する小人たちと同名だが、そちらにはそのような性質は見受けられないため語源は不明。

murderhobo

[名詞]
世界観ともあまり繋がりを持たず、ただ殺して周る行為や、そのキャラクター。
酷い場合では街の衛兵や一般人にも手を出すことも。
語源が語源なので(hobo:浮浪者、ホームレス)罵倒語寄り。

nat 1

[略語]
Natural 1(ダイスの出目、無補正で1が出ること)の略。
高い方がよい出目のシステムの場合、最低値の1はファンブル(致命的な失敗)となる事が多い。
余談だが、「ファンブル」は和製英語寄りらしく、大抵の場合この手の結果はcritical failure(致命的な失敗)と呼ばれる。
(対義語:nat 20

nat 20

[略語]
Natural 20(ダイスの出目、無補正で20が出ること)の略。
D&Dやその派生システムでは20面ダイスで判定を行い、高い方がよい出目のため、最高値の20はクリティカルとなる。D&D第5版のルールでは攻撃の判定のみのため、他の判定でクリティカルが出るのはハウスルールの範疇(とはいえそういうネタのTikTokなどもあるが…)
ここから、たまに補正値込みの20をdirty 20と呼ぶこともある。
(対義語:nat 1

OD&D

[略語]
Original Dungeons and Dragons、すなわち1974年に発売されたD&Dの当初のルールを指す場合が多いが、第5版・2024年改訂版のコードネーム「One D&D」もOD&Dと略せるため、文脈に注意。

one-shot(oneshotとも)

[名詞]
キャンペーンに対する「単発回」。セッション数が1回だけでない場合はtwo-shot、three-shotと呼ばれる事もある。

OSR

[略語]
Old School RevivalもしくはOld School Renaissanceの略。黎明期のシステムに影響を受けたシステムや、その傾向。下の記事に詳しい。

OSRから派生して、古いシステムのような雰囲気を残しながらシステムだけ現代的に洗練させたものを「NSR」(New School Revival、New School Revolution)と呼ぶこともある。

PbtA

[略語]

Powered by the Apocalypseの略。システム「Apocalypse World」のSRDを使用した派生システム群の総称。

power gamer

ルールの範疇でキャラクターの強さを求めるプレイヤー。
min-maxingと関連する。

pre-gen

[略語]
pre-generated character(作成済みキャラクター)の略。

RAI

[略語]
rules as intendedの略。開発者によって「想定されている(想定したであろう)ルール」を汲み取ったルール解釈。
(対義語:RAW

railroading

[名詞]
GMが物語が特定の方向に進むように強制すること。
単語としては線路を敷くようにプレイヤーを誘導するイメージ。
語義の理解や是非については意見が割れるところで、GMがプレイヤーの興味を惹くことで誘導しただけにも関わらず、経験の浅いプレイヤーから露骨なrailroadingだと主張されたり、プレイヤーの選択権を奪っているためrailroading全般が悪とされることがある。

RAW

[略語]
rules as writtenの略。「書かれている通りのルール」によるルール解釈。
(対義語:RAI

retroclone

[名詞]
古いシステムのコピー品、類似品。絶版のシステムと機能上ほぼ同じでも中身が書き直されているため法に抵触しない場合などに使われる。

Rocks fall, everyone dies

「岩が落ちてきて全員死にました」。キレたGMがちゃぶ台を返すように、抵抗の余地もなく全員のプレイヤーを殺す代表例。

roll-play

Role-playに対してサイコロを転がしている(roll)ばかりじゃないかという表現。主にrole-playと対比させる形で、crunchy なシステムを揶揄する意図で使われる。

Rule 0

TRPGの大前提「最終的な決定権はGMにある」のこと。ルールブックの第一条以前の「ルール第零条」という意味。

Rule of Cool

細かいルールや現実的、論理的なありえなさを無視して、「かっこいい/面白いからヨシ!」とGMが裁定すること。使いすぎには要注意。

rules lawyer

「ルールの法律家」。ルールを遵守することにこだわるプレイヤー。TRPGの性質上、極度なrules lawyer行為は他のプレイヤーの顰蹙を買うおそれがある。
Rule of Coolと対立する。

SAD

[略語]
Single Ability Dependentの略。能力値一つだけに依存していること。
(対義語:MAD

sandbox

[名詞]
直訳で「砂場」。GMからの誘導もあまりなく、世界との関わり方をプレイヤーに委ねるタイプのセッション。
コンピューターゲームで言う「サンドボックス型」と同じ単語。

slog

[名詞]
進行が遅かったり、繰り返しが多かったりなどして、つまらないこと。
TRPGやテーブルゲーム界隈に限った用語ではない。

splatbook

[名詞]
特定の種族や勢力、地域など、何らかの(比較的狭い)テーマに絞ったサプリメント。

SRD

[略語]
System Resource Documentの略。特定のライセンスによって二次利用向けに公開された基本ルールの根幹部分。
元のシステムによってはこれを用いた派生システムを一つのシリーズとして定義することがある。Apocalypse Worldを元にした 「Powered by the Apocalypse」(PbtA)系などに代表される。

THAC0

[略語]
「To Hit AC 0」の略。
アドバンスド・ダンジョンズ&ドラゴンズ第2版まで使用されていたアーマークラス(AC)に関するルール。このルールがあるため、ACは低ければ低いほど攻撃がヒットしづらくなるのだが、複雑な計算式や表からTRPG界隈でネタにされやすい。
第3版からはACの計算やヒット判定が上方式に単純化された。

Theater of the Mind

「脳内劇場」。物理的、視覚的なマップなどにあまり頼らずに、プレイヤーのイメージに大きく依存したセッション形式。

TPK

[略語]
Total Party Killの略。パーティが全滅すること。

TTRPG

[略語]
Tabletop Role-Playing Game(卓上RPG)の略。「テーブルトーク」という表現は和製英語的だが、一応「TRPG」でもTabletop Role-Playing Gameの略と言い張ることはできる。

VTT

[略語]
virtual tabletopの略。ダイスやマップ表示などを行い、「擬似的」に「卓上」を再現するソフトのこと。

VtM

[略語]
『Vampire: the Masquerade』の略。世界観を共有するWorld of Darknessシリーズのシステムのひとつ。

West Marches

キャンペーン形式のひとつ。グループの総人数は通常よりも多く、プレイヤー同士が決めたスケジュールに来られる人が集まってGMに内容を相談しプレイする。

さらに、由来となったBen Robbins氏のキャンペーンでは以下のように設定されている。

  • GMからは誘導らしい誘導もなく、プレイヤーは自由に舞台となる特定の地域を探索できる。

  • セッションの終わりには拠点に戻ることで、いつキャラクターが入れ替わっても設定上問題ないようにする。

  • GMは舞台を整え、世界観を自然に見せる事に注力する。例えば、狼に襲われてPCが死にそうになってもいきなり手心を加えようとしないなど。選択をしたのはプレイヤーの責任だからだ。

Ben Robbinsによる原典の記事においては、文明から西の辺境地帯を舞台としていたため、これがWest Marches(この場合のmarchは「辺境」の意)と呼ばれる所以である。 

wine and cheese

滅茶苦茶真面目な雰囲気のセッション。世界観に忠実でRPを重視する。
しかしそういうセッションが必ずしもワインやチーズのような高級な飲食物を持ち込む訳ではないため、beer and pretzels(ビールと酒のつまみ)から対義語としての連想と思われる。



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