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D&D翻訳:魔法で一ランク上のキャラ表現を

https://www.dndbeyond.com/posts/953-make-your-d-d-magic-stand-out-with-personalized

この記事はD&D Beyondに投稿された「Make Your D&D Magic Stand Out with Personalized Spells」(2021年5月15日、Riley Silvermanによる)を翻訳したものです。
内容はいずれも記事公開当時の情報です。

本文

少し魔法の話をしましょう。私達の多くにとって、魔法とはダンジョンズ&ドラゴンズへの愛を突き動かす火種であることでしょう。他の要素のために来たという人もいるかもしれませんが、どちらにせよ、元をただせば時に英雄的に、またある時は英雄らしからぬ形で、世界を塗り替える力を振るう夢を描き出す事にあるのです。

クラスの呪文リストやルールには様々な呪文の使い方が書かれています。呪文の説明文を開けば効果、系統、その他様々な呪文発動に関わる要素mechanics等が記されており、これらの情報だけでも呪文を解き放つ際に何が関係あるのか詳細な情報を知ることができます。

しかし、呪文はキャンペーン中の問題解決に役立つだけでなく、キャラクターの個性を物語に織り込む爆発的で効果的な方法にもなり得ます。

これこそ『ターシャの万物釜』で呪文に個性付けをすることが推奨されている理由です。

自分のキャラクターがいかに詠唱を行うかをイメージすることで、本のページの枠を超えて三次元的な存在となる助けになります。

第5版でのアーティフィサー・クラス(訳注:『ターシャの万物釜』等収録)の登場や、アーティフィサーが道具を通して魔法を使うことも、同じ呪文でもクラスによってどのように発動されるのかが異なる可能性がある事を示しています。

私がキャラクターの呪文を選ぶ際、特にキャラクター作成の序盤では、以下の事をつねに自問自答しています。

  • どこでどうやってその呪文を学んだのか?

  • そのキャラクターが日常的に使う魔法の源は何か?

  • 魔法とはどんな関係性なのか?

それでは実際に呪文の個性付けの例を見ながら、いかにキャラクターを反映するかを見ていきましょう。

火を起こすにも方法は一つじゃない

呪文による個性付けがどれだけ幅広い物であるかを紹介するため、一つの呪文に絞って見ていきましょう。ここでは、D&Dで最も有名な呪文の一つであるファイアーボールを例に挙げましょう。

私の現在(訳注:原文当時)参加しているキャンペーンは『Ghosts of Saltmarsh』にグレイホーク舞台のオリジナル要素とDMの気まぐれで物語的な変更を加えたものなのですが、昨年の夏(訳注:作中時間ではなくセッション時期と思われます)、私達はゲストプレイヤーのローラ(道中で救出したトリトンのソーサラーをプレイしていました)と共に、サフアグンにまみれたダンジョンを探索していました。

魚じみた敵でいっぱいの部屋に入る際、ローラはファイアーボールで奇襲をかけるので下がっていて欲しいと提案しました。

呪文はルールにある通り発動し、20フィート(訳注:6メートル)範囲内のサフアグンはセーヴィング・スローを行わねばソーサラーの燃えたぎる怒りに晒される状態になったのです。

しかし、ローラのその行動の描写では、一般的な火炎の爆発ではなく、キャラクターたちが目にしたのは海底で見られるような沸騰する間欠泉だったのです。

これはいつもシンプルですが素晴らしい例だと思っています。

一生の大半を水中で過ごしてきたトリトンにとって、炎を目にする機会はとても限られていたでしょう。しかし、だからといって彼女が極高温の概念を知らなかったり、それをピンチに武器として操ることができる訳ではないという事ではないのです。

これはローラが適当を言っていたわけではありません。彼女のキャラクターの根幹に関わるものなのです。ただの見た目の変化だけではなく、“尊ぶもの”や“弱み”(訳注:キャラクターシートの項目)と同じぐらいキャラクターの背景の一部なのです。

ファイアーボールの外見を決める際、ローラはこのソーサラーがいかに周りの世界と関わり、操ってきたかを理解したのです。
そして、呪文の使い方を通して、会話に背景設定を織り込むように、キャラクターの設定の片鱗を卓の皆に伝えたのです。

一方で別の卓ではソーサラー―先程とは違い陸に住むハーフエルフですが―彼女は荒ぶる魔法をコントロールするのに大いに苦労していました。なので呪文を選ぶ際、事態が悪化した時に抑えられなさそうなものとして、例えばウィッチ・ボルトやケイオス・ボルト、そしてのちにはファイアーボールをあえて選び、パーティが面倒事に巻き込まれた際、私はキャラクターが感情を抑えきれず、むき出しの力が漏れ出すかのように描写したのです。

彼女の呪文表現はもしかすると典型的な方かもしれませんが、その呪文との関係性はもっと感情に訴えかけるものです。ファイアーボールこそただの火の玉かもしれませんが、それは自らを抑えきれずに解き放たれるものなのです。

海底の間欠泉のように、私のソーサラーのファイアーボールは爆発を起こすものではありますが、水蒸気ではなく、情熱と混沌がその身体から噴き出しているのです。これは混沌潮流のために表(訳注:魔力暴走表)を振る以外で荒ぶる魔法の純然たる混沌を表現する方法であり、危険な魔力を宿す人物である事を世界観上で表現する方法だったのです。

もちろん、メタ的には他のダイスを振って呪文を使うキャラクター達と同様にコントロールしていましたが、世界観上は、その怒りのこもった魔法が彼女は荒ぶる魔力に満ちている事を示し、きっと他人からは近寄りがたい存在であるように映っていたのです。

火を起こすマッチ数本

先程の例は特定のキャラクターに絞った内容でしたが、他にもキャラクターの系統別の例を手広く、手早く見ていきましょう。

ウィザード:おなじみですね。古典的な「乾いたコウモリの糞と硫黄を混ぜた玉」でしょうか?混ぜた状態で小さなバッグの中、音声要素と動作要素と共に敵に投げられるのを待っているのでしょうか?それとも、あなたのウィザードはワンドを使うタイプで、師匠から脳裏に焼きつく(ダジャレ込みで)程、体が覚える程教わった動きがあるのでしょうか?もしかすると、あなたのファイアーボールは厳格な秘術研究を表すように、いつも均一なのかもしれません。

光の領域のクレリック:光の神は様々で、敬虔な信者たちが神聖呪文を操る方法もクレリック毎に様々でしょう。小さな神の化身が火の玉を運んでくれるのかもしれません。それとも、きらめく星の光だったり、文字通りの銀の炎シルヴァー・フレイム(訳注:シルヴァー・フレイムはエベロンの善意と秩序の神)なのかもしれません。

フィーンドのウォーロック:この世ならざる邪悪の主から魔力を引き出しているのなら、賜ったファイアーボールの力にも邪悪なフレーバーがあるのは道理でしょう。もしかするとあなたのファイアーボールは硫黄の香りがして、地獄の炎のような姿をしているでしょうか?それとも空中を舞う炎の剣か、はたまた同じ魔王に仕える燃え盛るインプやクアジットが召喚され、ツケの支払いから守るために自爆してくれるのでしょうか?

バード:"魔法の秘密"は素晴らしい能力ですが、実際に他のクラスの呪文を丸ごと取り上げる際、バード自身の使い方にはどのように現れるのでしょうか?音楽寄りのバードは『Devil Down to Georgia』のように燃えるバイオリンから直接火を放つかもしれません(訳注:歌詞に燃えるバイオリンを引く悪魔が登場するThe Charlie Daniels Bandの楽曲『The Devil Went Down to Georgia』の事と思われます)。

(訳注:The Devil Went Down to GeorgiaのPrimusによるカバー。)

10レベルでファイアーボールを習得した剣の学派のバードは呪文を剣捌きに組み込み、剣の先からファイアーボールを放つかもしれません。

一方で(訳注:原文公開当時)新たに発表された『Van Richten’s Guide to Ravenloft』収録の「College of Spirits」は元々霊の力を引き出す力を持っているので、同じ霊達に呼びかけて火を起こしてもらうのかもしれません。

このように、呪文一つに限っても無数の表現方法があり、ワンランク上のキャラクター表現を卓の物語に持ち込むことができるのです。

皆さんは呪文の表現をカスタマイズして、キャラクターやキャンペーンを反映させた事はありますか?コメントでお教えください!
(訳注:このページのコメントでも書いて頂ければこれを呼んだ人たちのためになりますし、私も喜んで読みます。) 


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