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SNSの本質とはなにか

「ツイッターのフォロワー増やして会社の戦闘力あげてよ」

昔の会社でぽろっと上司に言われた言葉を時々思いだす。当時はツイッターは特定の繋がりの中で呟くツールだったし、もともと誰かのタメになるような情報を発信ができるようなタイプでもない。だから、その一言を投げかけられた時は「何言っているんだこの人は……」としか思わなかった。

しかし、上京してから上司がなぜそんなことを言ったのか少しだけ理解できるようになった。実際に会うことができない相手を信頼できるか否かはその「数」で測ることができるからだ。

フォローよりもフォロワーの数が多いと信頼できそうと思ってしまうし、更新がまばらな人より毎日更新している人の方が何を考えているか分かるから安心できる。プロフィール欄から見えるタイムラインが綺麗な人は心が綺麗な人なんだろうなと想像したりもして。

会わなくても数と言葉を見ただけで、本人を知った気になってしまう不思議なツール、SNS。

ただ、ずっとSNSをやっていると「これは本当の世界なんだろうか?」と思う時がある。

先日、インフルエンサーの方々を招待するイベントがあった。招待リストを見てみると、ほとんど知らない名前だったので、そのことをポロッと零すと隣にいた子が「えっ、わかんないですか?まじっすか!?」と驚きの声をあげた。

その驚き方に「私ってもしや時代遅れ……?」と思ったが、ごまんといるインフルエンサーを全員把握できるわけがない。「私、この人と会ったことあるんですよ」なんてキラキラした目で言われたときには、なんて狭い世界なんだろうと思ってしまった。

私もある時期、「フォロワーを増やすぞ!」と意気込んだことがある。フォロワーが増えることで何かが変わるかもしれないと思っていたのだ。だけど、しばらくして、フォローしてくれる人を「数」として見るのも、周りを気にした言葉ばかり発信するのも、なんだか自分には合っていない気がした。

フォロワーが少なくてもすごいことを成し遂げている人はいるし、フォロワーが多くても裏では悪口ばかり言っている人だっている。数だけに囚われているといつか本質を見誤ってしまいそうになる。

案の定、当時300人ほどフォローしてもらっていたアカウントが1000人を超えても私自身の人間力が上がったりはしなかった。多分、これが2000人、3000人、10000人になろうが変わらないだろう。

もちろんフォローしてくれる人がいると「やったー!」と毎回喜んでいるけど、それがSNSで発信する本質ではないことを私は自分にいつも言い聞かせている。

「ツイッターのフォロワー増やして会社の戦闘力あげる」という上司の考え方は会社のブランディングとしては正しい。だけど、中身が伴わない数字はいつしか綻びがでるような気がしてならない。

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