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2024JFL開幕直前!16チームの入退団選手情報

JFL開幕まであと1週間となりました。各チームの新加入選手ならびに退団選手の昨シーズンの成績をまとめました。開幕スタメンを考えるもよし、対戦相手の対策をするもよし。開幕までの妄想にぜひどうぞ。

※確認はしましたが、細かな間違いについてはご容赦ください。ポジション等たまにJFL公式とチームのHPとでも違っていたりするので……

(3/10:記事リリース〜開幕までに加入した選手分を追記・修正)

Honda FC


2023年成績:JFL優勝 
15勝8分5敗 勝点53
得点51 失点26 得失点差+25

2024年布陣
選手数:25名(うちGK3名)
監督:小林秀多(2年目)

選手の年齢は2024年3月1日現在。試合数・ゴール数はリーグ戦のみ。

昨季の序盤は監督交代もあってか勝ちきれない試合が多く、一時は二桁順位まで沈んだもののチーム全体が噛み合った6月から7連勝を含む11戦負けなしで一気に首位まで急浮上。その後は順位変動もなく4年ぶりの栄冠を手にした。2桁得点をマークしてMVPを受賞した岡﨑をはじめ鈴木、松本、八戸がベストイレブンを受賞。中でも鈴木は前人未到のJFL10年連続ベストイレブン受賞となった。

オフシーズンの動きは例年通り静かで退団選手は4名。主に途中出場で20試合に出場した弓場がわずか1年で今治に移籍したほか、6年目の石田が退団したものの主力選手は残留。選手の入れ替わりの少なさによる戦術理解や連携力の高さはHondaの大きな強みだろう。

加入選手は大卒選手4名で人数の増減はなく、25名の少数精鋭でシーズンへ臨む。立命館大学から加入した竹田は下部組織の出身。Hondaのサッカーを知る男だけにチームへの順応も早いだろう。岸田・知花に続き3年連続で中京大からの加入となった中盤の松岡はリーグ戦6アシストのチャンスメーカー。FWでは筑波大学から180cmの庄司が加入。2020年の天皇杯では武蔵野・高知とJFLチーム相手に2試合連続ゴールを決めるなど実力の高さを示している。岡﨑や児玉と実力者の多い激戦区のポジションだが、一年目からレギュラー争いに食い込みたいところだ。


ブリオベッカ浦安


2023年成績:2位
12勝9分7敗 勝点45
得点42 失点35 得失点差+7

2024年布陣
選手数:34名(うちGK4名)
監督:都並敏史(6年目)

選手の年齢は2024年3月1日現在。試合数・ゴール数はリーグ戦のみ。リーグ戦の公式データがない場合には不明と記載。

JFL復帰後初年度ながら昨シーズンの台風の目となった浦安。開幕から9戦勝ちなしと苦しみ序盤は最下位に沈んだが、10試合目で初勝利を挙げると怒涛の16戦負けなしを記録。最終節で滋賀と青森をかわして堂々のJFL準優勝を手にした。28試合中無得点で終わった試合はわずか2試合、毎試合のように得点する攻撃力が奏功したといえる。峯と村越が8得点で得点ランキング6位の数字を残したほか、JFL初挑戦の西袋・村越がそれぞれベストイレブンを受賞した。

大躍進の一方でオフは主力選手の引き抜きが目立った。西袋が今治、全試合出場の小泉と伊川が鳥取とそれぞれJ3チームへ移籍。村上は同じJFLの青森に移籍した。ライセンスを持たない浦安の場合、Jを目指したい選手にとっては、JチームからはもちろんJ3ライセンス持ちのチームからのオファーでも引き留めは難しいのだろう。全体では計12選手が退団する厳しいオフとなった。

加入選手は入団選手と同数の12名。大卒ルーキー5名と関東リーグを中心に地域リーグからの個人昇格が6名、期限付き移籍選手が1名となった。昨年関東リーグ5得点と結果を残した山崎は攻撃的なポジションの穴埋めとして期待がかかる。同じく昨年関東リーグで4得点を残したFW東は1年でJFLへ個人昇格。184cmの高身長で村上と似た役割が果たせそうだ。ベテランの多いFW陣に割って入れるか期待したい。DF陣ではルーキーながらレギュラーを射止めた藤森が残留したのは朗報。大卒3選手と松本から期限付き移籍の志村らが加入し若い選手が揃った。チームを支えた主力が抜けた穴をどれだけ埋められるかが鍵となる。

補強についてはある程度めどが立ったが、退団選手が5名と少なかった昨年とは異なり今季は選手が大きく入れ替わっている。開幕までに戦術の浸透がどの程度図れるかが気になるところだ。6年目となる都並監督の手腕にも期待したい。


レイラック滋賀

2023年成績:3位
11勝11分6敗 勝点44
得点47 失点37 得失点差+10

2024年布陣
選手数:36名(うちGK3名)
監督:菊池利三(2年目)

選手の年齢は2024年3月1日現在。試合数・ゴール数はリーグ戦のみ。

昨年よりチーム名が変わり、明確にJリーグ参入を目標に打ち出した滋賀。補強が奏功し序盤から首位争いに食い込むものの、夏前から徐々に失速。J3ライセンス取得の目処が立った夏場に一気に10人以上の新戦力を加えてJリーグ参入へ勝負を賭けたが、最終盤の沖縄・三重戦で勝ち切ることができず入れ替え戦の切符が手からすり抜けてしまった。残念な結果とはなったが、MIO時代チーム最高順位が7位だったことを考えればJFL3位は大躍進であることに変わりない。選手の頑張りだけでなく、フロントの力の入れようも含めてJへの本気さが伝わるシーズンだった。数字上では得点数47はHondaに次ぐ2位だが、失点数は最下位沖縄とほぼ同数の37。得点力の割に引分が多い点がやや目立つ成績となった。

シーズンオフには悲願のJリーグ参入を目指し、昨年に引き続き超積極的な補強を敢行。退団選手は期限付き移籍の満了を含めて23名。昨シーズン途中に50人弱まで選手が増えており、出場機会の少なかった選手の退団は致し方ないところ。半数以上の試合に出場していた服部・川森・安羅も夏場以降は出番が限られていた。また、早矢志・嘉茂ら在籍年数の長い選手が退団し、レイラック時代2年目にしてMIO時代から継続してプレーする選手は。6人となった。一方、期限付き移籍で加入していた平井・田部井・面矢・五十嵐を完全移籍で獲得し最終戦のスタメンは全員残留。昨年から継続扱いのため表には出ていないものの、昨年後半の主力選手を残せておりこの時点でも戦力としては相当強力だ。

(3/10修正追記)加入選手は14名。菊池監督がGMを務めた縁からか元岩手の選手を中心にJリーグチームから実績のある選手を多数獲得した豪華な陣容となった。特に注目はJリーグ通算300試合以上、J1でも活躍したロメロフランク。流経大時代以来15年ぶりのJFL参戦となる。年齢的な部分は多少気になるが、滋賀の攻撃を牽引する働きに期待したい。サイドアタッカーの白石は岩手時代に菊地監督の下でプレー経験あり。昨年はJ2群馬で後半から流れを変える役割を担ったが、滋賀では攻撃の中心になり得る選手だ。中盤のゲームメーカー小松はミドルレンジのシュートも魅力で岩手時代には3得点をマークしている。21歳の快速アタッカーの南も化ければ非常に面白い選手。平井とは高校・横浜FMの同期である。DFでは栃木から加入した小野寺に期待がかかる。昨年は前十字靭帯断裂の大怪我でシーズンを棒に降ったが実力は間違いない。堅守でチームを支えたい。鳥栖から加入した若い大里もポテンシャルは大きそうだが、選手層が厚く出場機会の確保が当面の目標となる。FW登録では大卒新人の奥田が加入。柏U-18時代にはプレミアリーグ得点王の経験も持つ実力者。182cmと前線の選手では最長身の恵まれた体格を武器にポジションを掴みたい。福岡大学から加入した昨年春の怪我に泣きJ入りはならなかったがインカレでは2得点と復活をアピール。滋賀で活躍し自身とともにJへステップアップできるだろうか。

選手数の割にGKが3名と少なめな点がやや気になるが、かつて滋賀でプレーした大ベテラン笠原が加入した。現時点で選手数は36人と多いが昨年同様シーズン中にもさらに補強に動く可能性はあるだろう。滋賀県初のJリーグチーム誕生へ向け、目指すはJFL優勝だ。


ソニー仙台FC

2023年成績:4位
11勝10分7敗 勝点43
得点46 失点40 得失点差+6

2024年布陣
選手数:26名(うちGK4名)
監督:鈴木淳(3年目)

選手の年齢は2024年3月1日現在。試合数・ゴール数はリーグ戦のみ。北信越大学サッカーリーグは公式結果が揃っておらず不明。

昨年のソニーは開幕から若手選手が躍動。前半戦は首位争いを牽引した。夏場に勝ちきれない試合が増えたが、最終盤まで上位争いを演じ最終成績は4位。見事な強豪復活を印象付けた。個人でも池内と平田がベストイレブンを、後藤が新人王を獲得。一方、順位の割には失点数が多く、失点40は下から数えて4番目の数字。全体的に大味な試合が多く、6試合がが3失点以上となった。

久々に充実のシーズンを送ったがこのオフも退団者が続出。Jリーグやライセンス持ちのJFL各チームへ主力選手が流出する非常に厳しいオフとなった。全試合出場のセンターバックコンビは澤田が奈良、池内がV大分へ移籍。攻撃陣では10得点の上野が宮崎、9得点の鈴木がV大分へ移籍。攻守の主力が移籍したほか、限られた出場機会で3得点をマークした瀬尾も三重へ。また、ルーキーながら開幕スタメンを射止めた熊谷は試合中の頭部の負傷もあり1年で無念の引退となった。

加入選手は9名。これまで出身者が多かった順大、中大、仙台大からの加入が0の一方で、京都橘大や新潟医療福祉大など近年力をつける大学からの加入が印象的なメンバーとなった。DFでは東海大学の主将、長江が加入。日本高校選抜のキャプテンとして鳴らした実力者だ。高校の先輩である後藤と再会し、最終ラインで共闘する。大阪体育大から加入した中山も1学年上の平山と再びチームメイトに。神田は青森山田時代に選手権決勝の決勝を経験。新潟医療福祉大では1年生から天皇杯に出場するなど研鑽を積んでいる。

FWはタイプの異なる4選手がポジション争いに参戦。甲元は関西2部で2年連続得点王に輝いたストライカー。180cmの体躯でポスト上野に名乗りを上げる。長尾、加藤も大学リーグで得点数を積み上げた実力者だ。布方は160cmと小柄なドリブラー。7名になったFW陣のハイレベルなスタメン争いに期待したい。主力は抜けたが、そこにポテンシャルの高い新戦力を迎え今年も門番としてJを目指すチームに立ちはだかる。


ラインメール青森

2023年成績:5位
11勝9分8敗 勝点42
得点30 失点24 得失点差+6

2024年布陣
選手数:28名(うちGK3名)
監督:柴田峡(3年目)

選手の年齢は2024年3月1日現在。試合数・ゴール数はリーグ戦のみ。リーグ戦の公式記録がない場合には不明と記載。

多数の実力者を迎え入れ、Jリーグ参入へ向け上位進出を狙った昨シーズン。しかし連敗もなければ連勝もない状態が中断期間前まで続き、なかなか上位争いに食い込めず。終盤に調子を上げ最終節まで入れ替え戦の可能性を残したが、最終的な結果は5位となった。失点数24はJFL最少と堅守を誇ったものの、得点数は30にとどまり長年の課題である得点力は解消できず。トップスコアラーの船山が6点と4年連続で2桁得点をマークした選手が不在となった。

成績面はあと一歩まで迫ったが、深刻なのは平均観客者数の少なさ。平均観客数はHonda FC以下の600人台、年間最多観客数も1500人台といずれもJ3ライセンスを持つJFLクラブでは最低値。今年のJ3の参入要件は再び平均入場者数2000人に戻ったが、その1/3にも達していない。JFL昇格から早8年経ったが観客数は横ばいで、コロナ禍やスタジアムのアクセス難といった問題はあるが根本的な集客への取り組みが他チームと比べると弱い印象は否めない。

退団選手は13名。20試合以上に出場した主力8選手がチームを去ることとなった。特に攻撃面を牽引した木戸と船山、堅守を支えた多々良や岩間らが抜けたのはかなりの痛手だろう。チーム最古参の小幡も引退となった。多々良や船山はフロントに対するコメントを残しており、選手とフロントとの熱量の違いも移籍に繋がったことを想起させる。また、2年間左サイドで大活躍を見せた青木がレンタル満了に伴いJ1町田へ復帰。流出が多い一方でベストイレブンに輝いたGKの廣末が残留。間違いなく他チームからオファーがあった中での残留は非常に大きい。

加入選手は12名。ここ数年のベテランJリーガー中心の補強から、若手〜中堅選手中心の補強となった。DFでは福島で4年間レギュラーCBとして活躍した河西を獲得。昨年はポジションを確保できず契約満了となったが、実力的には間違いなく主力候補だ。北九州から加入した23歳の大石もCBタイプの選手。昨シーズンはJ3で10試合に出場したが1年で契約満了となった。堅守青森の看板を守る活躍ができるだろうか。また青木の抜けた左サイドには徳島から西坂をレンタルで獲得。青森で成長を期したいところだ。またMFではソニー仙台から前も後ろも担えるサイドプレーヤーの松本を、FC大阪から攻撃的な中盤の町田を獲得。どちらもJFLで複数年レギュラーとして活躍した実力者だけに、即戦力の活躍が期待される。また、川崎から原田を獲得。昨年はJ3長野で19試合に出場も満了となった。足元の技術が高い選手であり、青森で復活なるか。

得点力不足を解消したいFWは浦安から187cmの長身の村上を獲得。昨年のJFLでは主に1トップでプレーし3得点、新天地では得点を量産できるか。また、23歳のブラジル人ベッサとエドワルドを獲得。ここ2年で加入したピットブル、クルーニーがJリーグ経験者なのに対し2名は日本初挑戦であり実力は未知数だが、彼らの爆発なしにチームの得点力向上は難しい。また、既存の戦力では千葉から期限付き移籍中の齋藤が移籍期間を延長。昨年は2得点をマークしたが期待値を考えれば物足りない。JFL3年目は正念場。大ブレイクに期待したい。

例年に比べるとやや小粒な印象な補強だが、ベテラン補強から抜け出て長期的な路線にシフトし始めたとも捉えられる。正直なところ1年間で観客数を3倍にするのは成績面以上に難しいだけに、長期的な目線でJリーグを目指せるチームづくり、そして観客数の増加を目指したいところだ。


ヴェルスパ大分

2023年成績:6位
10勝10分8敗 勝点40
得点28 失点29 得失点差-1

2024年布陣:
選手数:29名(うちGK3名)
監督:山橋貴史(4年目)

選手の年齢は2024年3月1日現在。試合数・ゴール数はリーグ戦のみ。

ここ数年は一定の得点力と僅差の試合を勝ち切る勝負強さで上位争いに食い込んできた大分だが、昨年は14得点を挙げた前田、8得点を挙げた利根がそれぞれ移籍したことで得点力が大きく低下。15試合制だった2020年とほぼ同数の28得点に終わった。一方で勝負強さは健在で10勝のうち8勝を1点差勝利で勝ちきったことで勝ち点を伸ばし、6位に食い込んだ。また、天皇杯では2回戦で同じ県内の大分トリニータを撃破。Jリーグ入りに向けて大きなアピールとなった。

退団選手は12名。主力の活躍をした期限付き移籍選手が軒並み移籍元へ復帰・別チームへ移籍をしたほか、2020年の優勝に大きく貢献した選手が多数引退する寂しいオフとなった。金子・薮内が引退したほか、昨シーズンも主力としてプレーした西埜植・長島・篠原も退団。またベストイレブンにも選出されたCBの杉山が北九州に、7得点の半田が移籍元の秋田へ復帰し要のポジションで主力が流出。一方、夏に期限付き移籍で加入し9試合5得点を記録した中井を完全移籍で獲得できた。

加入選手は退団と同数の12選手。各ポジション実力者を獲得し、穴埋め以上の戦力強化を狙う。目玉となるのは10年ぶりの復帰となる福満隆貴だろう。2014年に13得点をマークしベストイレブンを受賞して翌年J3山口へと移籍し19得点を挙げJ2昇格に貢献。17年にはJ1のC大阪へ移籍とJFLからわずか3年でJ1に駆け上がり、ACLでも得点を決めるなど主力として活躍した。まだ32歳、J2でも出場機会を得ていたなかでのJFL復帰はチームのJ参入にとっても非常に大きな意味を持つ。また、FC大阪からは浜崎を獲得。こちらもJFLからJ1まで上り詰めた苦労人だ。右SBが本職だが、中盤としてもプレーできる器用さを持つ。ここ数年は出場機会に恵まれていないが、20年にはJ1仙台で5アシストを記録しており実力は非常に高い。クロスの精度が高く、攻撃面での期待も大きい選手だ。

そのほかにも実力者は多い。GKでは大阪体育大から豊田を獲得。ベテラン姫野が正GKとして君臨しているが、ここ数年は佐藤や渡辺と併用されている。GKは3人制なだけに1年目から出場機会を窺いたいところだ。DFではソニー仙台から昨シーズンのJFLベストイレブンの池内を獲得。恵まれた体格で杉山の抜けた穴を埋める存在として期待は大きい。MFではこちらもソニー仙台から鈴木を獲得。右SHまたは3トップの一角で起用され、9得点と攻撃力が開花した。スピードを武器に今シーズンは2桁得点を狙いたい。都農から加入した堀はユース年代で世代別代表の常連だった選手。昨年は九州リーグで7得点8アシストの成績を残し再度全国リーグの舞台へと戻ってきた。精度の高い左足からのチャンスメークに期待したい。FWでは東北リーグの得点王、佐々木が加入。180cmの長身でリーグ戦では14試合23得点。異次元の得点能力をJFLでも発揮したい。また、FC大阪からはこちらも180cmの今村を獲得。2022年はJFLで7得点をマークしており、空中戦の強さで得点を量産したい。

主力は抜けたが、それ以上に攻撃面で実力者を揃えてきた印象がある今年のヴェルスパ。5年ぶりの優勝はもちろん、悲願のJリーグ参入に向けても前へ進みたいシーズンだ。


高知ユナイテッドSC

2023年成績:7位
10勝8分10敗 勝点38
得点30 失点26 得失点差+4

2024年布陣:
選手数:24名(うちGK3名)
監督:吉本岳史(3年目)

選手の年齢は2024年3月1日現在。試合数・ゴール数はリーグ戦のみ。北信越大学サッカーリーグは公式結果が揃っておらず不明。

昨年の天皇杯でガンバ大阪、横浜FCのJ1勢を2戦連続で薙ぎ倒すジャイアントキリングを達成。川崎相手にも善戦するなど大会を大いに沸かせた高知。特に横浜FC戦以降は春野での開催と、県民に大きくチームの存在を知ってもらうきっかけとなったことだろう。シーズンでは得点数は30に止まったものの、失点は全チーム2位タイの26と守り勝つサッカーで白星を拾い、過去最高順位となる7位でフィニッシュ。夏明け以降は下位相手に不覚を取った以外は負けなしと、リーグ戦でも年々存在感が強まっている印象だ。一方でJ3ライセンスは財務関連の基準と平均観客数に関して継続審議となった(審査途中で申請取り下げ)。観客数の面は天皇杯効果もあってか、Honda戦ではJFL昇格後最多となる2000人以上の観客数を集めるなど段々と増加傾向にあるだけに、来るべきJ参入のチャンスを逃さないようフロント側の強化も必要だろう。

退団選手は12名。期限付き移籍3選手を含む8選手が1年でチームを離れたほか、JFL初年度からチームを支えた西村をはじめ、栗原や金井が引退。DFでは最終ラインの要であった今井那生がJ2山口に個人昇格したほか5選手が退団。田口は武蔵野へ、GKの上田がレンタルバックで金沢へと復帰したほか、大怪我で離脱していたタンドゥ・ペラフィが新体制発表後に引退。ディフェンスとFW陣の補強がポイントとなる。

加入選手は現時点で8名。選手数もわずか24名と絞られている。上田・タンドゥ・伊藤が抜け一気に層が薄くなったGKでは福島から大杉が加入。実力者の井上との正GK争いにも注目だ。DFでは水戸から期限付き移籍の田辺に期待が高まる。21歳とまだ若い選手だが、昨年J2で8試合に先発出場しておりJFLでのプレッシャーに動じることはないだろう。試合を通じての成長にも期待したいところだ。大卒新人では金沢星陵大から加入した岩瀬は183cmの長身。拓大から加入した加藤はおそらく右サイドが本職の選手。WBはレギュラーとして吉田・橋本が定着しているが、選手自体が少ないだけにチャンスは少なくなさそうだ。

MFでは横浜FCからは宇田を期限付き移籍で獲得。ルーキーイヤーはリーグ戦出場なしだったが、JFLできっかけを掴めるか。またFC大阪からは上月翔聖を獲得。アタッカーとして22年にはJFL3得点を記録しており、特に攻撃面での活躍に期待がかかる。最後にFW登録の加入選手は0。西村・田口らの穴埋めができていない。7得点をマークした小林と東家を中心した攻撃となると思われるが、得点力に乏しいチームだけに現状はかなり心配である。

現状では観客数やスタジアムへのアクセスなど課題は多いものの、知名度向上に伴って面白い存在へとなりつつある高知。今年はリーグ戦の上位進出でさらに県民にアピールできるだろうか。


FCマルヤス岡崎

2023年成績:8位
9勝10分9敗 勝点37
得点34 失点34 得失点差0

2024年布陣:
選手数:30名(うちGK3名)
監督:井幡博康(4年目)

選手の年齢は2024年3月1日現在。試合数・ゴール数はリーグ戦のみ。

一昨年の5位からさらに上位を目指した岡崎。6月は5得点の大勝を含めて4戦3勝と波に乗り、14節に勝利して一時は2位まで順位を上げたものの、夏場以降は急激に勝てなくなり上位争いから脱落。最終的にはちょうど真ん中となる8位止まりとなった。一昨年との大きな違いは得点数にあり、一昨年の48得点に対して昨年は34得点に激減。失点数は変わっておらず、白星の数が減ったことで勝点を積み上げることができなかった。14得点を挙げた酒井の穴は大きく、V大分から加入した前田も奮闘したが7得点どまり。一昨年に途中加入で6得点と大活躍したンダウ・ターラを2年連続でレンタルしたが2得点に終わった。井幡監督就任以降、侮れないチームになりつつある岡崎ではあるが、やはり上位進出には得点力の向上が必要だろう。なお、昨年の岡崎は全選手がリーグ戦に出場、花井を除く全選手がスタメン出場しており、総力戦で戦っている。

退団選手は10選手。特にベテラン選手の引退・退団が目立つオフとなった。Jリーグでも長く活躍した内田が引退したほか、徳島や長崎などで活躍した花井がCC HARIMAへ移籍。昨年V大分から加入した浦島が1年で退団しwyvernへ移籍。その他在籍5年目の細見・大塚・阪本がそれぞれチームを去った。また17試合の出場ながら4得点と活躍した藤島がJ3YSCCへ移籍。主力は残せたものの、ある程度試合に出場していた選手が抜けているのが懸念である。

(3/10修正追記)加入選手は9名。ベテランJリーガーやJFLの実力者を獲得する路線が続いていたが、今年は大卒選手中心の補強となった。DFでは枚方から市川を獲得。法政大から加入もJFL初年度は11試合の出場に留まっただけに、新天地ではレギュラーを掴みたい。大卒では大阪学院大からCBの桑本を獲得。22年には総理大臣杯準優勝を果たしたチームの主力選手であり、ベテランが抜けて選手層が薄くなったポジションだけにルーキーイヤーからレギュラー争いに割って入りたい。FC大阪からは山田が加入。びわこ成蹊スポーツ大からJ入りしたが出場機会はなく、1年で満了となった。まだ23歳と若いだけにここから再度キャリアを築けるはずだ。同じく新加入の桑本は大学の後輩にあたる。MFでは関西大学から菊池を獲得。関西大学リーグでは4得点7アシストと攻撃力が高く、岡崎の新たな攻撃カードとして期待は高い。チェンライシティから加入した西本はC大阪U-23や讃岐でもプレーしJ3で170試合以上の出場経験を持つ選手。ボランチが中心だが最終ラインや攻撃的なポジションも担えるユーティリティだ。FWの補強はないが、ンダウ・ターラのレンタル期間を延長。1年間フル稼働できれば2桁得点どころか得点王争いに食い込む可能性のある実力者。前田・塩谷との前線は非常に強力になりそうだ。

派手さはないが実力者を獲得し着実に強化を行った今年の岡崎。アマチュアチームとしてJへの門番の役割を果たせるだろうか。


アトレチコ鈴鹿クラブ

2023年成績:9位
10勝6分12敗 勝点36
得点34 失点41 得失点差-7

2024年布陣:
選手数:26名(うちGK3名)
監督:三浦泰年→齋藤登(新任)

選手の年齢は2024年3月1日現在。試合数・ゴール数はリーグ戦のみ。地域リーグは公式結果不明。

三浦和良フィーバーが過ぎ、選手も大きく入れ替わった昨年の鈴鹿。一昨年はホーム戦全試合に1000人以上が観戦に訪れたが、昨年は最多観客数が900人台と一気に落ち込んだ。順位も序盤の5戦負けなしと後半の3連勝で上位まであと一歩まで順位を上げた時期もあったが、最終的な順位は9位と一昨年から大きく順位を落とすことになった。一方で、小野寺、有馬、鈴木、三好ら大卒ルーキーが初年度から主力として活躍するなど世代交代をしながらも一定の成績を収めた点は評価できるだろう。

また今オフ周辺の動きのトピックスとしては、チームの運営体制の変更・チーム名変更があるだろう。23年10月に運営会社の発行済み株式を株式会社協同が取得し、オーナーにはJリーグ元年に清水でプレーした斉藤浩史が就任。チームの公式ホームページがポイントサイトという珍しい立て付けが特徴だったが、社長らが退任し体制が変わったことでサービスは終了。チーム名やエンブレムも変更され新生・アトレチコ鈴鹿クラブとして再スタートを切ることとなった。

しかし、開幕まで残り約2週間のタイミングで三浦泰年監督が辞任。過去にはパワハラの告発もあったとはいえ、一度は留任がリリースされており非常に不可解なタイミングでの辞任となった。後任には元東久留米総合高校監督の齋藤登氏が就任。近年は市立船橋の布監督(現VONDS市原監督)、青森山田の黒田監督(現町田監督)など高校年代の名監督がトップチームの監督に就任するケースが続いているだけに、どのような采配をするかは注目だ。ただし、開幕までの時間がない点は非常に気掛かりである。

退団選手は11名。一昨年オフのような選手の大量入れ替えも危惧されたが、結果的には多くの主力選手が残留。GKで最多の出場試合だった阿波加が古巣札幌へ、主に途中出場でプレーした藤山雄や4年間在籍した山内ら退団したものの、若い主力選手の流出を防いだ上で中村・三宅らチームの根幹となる選手が残留した点は大きい。

加入選手は現時点で11名。選手数は26名と少なめかつ、前田が全治9ヶ月の大怪我で長期離脱しており台所事情はやや厳しい。GKは昨年10試合に出場した平吹のほか関東学院大学から出口が加入。長らくGK登録選手が2名のみだったが2月末にザスパ草津チャレンジャーズから菅野が加入し3人を確保した。守備陣では宮崎からCBの藤武を獲得。一昨年は一定の出場機会を得たが昨年はポジションを確保できず4試合の出場に終わっており、新天地ではフル回転したい。大卒2年目でJFLレンタル移籍となった堀江も1年目から勝負の年となる。フィールドプレーヤーでは唯一の大卒新人の庄司は関東3部ベストイレブンの選手。MFでは松本から濱名をレンタル移籍で獲得。中盤より前を左右どちらもこなせる器用な選手な様子なだけに、選手数が少ない鈴鹿ではチャンスが多いのではないだろうか。またトライアウトから加入した北原は爆発的なスピードが持ち味の選手。YSCCや秋田、松江シティでも活躍したが久々のJFLとなった。流れを変えるプレーに期待したい。FWでは岡山から福元を獲得。市立船橋高からプロ入りし、昨年はプロ初ゴールをマークしたが契約満了となった。184cmはチームのフィールドプレーヤー最長身であり、他の選手にない特徴でポジションを掴みたい。琉球から加入した人見は19年の関東大学サッカーリーグ得点王。琉球ではサイドハーフでも起用されていたが、鈴鹿では得点能力の高さを発揮しチームを牽引したいところだ。

監督交代の影響は心配されるものの、多くの選手が残留したことで選手間での連携は昨年からの積み上げがある。新生・鈴鹿の初年度はどういったサッカーを仕掛けてくるのか、開幕から期待したい。



ヴィアティン三重

2023年成績:10位
9勝8分11敗 勝点32
得点35 失点32   得失点差+3

2024年布陣:
選手数:30名(うちGK3名)
監督:樋口靖弘→間瀬秀一(新任)

選手の年齢は2024年3月1日現在。試合数・ゴール数はリーグ戦のみ。

樋口靖弘監督が率いる2年目のシーズンは開幕から幸先よく2連勝を果たすも、そこからが続かず。史上稀に見る混戦から抜け出すことができず、7月から6戦勝ちなしで順位を下げて結局3節以降は昇格争いにもほぼ絡めないまま10位でシーズンを終えることになった。これでJFL加入後7年で5回目の2桁順位。降格争いに絡むするほどの低迷はないものの、Jリーグを目指すチームとしては物足りない順位が続いている。初年度以上の失速もあり、樋口政権は2年で終了。今シーズンは秋田や愛媛で監督を務めた三重出身の間瀬秀一氏を招聘。観客数の面では平均1000人をコンスタントに超えていることから、成績面の浮上が至上命題となる。

退団選手は10名。20試合に出場した中盤の橋本が退団したほか、寺田・穂積といった中堅ベテラン勢がチームを去った。また期限付き移籍中だった真田・石井・エフラインリンタロウも退団。全体的には出場機会の少ない選手の退団が多く、ほとんどの主力選手を引き留めることにに成功した。

加入選手は13名。JリーグとJFLから実力者を獲得した。DFでは八戸から饗庭、讃岐から伊従、市原から篠原を獲得(夏まではJ3松本でプレー)。CBタイプの選手を3名獲得したのは3バックを使用することが多い間瀬監督のオーダーではないかと考えられる。特に篠原はJ2で223試合出場の経験を持つ守備職人。ここ3年間は負傷もあり出場機会こそ少なかったが最終ラインのキーマンとなり得る存在だろう。饗庭は22年にJFL高知で主力としてプレーしており、守備面での信頼は高い。185cmの長身を持つ伊従も頼もしい存在だ。

中盤には運動量とボール奪取力に優れた大橋を獲得。こちらもJ2で200試合以上出場した実力者。安西とのダブルボランチはJFLでは別格級だろう。さらに期限付き移籍で稲福、楠本を獲得。若い選手の突き上げで選手層に厚みを持たせたい。岡山から加入した野口は左サイドの何でも屋でSB/SHでプレー可能。JFLでもプレー経験がある。

FWではソニーから瀬尾、青森から木戸、枚方から加倉を獲得。加倉は5年ぶりの復帰となるが、しまね・枚方で主力として活躍し戻ってきた。J2福岡・山形でもプレー経験がある木戸は昨年は初のJFLで4得点止まり。FWとしての実力を見せつけるシーズンとしたい。田村、大竹に加え、武蔵野時代10得点をマークした梁、しまねのエースストライカーだった川中と既に実力者ひしめくFW陣が機能すれば自ずと得点数、そして勝ち星は増えるはず。それにしても FW陣はJFLオールスターともいえるメンバーになった。

各ポジションに実力者を迎え入れた今年の三重の補強の本気度は相当に高い。悲願のJリーグ入りへ向け、まずは優勝争いへと参戦したいところだ。



クリアソン新宿

2023年成績:11位
10勝4分14敗 勝点34
得点25 失点33 得失点差-8

2024年布陣:
選手数:30名(うちGK4名)
監督:成山一郎→北嶋秀朗(新任)

選手の年齢は2024年3月1日現在。試合数・ゴール数はリーグ戦のみ。

JFL2年目は好不調の波がはっきりと現れた年となった。4月の浦安戦で2年連続となる新国立開催では10000人以上の集客に成功。JFL初年度の一昨年は苦しんだ序盤戦も5月から6月にかけてウノゼロの5連勝を飾り、11節にはチーム初のJFL首位に。そしてJ3ライセンス取得にも目処が立つなどJリーグ参入へ向けて視界良好であったが、夏明けからは急失速。5試合連続無得点で敗戦を喫するなど9月以降は2勝8敗1分でシーズンを終え、最終的は順位は11位に終わった。失点は大きく減少したが、得点数は試合数以下の25、無得点の試合が13試合と年間を通じて得点力不足に悩まされた。シーズン後には関東リーグ時代からチームを率いた成山監督が退任。後任としてヘッドコーチの元日本代表の北嶋秀朗氏が監督に就任し新たな形で今シーズンへ挑む。なお、新宿には北嶋監督がかつてコーチを務めた熊本の選手が多い。齋藤和希は監督の現役時代のチームメイトであるほか、中山や池谷もコーチ時代に熊本に在籍している。

退団選手は5名。上田康太と森村昂太の両大ベテランが引退したほか、在籍5年目の樋口、15年目の剣持ら長くチームに在籍した選手が退団。特に大きな穴が空いた中盤の補強が急務となった。

加入選手は6名だが、ベテランJリーガーの加入が多かったここ数年から傾向が代わり新卒選手中心になったほか、ここでも熊本とのコネクションなのかJ2熊本から相澤が期限付き移籍で加入。昨年ルーキーながら開幕スタメンの座を射止めたが、負傷以降により出場機会を失っていた。怪我の具合さえ問題なければ実力は間違いないだろう。また中盤では駒澤大学から2選手が加入。上野は相澤と同じく熊本ユースの出身。小島は10番を背負いリーグ戦7得点をマークした攻撃力のある選手だ。2人は大学でもダブルボランチを組んでおり、新宿でも息のあった連携でチームの中心となりたい。

また、桜美林大から加入した今井は東京・神奈川大学リーグ2部の得点王。JFLでどこまで通用するか未知数ながら、得点力不足に悩むチームでの活躍に期待したい。そしてラストピースは東京Vから獲得した小池純輝。Jリーグ通算485試合出場75得点を誇る実力者がJFLに初参戦となる。今年で36歳ではあるが、30歳を過ぎてから2度の2桁ゴールを記録しており爆発の期待は大きい。昨年は佐野が9得点を記録したが、終盤戦はマークもきつかっただけに相乗効果にも期待したいところだ。

昨年はスタメン選手の平均年齢が30歳を超える試合もあった新宿。若手選手が多数加入した今年はフレッシュな力にも期待したい。目指すはJFL上位、そして23区初のJリーグだ。


FCティアモ枚方

2023年成績:12位
8勝10分10敗 勝点34
得点32 失点42 得失点差-10

2024年布陣:
選手数:32名(うちGK4名)
監督:二川孝広(2年目)

選手の年齢は2024年3月1日現在。試合数・ゴール数はリーグ戦のみ。海外リーグ等は公式結果不明。

二川監督初年度となった昨年は開幕から3連勝と好スタートを切ったがその後は一度も連勝できず。さらに夏場に絶対的な守備の要であった生駒が奈良へ、大垣と薬真寺が滋賀へそれぞれ移籍すると調子を落とし、最終的には12位でのフィニッシュとなった。失点数は15チーム中14位、得点数も平均以下と非常に厳しい数字が並ぶが、その一方で10引分を記録するなど簡単に負けることはない点は光った。特にアウェイ戦での8引分は全チーム最多。個人ではルーキーの山口が7得点でチーム得点王となり、今シーズンにも期待がかかる。

退団選手は10名。1年間CBで戦い抜いた藤﨑が沖縄へ移籍したのと、5得点を記録した加倉が三重へとそれぞれ移籍。特にCBは生駒・藤﨑と昨年のレギュラーが2人とも抜けてしまった。またアタッカーの島津がジェイリースへと移籍。JFL昇格を知るベテランの井上が引退。これで地域リーグ時代を知る選手は小谷と山野の2名となった。DFでは大卒ルーキー3名が1年で退団したのも来年以降を見据えると痛いところ。


加入選手は今オフのJFLチーム最多タイの15名。やや入団選手が多いが、前述の通りシーズン中の移籍もあったため選手数は32名とそこまで多くない。目玉となる補強は2年ぶりの復帰となる森本ヒマンだろう。恵まれた体格を活かして22年には14得点を記録、昨年はJ3讃岐にレンタル移籍も2得点止まりだった。枚方で再ブレイクを果たしたい。長野・山形などで活躍した河合は枚方市出身。ドリブルでの仕掛けが得意なアタッカーは昨年もJ2で19試合に出場しており、JFLでは別格の存在だ。群馬から加入した内田は元G大阪で二川監督ともプレー経験のある選手。昨年は38試合に出場もスタメンは1試合に終わっており、出番に飢えている。CBと中盤どちらでもプレー可能なユーティリティで監督の戦術の橋渡しの役割にも期待したい。

DFでは体格に恵まれた選手を多数獲得。屈強な最終ラインが形成されそうだ。駒澤大から加入した鷹啄(たかはし)トラビスは185cmの恵まれた体格で市船高時代から注目されていた選手。枚方で活躍しさらに上カテゴリを目指せるか。湘南からは190cmの長身石井を獲得。昨年はJFL三重でプレーし、1試合2得点をマークしたものの出場機会はわずかに終わった。2年連続の武者修行でレギュラー争いに名乗りを上げたい。ウィリアンと中田も180cmを超える長身であり、マリックら既存戦力を含めて今年の枚方は高さを生かしたプレーにも注目したい。FWでは関西リーグ2部で7得点6アシストを記録した久保も面白い存在だ。最後に今シーズンはヘッドコーチに元日本代表の大黒将志氏が就任。二川・大黒コンビが枚方でどのような化学反応を起こすのか非常に楽しみである。

実力者を多数迎え入れ、静かに巻き返しに燃える枚方。JFL昇格以来最高順位を目指したい。


横河武蔵野FC

2023年成績:13位
9勝5分14敗 勝点32
得点30 失点36 得失点差-6

2024年布陣:
選手数:38名(うちGK5名)
監督:石村俊浩(2年目)

選手の年齢は2024年3月1日現在。試合数・ゴール数はリーグ戦のみ。

東京ユナイテッドとの連携解消で文字通りの「原点回帰」を目指した武蔵野。だが主力選手が多数退団したことに加えて監督交代と始動の遅さからかなかなか波に乗れず、夏場以降に調子を落として下位争いに低迷。トップチームの指揮は初となる石村監督は3バック化を計ったがなかなか結果が伴わず、最終節まで入れ替え戦に回る可能性を残しながら辛くも残留を果たす厳しいシーズンとなった。一昨年リーグ得点数トップだった面影は消えて得点数は30と振るわず。失点数は36と粘ったものの引き分けは5試合のみと踏ん張りきれず、勝点を拾うことができなかった。

退団選手は5名。CB/左SBのレギュラーとして活躍した鈴木大河が退団したほか、期限付き移籍中の堀がレンタル満了で退団したが、主力は残留。巻き返しに向け、例年よりかなり早い段階から始動を開始している。

加入選手は14名。38名の大所帯となった。選手数は16チームで最も多いが、長期離脱の選手が多い点と、アマチュアチームで選手層を厚くするためには多めの戦力保持は必要との判断だと思われる。チーム名に横河を冠してはいるが、横河電機以外で働いている選手も多い。東京のチーム・駅近に専用の練習場を持つという特性を活かし、過酷なJFLで生き残りをかけたいところだ。

補強は大卒ルーキーと地域リーグからの昇格組が中心となった。鈴木の抜けたCBには国士舘大学から森田が加入。2022年の総理大臣杯優勝メンバーの実力者だけに即戦力級の活躍に期待したい。元FC大阪の大桃は昨年引退も現役復帰を果たした。早稲田大学時代には主将、対人への強さは折り紙付きなだけにブランクは気になるが復活なるか。GKの上川も早稲田出身。早稲田閥の強いチームだけにすぐに溶け込めそうだ。サイドバックでは都農から加入した杉山は元U-17日本代表。市立船橋高校時代に鳴らした精度の高いクロスを武器に3年ぶりの全国リーグで再起を図る。中盤では地域CLで2本のFKを決め大会得点王となった鈴木龍之介と前橋育英時代に高校選手権で優勝した塩澤が加入。どちらも初のJFLとなる。早稲田大学から加入した平野は大学院進学を予定する文武両道の選手。早慶戦MVPのお祭り男は既にチームでも盛り上げ役の様子。東京ユナイテッドから加入した新関は一昨年の関東リーグ得点王。180cmの長身で登録上はMFだがFW起用に期待したい。

FWではユース出身の大レジェンド、阿部拓馬が加入。2005年にトップチームに2種登録されて以来の加入となった。J2では3度の2桁得点を記録し、J1をはじめドイツ・韓国でも活躍。昨年もJ3で4得点とまだまだ主力でプレーしており、JFLでどれだけできるかは非常に楽しみだ。また、高知からは2年ぶりの復帰となる田口が加入。パワフルなシュートはもちろんのこと爽やかな笑顔はファンが多い。明治大学から加入した山崎稜介は清水ユース時代にU-17日本代表の選出経験を持つ実力者だ。

選手を多数迎え入れた武蔵野、誰が開幕戦のピッチに立っているかも楽しみだ。久々の上位進出と天皇杯出場を目指したい。


ミネベアミツミFC

2023年成績:14位
8勝7分13敗 勝点31
得点35 失点44 得失点差-9

2024年布陣:
選手数:26名(うちGK3名)
監督:宮路洋輔(5年目)

選手の年齢は2024年3月1日現在。試合数・ゴール数はリーグ戦のみ。大塚は昨年FリーグDev.1しながわシティで16試合出場0得点だが、別競技のため「ー」表記とした。

ミネベアミツミFCとして初めてのシーズンは序盤に一時3位まで順位を挙げたものの、全体を通じて下位に沈む苦しいシーズンとなった。失点数が44は全チーム最多、複数得点をマークしても失点もかさんで白星を逃す試合も多く、V大分戦では5-5という死闘を繰り広げた。最終的な順位は14位。残留自体は数節前から確定していたとはいえ、順位的には入れ替え戦一歩手前の厳しい順位であった。その一方で、エース日野が覚醒し19得点でチーム初となるJFL得点王を獲得。ベストイレブンにも選ばれるなど明るいニュースもあった一年だった。

退団選手は8名。なんといっても得点王の日野が今治へと移籍。チーム総得点の半分以上をマークしたストライカーの退団はあまりにも影響が大きい。ほかにもチームを長らく支えた當瀬、山道のベテラン勢が引退。永吉が同じ宮崎県の都農へと移籍したほか、ロングスローの使い手として知られた原山も引退した。

(3/10修正追記)加入選手は3月に2名が加入し9名。大卒7名のうち6名が九州育ちの選手だ。DFでは身体能力の高い福岡ユース出身の鷹巣、筑陽学園出身の今田を獲得。どちらも大学リーグ主力の活躍をしており、即戦力での活躍に期待したい。開幕直前に加入した越野は唯一の関西勢。186cmの長身を武器に守備陣に割って入りたい。MF/FWでは鈴木は日章学園ー宮崎産業経済大と宮崎育ちのストライカー。昨年の九州大学サッカーリーグでは得点ランク3位となる12得点をマーク。日野の抜けた前線での活躍に期待したい。順天堂大学からの加入となった樋口も宮崎出身。大津高ー順大を経て宮崎へと戻ってきた。中村と朝長は長崎の下部組織出身だ。

大卒新人以外では鈴鹿からは縄を獲得。中盤や2列目のほか、最終ラインもプレーできる器用な選手だ。またFWではフットサルチームのしながわシティ(FリーグDev.1)から大塚を獲得。矢板中央高校時代にサッカー部所属ながらフットサルの全日本ユース選手権で得点王とMVPを獲得。フットサルU-19日本代表にも選出されたが大学時代は法政大のサッカー部でプレーした異色の経歴の持ち主だ。182cmの長身を生かし、JFLで大爆発を狙いたい。


沖縄SV

2023年成績:15位
7勝5分16敗 勝点26
得点18 失点38 得失点差-20

2024年布陣:
選手数:28名(うちGK4名)
監督:高原直泰→小野木玲(新任)

選手の年齢は2024年3月1日現在。試合数・ゴール数はリーグ戦のみ。


JFL初年度は年間を通じて苦しんだ。4節の青森戦でJFL初勝利を飾ったが、6月以降は全く勝てず11戦勝ちなしの泥沼状態に。しかし夏の中断明けから持ち直し、10月には3連勝。Jリーグ参入を狙う滋賀相手に引き分けに持ち込むなど善戦したことで最終戦まで数字上は残留の可能性を残し、入れ替え戦では市原との延長戦に及ぶ死闘を制し残留。失点数は38とある程度踏ん張ったが、得点数は試合数の2/3程度の僅か18。シュート自体が他チームに比べ圧倒的に少なく、得点のチャンス自体が少なかった。昨年は守備を固めて失点を減らし、セットプレーなどのチャンスを確実に仕留めて白星をもぎ取ったが、得点力が改善されなければ今年も厳しいシーズンを強いられるだろう。

退団選手は14名。チームの顔である髙原は現役を引退しGMに専念。監督は清水エスパルスで長く下部組織の監督を務めた小野木玲氏が就任した。また最終ラインを支えた岡根、鯉沼が引退したほか、チーム最多得点の山田や一木らが退団。この他にも小田島・米澤・佐田ら一定の出場機会を得ていた選手が軒並み抜け、各ポジション戦力確保が急務となった。

加入選手は12名、うち8名が大卒選手とフレッシュなメンバーが揃った。DFでは高知、枚方で主力としてプレーした藤崎が加入。最終ラインを統率できる実績のあるベテランの加入は心強い。また、清水からは大卒2年目の落合を期限付きで獲得。185cmの長身はJFLでは希少なだけに、岡根らが抜けたCBで即戦力の活躍を期待したいところだ。鳥取から期限付きで加入した長井はルーキーイヤーに21試合に出場するも昨年は2試合のみ。空中戦の強さを武器にポジションを確保できるか。またMFでは北九州から池髙を獲得。元浦和ユースの10番はJ3各チームで中盤、サイドアタッカーなどでもプレーできる。得点に絡むプレーでチームに勝利をもたらしたい。

得点源候補となるFW陣は九州大学リーグ2部の名桜大から片山を、宮崎から青戸を、ジェイリースからは沖縄出身で元日本代表としても名高い我那覇を獲得。我那覇はここ2年、地域リーグで一定活躍を見せているが今年で44歳。どこまでできるかは未知数だ。青戸はおこしやす京都時代に関西リーグで得点王の実績を持つ185cmの長身FW。J3では2年間で4ゴールに終わったが、初のJFLでは爆発を期待したい。昨年最下位かつ得点力不足のチームの補強としては計算できる選手が少ない印象は否めない。チームの浮上には昨季不本意な成績に終わった儀保や伊集院の活躍も不可欠となる。土俵際でJFLに止まった沖縄の逆襲が始まる。


栃木シティフットボールクラブ

2023年成績:関東サッカーリーグ:2位、地域CL:優勝

2024年布陣:
選手数:31名(うちGK4名)
監督:今矢直城(4年目)

選手の年齢は2024年3月1日現在。試合数・ゴール数はリーグ戦のみ。

かつての栃木ウーヴァがチームを刷新し2018年以来のJFLに復帰。関東リーグ在籍中にチームの運営陣が変わり、Jを目指して選手のプロ化や専用スタジアムの建設を進めるなど、急ピッチでチームの革新を進めている。

昨シーズンは強豪ひしめく関東リーグでVONDS市原の後塵を拝してリーグ戦は2位に。全社も一回戦負けに終わったものの、Jリーグ百年構想枠を行使して地域決勝に出場。決勝ラウンドでは関東リーグ勢の市原、つくばを倒し見事JFL昇格の切符を手にした。毎年のように昇格候補筆頭と目されながら、地域決勝で3度の涙を飲んだが4度目の正直となった。リーグ戦では元水戸の山村が12得点でリーグ得点王、表原が11得点でリーグ2位。また岐阜・金沢などで活躍した人気者、田中パウロ淳一は15アシストでアシスト王に輝き地域決勝でも得点王を獲得している。

ここまでに名前が出た選手からも分かるように、元Jリーガーを積極的に獲得しており選手層は厚い。長崎・金沢などで活躍したGKの原田や富山でプレーした190cmの長身DF内田、元群馬の岡庭、元U-17日本代表の鈴木隆雅らベテラン選手が主力としてチームを支えている。また、チーム最古参となる増田はウーヴァ時代のJFLを知る数少ない選手だ(原田も2011年にレンタル移籍でプレー経験あり)。

退団選手は8選手。元日本代表の工藤浩平、長野で長く活躍した大島嵩弘、昨シーズンも7得点をマークした戸島章のベテラン3選手が引退したほか、ヘニキが退団した。工藤はJFLでもプレーを見たかっただけに非常に残念である。

入団選手は10名。注目はJ1でのプレー経験のあるベテラン2選手だろう。奥井は神戸・大宮・清水などでプレーしたサイドバックの実力者。昨年もJ2でプレーしており実力はまだまだ十分。攻撃参加とクロスはJFLで猛威を振るうはずだ。山崎は磐田・新潟・長崎などで活躍したドリブラー。近年は出場機会を減らしていたが、昨年はJ3宮崎で34試合に出場し4得点と復活。初のJFLで格の違いを見せつけられるか。FWでは2020・21年にJ2で6得点をマークした鈴木国友も加入し非常に豪華な布陣となった。DFの西山大雅は青森時代に主力としてプレーしておりJFLは経験済み。Jでは思ったような活躍ができなかっただけにJFLで巻き返したい。藤枝から期限付き移籍で加入したペドロは秀岳館高出身のブラジル人選手。まだ若くポテンシャルが開花すれば面白そうな存在だ。また、唯一地域リーグから加入となった土佐は昨年の関東リーグベストイレブン。実力で個人昇格を掴んだ。

昇格チームとは言っても、名のある選手を揃えており初年度からJリーグ入りを目指し上位争いに絡む可能性は大いにある。栃木ウーヴァ時代は毎年のように残留争いに巻き込まれていたが、久しぶりのJFLで旋風を巻き起こせるか。


2年ぶりに16チームで開催されるJFL。今年は最下位が自動降格、15位が入れ替え戦と昨年以上に厳しいシーズンになることは間違いない。どのチームも優勝を目指して頑張って欲しい。個人的には、どの選手にも活躍の機会が巡ってきて欲しいと心から願っている。





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