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地域CL特別投稿 今日も福井の街は。

地域決勝もいよいよ佳境となってきました。
Jヴィレッジで実施される決勝に残ったのは地元浜通り、"筋肉は裏切らない"が合言葉の「いわきFC」、アウェイへ行っても"おこしやす"「おこしやす京都AC」、四国で唯一Jチームのない高知県の「高知ユナイテッド」、そして悲願の昇格を目指す「福井ユナイテッド」の4チーム。

 JFLチームを応援している身からすると、どうしても普段行かないような所のチームに昇格してほしいと思ってほしいもの。お京都は昨年も決勝で涙を飲んでいるし個人的にも嫌いなチームではないものの、「大阪・滋賀・奈良がいて京都もか・・・遠征が関西ばっかだな」とは頭の片隅で思ってしまう。いわきは常磐線で一本だし、今治が昇格して四国のチームは無くなったし、北陸もツエーゲン金沢以来。昔はアローズにYKKもいたのにね!

そんな中、残念ながら決勝最終戦を前に敗退が決まってしまった福井の魅力について述べて、来たる昇格の時に備えたいのある。

今、福井が熱い。

福井県。ご存知ですか?
北陸3県の一番西側、まだ北陸新幹線ができていない県。(2022年に敦賀まで延伸予定)
日本で唯一イオンのない県。
今年のドラフトでは広島カープから2人も指名があった県。そういえば東出輝裕横山竜士天谷宗一郎齊藤悠葵も福井出身だけどなんか縁あるんですかね。あと敦賀気比高は高校野球ファンじゃないと読めない。(氣比(けひ)神宮って神社があるのよね)

 東京に住んでいると、言っちゃ悪いが福井は北陸の中で影が薄い。新幹線の開通以来金沢と富山が心理的にも物理的にも近く感じるようになったのとは対照的。一方で関西ではもう少し幅を利かせているのかも知れない。サンダーバードもあるし。そもそも、福井について東京では知ることも少ない。意外と100名山とかあるんだけどね。荒島岳って言うんだけど。

 自分のような旅行大好きの人間でも、福井は滅多に行かない県の一つ。15年前に福井市に訪れたのと、8年前東尋坊に行ったくらい。北陸トンネルをいつまでたっても抜け出なかったことを今でも覚えている。ちなみに福井の人からのメールをしばらく放置して怒られても「ごめん北陸トンネル通過してた」っていえば大抵赦してくれます!

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 15年くらいの福井駅前。消費者金融の幅の利かせ方がいかにも地方都市だ。

そんな福井に、今年だけで3回も行ってしまった。それはいみじくも、福井が熱いのからである。人口順位43位だが、幸福度は全国1位。人口約80万人の福井が熱いのだ。大飯原発は緊急時大量の氷で冷やすのだ(アイスコンデンサ方式)。

伝統工芸が熱い。

 福井県鯖江市といえば?今ではメガネフレームでお馴染みの街だろう。駅前にも「めがねのまち」というモニュメントがある。そして駅前には他に何も無い。ちなみに鯖と付いているが海に面していないので要注意。サバが食べたかったら小浜がベスト。

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 しかし鯖江を眼鏡だけで知った気になるのは早計だ。伝統工芸の宝庫なのだ。僅か半径10km圏内に、多様な工芸文化が息づいている。まず和紙。簞笥から続く木工品。それから若狭塗に代表される漆器。そして焼き物、刃物。これらの生産者の工房を見学できるイベントが、先日行われた「RENEW」である。

 和紙に始まり、木工、工場を見学したが、和紙工場では細々と生産しているわけではなく、日本酒のラベルに始まり、デザイン性を重視した製品などで工業製品としての競争力を未だに保っているのが興味深い。往々にして伝統工芸は工業製品に押され衰微し、一般生活から切り離された存在になっていていくがここにはそう言ったネガティブさは感じられない。

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イベント以外の時期でも、伝統工芸のメインになっている鯖江市の河和田地区に行ってみるといい。複合施設のTOURISTOREを始め、若いクリエイターの小さなクラフトショップが点在しているのが興味深い地域だ。


若狭、若狭ってなんだ。

 振り向かないことさ。宇宙刑事もそう言っていた。福井県全体の人口が80万人というのは前述の通りだが、そのうち若狭地域は人口わずか20万人程度。全体の1/4に過ぎないのだ。また、歴史的にも地理的にも、北陸よりも京都との結びつきが強いことから嶺北とはまったく違う雰囲気がある。原発銀座との揶揄もあるが、それだけで片付けるには惜しい文化圏である。

 若狭に行った目的の一つは年縞博物館。年縞と言われても聴き慣れない単語だと思うので解説すると、春夏はプランクトンの死骸などが、秋冬は散った草葉や鉱物などが湖の下に堆積する。これが年単位で積み重なり、バーコードのような縞模様を形成する。これが年縞。そして三方五湖にある水月湖では、生物が住んでいない、直接流れ込む河川がない等の理由から16万年分、抜けの無い年縞が見つかったのである。これは考古学的には大変なことで、これまでの放射線年代測定法では〇〇万年前〜〇〇万年前といったアバウトな年代測定しかできなかったが、一気に数桁正確な年代を割り出せるようになった。ここまでのものが残っていることは奇跡とまで呼ばれているらしい。博物館では、実際の年縞を眺めることができる。実際のところ、年縞自体は見た目上の面白さは薄いのだが、16万年分を年縞を具に見つめると、悠久の時の流れを感じることができる。

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  また、熊川宿も風情があってオススメ。重要伝統的建造物群保存地区で鯖街道の宿場として栄えた頃の雰囲気が残ります。近年では、古民家の再生が進んでおり、ホテルとしての活用のほか、菱屋はリノベーションを経てシェアオフィスとして活用されている。

そして何と言っても食べ物が美味しい。かつては御食(みつけ)國とも称されたほど。鯖街道にその名を残す鯖は言わずもがなだが、魚については本当に数多くの種類が水揚げされている。冬にはカニもある。さらに小浜は湧き水も豊富。名物のくずまんじゅうは綺麗な水があるところならではの美味しさだと思う。

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ZAZEN BOYZ

福井の代表的な観光地といえば永平寺。異論は認めない。と行っても東尋坊と恐竜博物館、芦原温泉くらいしか異論も出ないと思うけど。

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 永平寺は体験型テーマパークだと思う。伽藍や建物等の見学だけでも充分面白いが、さまざまな体験プログラムが設定されているのも面白い。朝のお勤めに始まり、写経体験、座禅体験となんでも体験することができる。参禅や朝課は予約や朝早くの移動が必要でハードルが高いが、飛び込みで可能な座禅体験は手軽。1時間で500円で、座禅の作法から組み方まで簡単に教えてもらえる。喧騒を忘れられるひと時。座禅の時に使用するクッションみたいなの(座蒲)が結構座り心地良い。

 そして修行が終わったら、食事。福井では何を食べれば良いのか。魚か、ソースカツ丼か、越前そばか。否、焼き鳥である。意外に思われるかも知れないが、福井は焼き鳥と油揚げの消費量が日本一なのだ。地味な一位だ。

 福井の焼き鳥で外せない名店が秋吉。1串ごとの肉が小さめなので、10本単位の注文がデフォルトという驚き。100本購入なんてお客さんもいる。東京、大阪などにも店舗あり。


公園まであと少し・・・

 そして最後は福井市です。今年の夏、突如福井の街のど真ん中で実施された野外音楽フェスが、ONE PARK FESTIVAL。ヘッドライナーにコーネリアス、ウルフルズらを擁し、脇を固めるのはcero、水曜日のカンパネラ、クラムボン、never young beach、D.A.Nなど踊れる実力派。SPECIAL OTHERSってどの野外フェスにも居ません?

  正直、野外フェスなんて今やどこでもやってるし、後発も後発。県内でも大野で野外フェスがあるし、よっぽど決め手がないとなかなか人も集まらないでしょう・・・なんて思っていましたが、蓋を開けてみると凄かった。何と言っても、県庁所在地の代表駅から5分でライブ会場。ライブ会場からの景色が庁舎のビルか城跡のお堀というとんでもない立地。よく苦情が来なかったな。電車降りたら音楽が聞こえてくる。音漏れ上等。こんなに近いのはくるりの京都音博くらいでしょうか。あれも京都駅からは離れてますし。

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そしてライブエリア後方に遊具が置かれ子供達は遊びまくり。常設の遊具も含め子供達が飽きないから大人たちも安心して会場に連れて来れるのは大きいですね。

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コーネリアスはサウナ好きすぎ。福井人は油揚げとおろし蕎麦が好きすぎ。水曜日のカンパネラは自由すぎ。フードエリアも出店も地元色があってよかったです。

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そりゃ大自然の中で音楽聴くのは最高なのは言うまでもないですが、どうしてもアクセスとトレードオフ。ガキどもの遊んでる、こんな狭い都市型の公園でフェスなんてむりやりやん・・・って思いましたが、街のど真ん中でライブフェスってのは逆に意外と無かった切り口かも知れません。ちなみに来年も開催が決定済み。楽しみ。

サッカー遠征=リピーター。

サッカー遠征の特徴は、毎年だいたい同じチームと当たることだと思う。強制的にリピーターにされているのだ。毎年同じところに出かけると、毎年いく店ができたり、有名観光地は粗方回ってしまいマイナーなところに足を運ぶようになる。
遠征に限らず、その土地に何度も訪れることで、変化や特色も際立ってみえてくる。愛着も湧くことだろう。

今年はフェスやらイベントが重なり3度も福井に行ったが、何度も訪れ、別の側面から街を見ることで福井の魅力を感じることができた。残念ながら来年も福井に遠征で行くことは無くなったが、このポテンシャルのある県のチームが地域リーグに甘んじているのは正直勿体無いと思う(ただテクノポートのアクセスの悪さはなんとかして欲しい)。2022年には北陸新幹線延伸が待っている。東京からのアクセスが良くなる日も近い。
今年も涙を飲んだ福井ユナイテッドだが、来年には是非JFLに昇格していただいて、晴れて遠征に行きたいものである。来年は北信越リーグも見に行きたい。

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#福井 #福井県 #福井ユナイテッド #地域CL



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