日本が"合理的"を追求する地政学的要因

※『世界まちかど地政学』(藻谷浩介)の書評

経済合理性に支配された国を「殺伐としている」「競争過多」のように批判する声は多い。

新自由主義が蔓延したことで今や教育までもが市場の競争主義に支配されている。

数字を上げることばかりで質が伴わないことは日本の課題であると感じる。

ただ、合理性を追求できるこの国の環境は、経済成長を目指す発展途上国からすると羨ましくも思えるのではないだろうか?

なぜなら、他の国にはひたすらに合理性を追求することを阻む様々な地政学的リスクが存在しているからだ。

例えば、民族の問題。

アゼルバイジャンとアルメニアは紛争によって仲違いしているがために

隣同士の国にも関わらず石油をトルコまで通すパイプラインを

わざわざ遠回りのジョージアを通して運んでいる。

パイプラインの建築コストが余計にかかって非合理的だ。

例えば、宗教の問題。

ミャンマーは仏教国であるが故に近隣の大きな市場

(バングラデシュやインド、これらはムスリム国)と貿易が出来ない。

内需がそこまでであることを考えると近隣国への輸出戦略に打って出れないのは痛い。


一方で日本を考える。

日本は極東に位置し、資源小国、かつ人口が多く軍隊の訓練も行われていた。

つまり、占領することが ハイリスク•ローリターン であった。

その結果、他民族との交配が起きずに単一民族の島国として残された。

おそらく、単一民族国家であるからこそ教育の普及も早く、

江戸時代には寺子屋の影響もあり識字率が50%を超えていたらしい。

本来であれば日本中に存在していた国同士の利害関係はあったはずだが、

廃藩置県によって整理されたり、教育改革による国語の普及で言語が画一化され、国家神道も根付いた。

単一民族、中央集権、同一言語(日本語)、同一宗教(国家神道)。

他国で見られる個別のややこしい問題がきれいに整理されているおかげで

現代において「経済合理性」に振り切ることが出来るのではないだろうか?

(「アイヌ」などもあるが見えないように隠されている)


日本特有な地政学的要因によって、

この国は世界に名だたる経済大国として発展することが出来ている

奇跡のような国なんだと思う。

しかし、市場主義を突き詰めるが故にもたらす人間への負荷は

必ずしもこの地政学的な特徴を日本特有の"恩恵"とは感じさせてくれない。


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菅野真人

動画広告ベンチャー初の新卒/毎朝5時起き/月に10冊読書/毎週note更新します。 ・数字で正しくディスる ・日本に向いてる価値観を歴史から知る ・世界に先取りできる課題を発見する
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