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「トリスタンとイゾルデ」をイメージして画像を作りました

昨日、テーブルの上の2本だけ残ったバナナを見て、ふと思った。
これはトリスタンとイゾルデかもしれない。
さっそく写真を撮ってAdobe Photoshopで加工してみた。

コロナ禍だった2020年夏、キャンセルしたドイツ旅(バイロイトではなく、ミュンヘンのオペラ祭りに行く予定だった)の旅費が戻ってきたとき、何か新しい勉強をしたいと思ってAdobe Creative Cloudのサブスクリプションを購入したのだった。これにはPhotoshopやIllustratorなどAdobeの各種アプリケーションが含まれている。

一時中断したが、1年ちょっと前にサブスクリプションを再開。
そう、再開したのだが、結局あまり使っていない。
もったいない。

さて、バナナを見てイメージが湧いてきたので作品を創作することにした。
「トリスタンとイゾルデ」はワーグナーが作曲した楽劇(詳細は省くがオペラと思えばよい)である。

第二幕は愛する二人が延々と語り合う。
新国立劇場の動画で、指揮の大野和士氏は、第二幕が本当に美しくて・・・とうっとり嬉しそうに楽しそうに話していた。

しかし、私はこの第二幕が苦手である。
意味不明な二人だけの世界がひたすら続く。
もうすぐ初生鑑賞なのだが、私はこの第二幕に耐えられるのだろうか。
気力を保てず失神(=寝落ち)してしまうのだろうか。

意味不明な二人だけの語らいの中で、実はちょっと好きな部分がある。
イゾルデはこう言う。

Doch unsre Liebe,
heisst sie nicht Tristan
und Isolde?
Dies süsse Wörtlein: und,

でも、あたしたちの愛は、
「トリスタンとイゾルデ」というのでは?
あたし、この「と」というところが好きなの
甘い素敵な言葉、「と」

ワーグナー作曲「トリスタンとイゾルデ」(スズキによるテキトーな意訳)

「と」(ドイツ語ではウント=und)と歌う時のイゾルデは本当にキモチ良さそう。とても高い声でウゥーントと囁く。

気になるならぜひ聴いてみて欲しい。


さて、バナナの話に戻る。

背景は海にした。Photoshop内の生成AIに頼んだら明るい海が生成されてしまったので、改めて暗い海をリクエストした。

愛し合うトリスタンとイゾルデの意味不明な会話の中で、理解し得る部分といえば、二人は昼が大嫌いなこと。昼なんか死にやがれ・・・と言うぐらいの勢いで昼を罵る。

だから、バナナの背景は暗くしたかった。

なぜ海か?

第二幕は海の場面ではないのだが、第一幕では船に乗ってイゾルデがコーンウォールに向かう様子が描かれている。そして第三幕は瀕死のトリスタンが傷を癒す力を持つ最愛のイゾルデの船が来るのを今か今かと待ち望む場面から始まる。

だから、「トリスタンとイゾルデ」は海のイメージなのだ。

家のバナナは美肌(?)の黄色いバナナだったのだが、現実世界に絶望して傷ついている二人のイメージに合わせてバナナを傷だらけに加工した。

そしてバナナの1つに「トリスタン」、もう1つに「イゾルデ」と刻んだ。
いい感じだ。

問題はイゾルデが特別に大事にしている「と」の部分。
さて、UNDをどこに書けばいいのだろう。

しばらく考えてみたが、「と」は敢えて省くことにした。

ごめんイゾルデ。

結局のところ、物語は破滅に向かう。
二人を繋ぐ「と」は行方不明になってしまったことにしよう。

M Suzuki | March 2024

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