愛

愛に過去は必要かい?

 現在、「愛にできることはまだあるかい」という曲と共に人気を博している「天気の子」であるが、こちらも小説版を読んだが面白かった。愛があるからこそどこまでも頑張れるという、愛の強さを感じた一作だった。「あれ?天気の子の小説版の紹介か?」と思った方もいるでしょうか?



 甘い。

 今回は「天気の子」ではありません。あのような素晴らしい小説・映画をわざわざ紹介するまでもないでしょう(今回紹介する本も紹介するほどのものでもないしかなり売れていると思いますが(笑))


 今回紹介させていただくのは平野啓一郎さんの「ある男」です。(ここだけですます調です(笑))

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 この本の紹介をする前に、このしがない私のnoteを読んでくれているあなたに質問しよう。

 「愛に過去は必要だろうか?」

 どういうことか、ピンと来ないかもしれない。では、これから語ることを想像してほしい。

 あなたには好きな人がいる。その人とはたまたま出会い、お互いにひとめぼれをし、両想いになり付き合うことになった。お互いが住んでいるところは多少離れており、普段何をやっているかはLINEや直接会える日に話す程度だ。お互いに共通の友人がいるわけでもない。

 こんなシチュエーションを想像していただきたい。では、改めて別の質問をする。

 その人がもし嘘をついていたとしたら?

 ここでいう嘘は「相手を思いやった嘘」は含まない。(嘘についても後でnoteで自分の考えをまとめてみたいな...)と私情を挟んでしまいましたが(笑)、嘘には大小あるため内容にもよるかもしれないが、その人のことを信用できなくなるでしょう。例えば「その人がもしいじめっ子だったら?」、「財産目当てで一緒にいるだけだったら?」、「ただヤりたいだけだったら?」などなど、色々な要因はありますが、それらを隠された状態で「愛」とはいえるのでしょうか?

 もちろん、このような考え方を持った人に本物の「愛」は待っていないと僕の中では思っています。


 さて、物語の簡単なあらすじですが...

弁護士の城戸は、かつての依頼者である里枝から、「ある男」についての奇妙な相談を受ける。宮崎に住んでいる里枝には2歳の次男を脳腫瘍で失って、夫と別れた過去があった。長男を引き取って14年ぶりに故郷に戻ったあと、「大祐」と再婚して、新しく生まれた女の子と4人で幸せな家庭を築いていた。ある日突然、「大祐」は、事故で命を落とす。悲しみにうちひしがれた一家に「大祐」が全くの別人だったという衝撃の事実がもたらされる……。里枝が頼れるのは、弁護士の城戸だけだった。人はなぜ人を愛するのか。幼少期に深い傷を背負っても、人は愛にたどりつけるのか。「大祐」の人生を探るうちに、過去を変えて生きる男たちの姿が浮かびあがる。

 物語の内容もすごく気になってくるあらすじですが、僕が一番考えたのはこの部分。

「愛に過去は必要だろうか?」

 この文章、帯に書かれていたのがとても印象に残っていた。「愛」と「過去」。最初は「恋愛の過程」での過去だと思っていたがそれだけでなく、「相手のこれまでの」過去。つまり相手と出会う前の人生についても含まれていた。僕は最初、自分たちが「今」楽しく「これから」も楽しめそうならいいんじゃないかと思っていた。それに、相手がどんな人だったのかはその人から直接聞くことは可能だ。しかし、上記で一度話を上げたがその人が「嘘」をついていたら?その人の知人や友人を知っていればその人たちからも話を聞くことはできるが、居なかった場合はその人の話しか信じることができない。過去があるから今がある。過去の人生が今のその人のなりを形成しているのだ。

 もしその人がいじめっ子だったり、犯罪を犯していたと仮定しよう。その人は「反省して今の自分がある」と言っていたとして、それが実行されているかどうかはわかる。けれど、今後同じようなことが起こり得る可能性がゼロとは言い切れない点もあるだろう。


 ちなみに、「愛に過去は必要か」の答えだが、

 僕の中ではある程度必要だと思うが結局は「結果論」だと思っている。

 その人のことが好きだとして、その好きの対象は「過去」ではなく、「現在」である。それに、愛してよかったかよくなかったか、最終的に判断するのは別れる・死別する等々あるが、行き着く先は「未来」である。過去がいくら酷くても改心している場合もあれば全くできていない場合もある。改心できていない場合は「現在」の行動からある程度予測できるので近づかないという選択肢が出てくるかもしれないが、魅力がある場合は近づく人はいるのかもしれない(笑) その人が何を考えて行動しているかは、その人の頭の中を見てみないとわからないし、今の科学ではそれは不可能だ。その人を全て知り尽くすことは不可能だ。なので、今の行動に注目する必要がある。

 それに、過去に何もなく綺麗な経歴の持ち主でもこれからの生活や環境次第で豹変する可能性もゼロではないだろう。


愛せるかどうか、愛せたかどうかは、「過去」以上に、「現在」と「未来」次第だと考えている。そのため、僕は「結果論」という答えに至った。


 また、他にも考えさせられる部分は多々ある。自分もまだ「こうかな?」と考えがまとまっていない点も数多くある。人によっては着眼点が違ったり、もう一度読むと別のところが気になったりするかもしれない。そういう面白さもあるのでぜひ一読を!

 タイトルをRADWIMPSのある曲をオマージュしたのは内緒(隠しきれてないけど(笑))


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