プレゼンテーション1w

中国の国営メディア

中国媒体(中国メディア)

●「中国の報道って規制が多くて、一般の中国人は海外の情報を見ることができないんじゃないか。」
●「中国は社会主義でメディアも国営なので、中国政府視点からの偏った情報が流されているのでないか。」

●「情報が無さ過ぎて想像がつかない。」

今日のnoteでは、最近の日韓政府の喧嘩を中国国営メディア(新華社通信)がいかに報道しているかを例にとって、中国メディアの様子を紹介したいと思います。

1.広告が無くて見やすい、無料、情報量はリッチ

まず、国営メディアなので広告が無い。見やすい。見やすいのは絶対正義!NHKは公共放送ですが、広告が無いのは同じです。圧倒的に見やすい。国営放送ですからNHKの集金のようなものもありません。国の財源で運営されています。あとは民間報道社でよくある「これ以上読みたければ金払え」というのもありません。ニュースくらい無料で読みたいものです。朝日新聞のサイトとか本当に読みにくい。

あと情報量ですが非常にリッチです。国内の情報にとどまらず国際的な情報もあります。動画や写真を豊富、芸能情報もあります。これを見れば中国の一般の人も国外の情報に容易にアクセスできる。まあ、ほとんどの中国人は日本人がNHKのサイトで記事を読まないように読まないんでしょうけど。

2.内容について

この記事のタイトルは、

日本颁政令将韩国清出“白色清单” 韩国以牙还牙
日本は、韓国をホワイト・リストから除外する政令を発表、韓国はやり返す

以牙还牙は「歯には歯を」という意味です。報復、やり返す、という意味です。書いてあることは日本で報道されている内容と同じで、日本と韓国に両方の立場からの言及があり、非常に公平です。日本か韓国のどちらか一方に肩入れしているような内容ではありません。客観的な事実を羅列してあり、その裏にある日本や韓国の思惑については極力エビデンスのない憶測を書かない意志を感じます。

日本政府は今回の措置はあくまで「輸出管理方式の調整の一環」であると。菅官房長官の「故意に日韓関係に影響を与えようとか、経済報復や対抗措置ということはない。」というコメントを載せています。一方で、韓国側はこの日本側の措置を「韓国裁判所での日本企業に対する第二次戦争時の賠償判決に不満があり、この様な報復手段をとった」という韓国側の見解を載せています。これも日本側の報道と同じですね。

BBCとの大きな違いとしては、記者の顔写真や名前は載っていません。だれの責任での記事なのかが不明確です。これは日本のメディアと似ています。BBCなどは絶対に顔写真とともに記者の解釈が載っています。中国メディアや日本メディアでは、記者個人の見解について記事に掲載されることは非常にまれです。社会主義っぽいですよね。たぶん社風とか会社の雰囲気で論調が決まるのでしょう。東アジアの集団主義的な特徴が出ています。

だから、記事が一つ一つ短いですね。BBCの記事は記者の見解があるので一つの記事が長くなる傾向。中国や日本の記事は簡単に読めますが、深読みができにくい傾向。事件の前後関係についての言及もBBCはとてもリッチ。一方、日本や中国のメディアでは客観的な事実だけが載せられます。

読んだ人の思索が深まるのはどちらでしょうか。客観的な事実だけの方が、それを元に自分の意見を形成しやすいでしょうか。記者の見解が各々の思索の助けになるでしょうか。どちらも長所と短所がありそうです。

3.アメリカ関係の記事では中国の正当性を強く打ち出す

例えば、最近トランプ大統領が「中国は為替操作国だ」と中国を非難したことがありましたが、中国国営メディアではさっそく上の記事で反論しています。記事のタイトルは、

美方用“汇率操纵”施压中国绝不会得逞
アメリカが「為替操作国だ」という中国への圧力は、絶対に成功し得ない

このあたりが中国の言い分。それぞれの国が各国の国情に合わせて適した為替制度を選択する権利がある、と。アメリカと中国の経済戦争の中でアメリカは「為替操作国」という言葉で中国に圧力をかけている、と。GDP比で為替の昇降範囲は適正範囲以内であり、アメリカの基準をも満たしている、と。経済強国のアメリカの弱い者いじめであり、アメリカが貿易黒字だったときは何も言わなかったのに赤字に転落したとたんにそれを言い訳にして中国を威嚇している、と。

どうしても日本での報道だとアメリカの「為替操作国だ」というトランプの発言だけが耳に残りますが、中国の記事も併せて読むことで中立性をちょっとだけ担保できます。アメリカに対して「強国のいじめに屈しないぞ」という論調が、中国の国営メディアでは日に日に強くなっています。



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