プレゼンテーション1w

中国の沖縄への視線

自分を自分で客観視できない

自分のことを自分が一番見えない。これは自我を持つ人間の最大の矛盾の一つです。日本のなかで日本語だけをしゃべり、日本のメディアからのみ情報を摂取していると、もちろん見えてこない世界がある。異文化理解という「意義」を語学に見出すときに、同時に、外から自分を見つめる新たな自己の発見も、付随的に得られる語学の特典といえます。世界から日本がどう見られているのか。日本の文化は世間体を気にする割に、まだ国外の世界を世間に入れていないような気がします。

たとえば、沖縄のアメリカ軍基地問題に対する日本の内地(本土)の人間の意見は、「大変な矛盾を沖縄に押し付けてしまっているが、どうしようもないなあ。」「日米同盟や日本の東アジアにおける防衛のためにはアメリカにいてもらわないといけないし、沖縄が過度な負担というのは分かるけど、私の近くに来てほしくないし、、、」というのが正直なところ。「沖縄の経済はアメリカ軍基地無しではもはや立ち行かない」という論点もよく取り上げられますが、それは(私も含めて)本土の人間にとって都合がいい論点です。

そんな時に、たとえば、中国の国営メディアがどう報じているのかを知るのは有意義です。

中国国営メディアの報道

中国メディアの中で沖縄県のアメリカ軍基地問題は頻繁に取り上げられます。それはアメリカに関する話題というのが大きいです。アメリカ軍が中国本土の近くにあるというのは大きな脅威ですから。

日本冲绳县政府7日再次起诉中央政府,指认国土交通大臣一项关联冲绳美军新基地建设的裁决违法,要求撤销。

日本の沖縄県は7日に再び中央政府を起訴し、国土交通大臣に沖縄のアメリカ軍新基地建設の裁判が違法だったと指摘、取り消しを要求した。

  冲绳县政府当天向那霸地方法院递交诉状,依据《行政事件诉讼法》要求国土交通大臣石井启一撤销一项裁决。那项裁决关联日本政府在冲绳县名护市边野古地区填海造陆、新建美军基地施工。

沖縄県は当日、那覇地方裁判所に訴状を提出し、「行政事件訴訟法」に基づいて国土交通省石井大臣に裁決の取り消しを要求した。その裁決は、日本政府が沖縄県名護市辺野古地区での埋め立て、新しいアメリカ軍基地を建設することに関連する。

  冲绳县政府以美军基地新址部分区域地质结构松散为由,去年8月撤销施工许可。防卫省在冲绳的分支机构冲绳防卫局去年10月申请行政复议,石井当时暂停冲绳方面撤销施工许可的行政效力,今年4月裁定冲绳县撤回先前的行政决定。

沖縄県は新基地の地質が緩く基地に不適だと判断し去年八月に施工の許可を取り消していた。防衛省の沖縄支部は去年の十月に再議を申請し、石井大臣は沖縄県の施工許可の取り消しの効力をいったん取り消し、今年四月出た裁決で先の沖縄県の行政決定を撤回した。

  冲绳县知事玉城丹尼7日在记者会上说,日本政府选定的美军基地新址广泛区域地质结构松散,“显然不能称为(填海造陆的)合适地点”。

沖縄県知事の玉城デニーは7日記者会見上で、「日本政府が選定したアメリカ軍の新基地場所の広域で地質が緩んでおり、明らかに埋め立てて軍基地を建設するには適した地点をは言えない。」と述べた。

  围绕在冲绳新建美军基地,冲绳县与中央政府上次在法庭的较量以冲绳败诉告终。(刘秀玲)

沖縄のアメリカ軍新基地建設に関しては以前、沖縄県と中央政府が法廷で争い、沖縄県側が敗訴している。

微妙な地域

気の置けない中国人の友人に「大陸の人と、台湾や香港の人はちょっと微妙な関係なの?」とわざと意地悪な質問をすると、「日本の内地の人と沖縄の人はどうなの?」といわれます。「ん?どういうことだ?」とそのニュアンスを瞬時には掴み兼ねるのですが、中国人から見るとそういう感覚なのです。

確かに沖縄人は本土の人間と民族的に異なる顔立ちをしています。アメリカ軍基地など、明らかに不平等な重荷を背負わされていることなどとも合わせて、日本の中でも日本的要素が薄い地域として考えられている。また、沖縄の中にある日本政府に対する反感を、日本のメディアは抑制しようとし、海外のメディアはその声をそのまま伝えようとします。コントラスト効果で拡声器の役割になっているかもしれません。当然アメリカと政治的にも思想的にも経済的にも対峙している中国ですから、沖縄でアメリカの存在感が増すことは脅威になる。そういう意味でも中国の国営メディアは沖縄の動向を注視しています。政治的には、辺野古のアメリカ軍新基地建設の反対の論調になるのは道理でしょう。

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