青山 誠

保育、執筆、ときどき講演。著書に『ニューロマイノリティ』(共著・北大路書房)『あなたも…

青山 誠

保育、執筆、ときどき講演。著書に『ニューロマイノリティ』(共著・北大路書房)『あなたも保育者になれる』(小学館)『子どもたちのミーティング』(共著・りんごの木)他。

マガジン

  • あなたも保育者になれる

    子どものとなりで、思うことあれこれ。 保育者、青山誠による日々のつぶやき。

  • 保育の初心~保育の初心連続講座2024に寄せて

    保育の初心連続講座2024に寄せて、保育の初心を問い、保育を通しての初心を問い、考えます。

  • 子どもたちのミーティング

    保育における、子どもたちの、子どもたちによる、子どもたちのための対話の時間、それがミーティングです。 その概要と、背景と、実践についてまとめます。

  • 青山誠と学ぶ保育基礎講座ほいくきほんのき

    青山誠と学ぶ保育基礎講座ほいくきほんのき、が5月からスタートします。 講座に寄せて思うこといろいろ。補足。ときにアーカイブ的なものなどなどをこちらにまとめていきます。

  • 寓話

最近の記事

わたしたちのナラティブツリー05〜他者の声を声に出して読む。

先週金曜日に行った「青山誠が語る わたしたちのナラティブツリー」。 金曜の夜に、一人でひっそりとラジオみたいにやれたらいいなと思って企画してみた。 思いの外たくさんの方が申し込んでくれたからか、どうにもzoomウェビナーで、画面の向こうに人を感じながら語りかけるのが慣れないからか、最初のうちは自分でも上ずってるなぁ、という感じ。 思えば、ナラティブツリーについて、きちんと主題にして語るのは初めてだった。 ミーティングもそうだが、ナラティブも私たちの臨床の中にある。それは

    • わたしたちのナラティブツリー04〜沈黙としてあること、言葉の腐葉土

      書き留めておかないと忘れてしまうこと、つらつらと。 ナラティブツリーの中で、私たちがどのように生息しているか。 そこでは誰もが語る人である。同時に、誰かの声を聞く人でもある。 ナラティブの声であるとともに、他者にとっての耳でもある。 それは傾聴というよりも、もう少しゆるやかな耳である。 ナラティブを書くとき、私たちは誰かに読んでもらい、自分のナラティブが誰かに聞き取られることを期待している。 その誰かは特定の誰それではないが、かといって、「誰でもいい」というぞんざいさ

      • 私たちのナラティブツリー03

        意気揚々とナラティブツリーについて語ってきましたが、ときどき、ナラティブツリーこそが悪いんじゃないか、と思うことがあります。 言葉にする、それをだれかに分けていく、共有していく、それが確かにケアになっているなと感じることもあります。 でも反対に、それこそが呪いになっているんじゃないかと思うこともあります。どういうことか。 言葉にすることで、ぼんやりしていたものがくっきりとしていきます。そして、ナラティブのタイトル通り、それは単なる保育記録や計画の言葉とちがって、自分の「こ

        • 私たちのナラティブツリー02

          保育のエピソード記述を共有し合う試み、上町しぜんの国保育園のナラティブツリー。 実際にやってみると、いろいろと予想していないことが起こりました。 まず、思ったよりも数があがるし、けっこうみんなそれを読むということです。 ナラティブは園内限定のSNSにあげているのですが、そこに投げれば必ず誰かが反応してくれます。 その反応も、差し向かいの応答というよりも、SNSですから、「いいね」マークを押されるだけだったり、コメントもときにはつきますがそれもランダムかつ任意です。一言で

        わたしたちのナラティブツリー05〜他者の声を声に出して読む。

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        • あなたも保育者になれる
          27本
        • 保育の初心~保育の初心連続講座2024に寄せて
          6本
        • 子どもたちのミーティング
          22本
        • 青山誠と学ぶ保育基礎講座ほいくきほんのき
          9本
        • 寓話
          12本

        記事

          保育セミナー「初心連続講座2024」に寄せて06〜乳児保育の初心(溝口義朗とフレーベルは、生命を見つめている)

          2024年5月から順次開催される、保育セミナー「初心連続講座2024」。 それに寄せて、予備的な補足として、また自分の思考を深めるために、書いていきたいと思います。 乳児保育の初心はぜんぜんわからないけれど・・ 乳児保育ってやったことないんでぜんぜんわからない。でも横からちらちら見るかぎり、日本の乳児保育の質って全体的にはとても高いんじゃないかと思います。 とても細やかだし、ていねい。見ていて、いいなぁ、心地いいなと思える園の乳児保育は、空気ふくめてとてもやわらかいし、

          保育セミナー「初心連続講座2024」に寄せて06〜乳児保育の初心(溝口義朗とフレーベルは、生命を見つめている)

          保育セミナー「初心連続講座2024」に寄せて05〜保育の初心と柴田愛子さん

          2024年5月から順次開催される、保育セミナー「初心連続講座2024」。 それに寄せて、予備的な補足として、また自分の思考を深めるために、書いていきたいと思います。 柴田愛子さんの中にみる初心 前回くねくね書きすぎたので、今回はなるべくシンプルに。 柴田愛子さんがこれだけの保育者を惹きつけてやまないのは、みんなが愛子さんの中に保育の初心を見ているから。 保育の初心は、子どもと共にいて、日々新たになる驚きです。 子どもという存在に出会い、その出会っている自分に出会い、共

          保育セミナー「初心連続講座2024」に寄せて05〜保育の初心と柴田愛子さん

          保育セミナー「初心連続講座2024」に寄せて04〜アートは常に初心を見ている。柴田愛子さん「わたしの保育の初心」

          2024年5月から順次開催される、保育セミナー「初心連続講座2024」。 それに寄せて、予備的な補足として、また自分の思考を深めるために、書いていきたいと思います。 柴田愛子さん「わたしの保育の初心」 初心連続講座、まず初めに紹介したいのは、柴田愛子さん「わたしの保育の初心」です。 昨年の保育セミナー「うたげと初心」では、札幌トモエ幼稚園の宮武大和さんに同じテーマでご講演いただき、大きな反響をいただきました。 このテーマで愛子さん(と、いつも呼んでいるので以降こちらで

          保育セミナー「初心連続講座2024」に寄せて04〜アートは常に初心を見ている。柴田愛子さん「わたしの保育の初心」

          仕事依頼

          ご依頼内容 ・研修、講演 保育や子どもにまつわる研修や講演を行なっています。 園単位や、自治体の協会単位など、規模はさまざまお受けできます。 内容やテーマについてはご依頼内容に合わせてご相談させてください。 ・執筆 雑誌の連載や特集、またインタビューでの記事掲載などもお受けしています。こちらも内容はご相談しながら ご依頼はこちらまで 社会福祉法人東香会の「お問い合わせ」にメールをいただければと思います。 その後、私からお返しいたします。 その際、 ・ご依頼の概要 ・希

          保育の青春〜上町しぜんの国の神5という人たち

          師が弟子を育てるのではない、弟子が師を創造し、その創造を通して弟子は自らを育てる。 上町しぜんの国の神5という人たちとの時間を今振り返ると、そのように思う。 上町しぜんの国保育園が開園したのは2019年の春。その時に、新卒で入職してきた5人の人たちを、戯れ半分に「神5(かみファイブ)」と私は名付けた。某アイドルグループの初期メンバーになぞらえて。 ゆくゆくは、この園の中核を担っておくれ。 一緒にスタートして、育っていこうね。 そんな気持ちを込めて。 私としても初めての

          保育の青春〜上町しぜんの国の神5という人たち

          保育セミナー「初心連続講座2024」に寄せて03~保育にハウツーは必要か?スキルからアートへ

          2024年5月から順次開催される、保育セミナー「初心連続講座2024」。 それに寄せて、予備的な補足として、また自分の思考を深めるために、書いていきたいと思います。 保育のわざについて。「ハウツー批判」批判 初心とは、実践の中でしか見出せず、実践は日々の現場における心身のあくなき調整の中にしかない、前回はそんなことを私見として述べてみました。 それゆえ、初心は感動のための感動とは無縁ですよということや、そうであるなら、初心を探すのは瑣末にも思える保育の「わざ」への探求と

          保育セミナー「初心連続講座2024」に寄せて03~保育にハウツーは必要か?スキルからアートへ

          保育セミナー「初心連続講座2024」に寄せて02~初心者じゃない人の方が初心を探す必要あるよね、そうなると

          2024年5月から順次開催される、保育セミナー「初心連続講座2024」。 それに寄せて、予備的な補足として、また自分の思考を深めるために、書いていきたいと思います。 初心者じゃない人の方が初心を探す必要あるよね、そうなると 初心の辞書的な意味では、未熟な、手慣れていない状態や人を指します。 「初心者」という用語ですね。 でもここでの初心は、仏教用語での「初めて悟り求める心を欲すること。またその人」にイメージに近く、だからこそ、物事が進展、変化していったときに立ち戻れる地

          保育セミナー「初心連続講座2024」に寄せて02~初心者じゃない人の方が初心を探す必要あるよね、そうなると

          保育セミナー「初心連続講座2024」に寄せて01~初心を探して

          2024年5月から順次開催される、保育セミナー「初心連続講座2024」。 それに寄せて、予備的な補足として、また自分の思考を深めるために、書いていきたいと思います。 「初心」、えっ?なんて読む? 初心、と書いて「しょしん」と読みます。 何人かから「えっと…はつごころ?ですか」と聞かれました。うっかりうっかり、確かになかなか保育の世界では見ない字面です。 この保育セミナーを企画したときに、「保育を深めるのもいいけれど、みんな何年かやると最初の気持ちを忘れちゃうから、そうい

          保育セミナー「初心連続講座2024」に寄せて01~初心を探して

          2024年度の仕事展望、イベント、研修などいろいろなラインナップ。

          年度末、そして合わせて怒涛の年度はじめ。皆様いかがお過ごしでしょうか。 2024年度もまたさまざまな方達とお仕事できそうで、いろいろ今からあれこれ頭をひねったり、ふふふと一人で笑ったり(怖い?)しています。 昨年度に引き続き今年も自分への備忘録兼ねて、こちらにあげさせていただきます。皆様、どこかでお会いできますように。 うたげと初心、そして保育の初心連続講座! 今年もやります、保育セミナーうたげと初心。 本セミナーは、11月16日(土)に代々木オリンピックセンターにて開

          2024年度の仕事展望、イベント、研修などいろいろなラインナップ。

          保育セミナー「うたげと初心」に寄せて〜溝口義朗、保育界の良心が見る乳児からの世界

          11月11日、12日に開催される新しい保育セミナー「うたげと初心」。 全編、1か月の見逃し配信付き! ライブビューイング会場もあります!! 新しい保育セミナーを企画しました。その名も「うたげと初心」。 それに寄せる形で、今考えていることのあれこれや、保育について書き記したいと思います。 4回目は、「溝口義朗、保育界の良心が見る乳児からの世界」。 溝口義朗さんは一筋縄ではいかない人物です。 その語りを聞いた方はそのぶっきらぼうな感じ、膨大な知識量、抽象度の高い言い回しに、

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          私たちのナラティブツリー01

          私の園では「ナラティブツリー」といって、保育者一人ひとりが書いたエピソード記述を共有しあう試みをしています。 運用方法はシンプルでEvernoteでエピソード記述を共有し、園内SNSに他の職員に周知します。エピソードを読んだ職員はSNS上で「いいね」を押したり、コメントしたければ自由にしていきます。 書くのも読むのもリアクションするのも義務ではなく、書きたいときに書き、読みたいときに読み、反応したければ反応します。 ナラティブツリーという試みを始めようと思ったのにはいく

          私たちのナラティブツリー01

          保育セミナー「うたげと初心」に寄せて〜講座紹介「まちとむらと、保育とコミュニティ」

          11月11日、12日に開催される新しい保育セミナー「うたげと初心」。 全編、1か月の見逃し配信付き! ライブビューイング会場もあります!! 新しい保育セミナーを企画しました。その名も「うたげと初心」。 それに寄せる形で、今考えていることのあれこれや、保育について書き記したいと思います。 今回は講座紹介その1。 まちとむらと、保育とコミュニティ 鈴木ひでひろさん(わこう保育園)、三谷大紀さん(関東学院大学)、名古屋彩佳さん(渋谷東しぜんの国こども園) 保育において地域環境

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