僕の『未来英文音読日記』 50. 英作文の極意
1987年3月16日(月)
月曜日の夕方。
大学の8号館のラウンジで、僕は、なっちゃんが書いた英作文を読んでいた。
なっちゃんは、今年初めて行われる英検®準一級と英検®一級を受ける予定である。
「うーん。日本語で考えている。。。」
僕は、苦虫を噛み潰したような顔をしていたに違いない。
「冷凍庫の主」は、オーストラリア人、いやクロアチア人のビジネスパートナーと二人で、激しく議論を繰り広げた若い頃を思い出していた。
メルボルンのデバ地下にあるフードコートで、「冷凍庫の主」はこんなことを言ったことがある。
クロアチア人のビジネスパートナーは、「冷凍庫の主」を興味深げに見ていた。
外国語で話す自分が、母国語で話す自分に追いつくのは、大変な事である。
かの夏目漱石は、日本語での言語能力が高すぎるために、英語環境ではノイローゼになってしまったと聞いたことがある。
日本語能力が低い日本人は、楽に英語を学べる。
越えるべき日本語能力が低ければ、習得すべき英語も自ずと低いレベルのモノになる。
日英のギャップの少なさゆえ、漱石のようにノイローゼになることは、決して、決してない。
英作文を作成するときは、母国語である日本語では考えないこと。
あなたの日本語能力が高ければ高いほど、ひどい英作文が生み出される。
例えば、英検を考えるとき、大切なのは、割り切りである。
自分の英語の能力は、英語ネイティブの中学生、いや、小学生レベルであることを自覚することである。
中学生に戻って英作文を行えれば、間違えない。無理をしない。従って、減点されることなく、英検1級の試験で、高得点を獲得できるでしょう。
割り切りである。
目覚めである。
たかが英語。あなたにとって大切なのは、日本語である。
「冷凍庫の主」は、いつもそんなことを言っていた。
つづく
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